思念の滝壺

山に登る。

厳冬期唐松岳登山 in ベストコンディション

はじめに

ついに寒波が去り、列島に高気圧が訪れてくれるようになった。

ずっと悪天続きだった日本海側も晴れの予報、今こそ北アルプスへ登る絶好のタイミング!

というわけで2/13(金)に唐松岳へ登ってきた。狙い通り天候に恵まれた会心の山行ができたのでその様子をお届けする。

 

 

唐松岳とは

唐松岳北アルプス後立山連峰に属する標高2696mの山。

 

北からは白馬三山、南からは五竜岳鹿島槍ヶ岳に挟まれた後立山連峰の中間に位置し、西には立山連峰を望むことのできる展望のハブ的な存在だ。

東には八方尾根と呼ばれるゆるやかな尾根が白馬村に向かって伸び、登山道として用いられるとともにスキー場も設けられている。

 

山容は西からの季節風と降雪に由来する非対称山稜が特徴的。西面が緩やかな斜面なのと対照的に、東面は吹き溜まった雪による雪崩・雪食地形が発達し峻険となっている。

白馬村から見た後立山連峰が大迫力なのは、この激しく削られ切れ落ちた東面を見ているからともいえる。

 

登山計画

今回は八方尾根からのピストンで計画した。

八方尾根スキー場のゴンドラ・アルペンクワッドリフト・グラートクワッドリフトを乗り継げば八方池山荘からのスタートが可能で、日帰りが十分現実的になる。

ゴンドラの営業開始は8:00から。グラートクワッドの営業終了が15:20なので、営業開始すぐに出発して6時間程度で往復すればOK。

 

白馬八方までの移動には新宿-白馬の夜行バスを利用し、朝6時に到着→8時にゴンドラで出発という無駄のない行程が完成した。

 

当日のルート

 

山行録

賑わう白馬

バスに揺られて早朝の白馬八方バスターミナルに到着。

平日の金曜日ではあるのだが、外国人を中心として人が多く、やはり白馬は賑わいを見せている。

冷え込みもなかなかのもので、ゴンドラの運行開始時刻まではインフォメーションセンター内で暖を取りながら待機した。

 

7時半ごろ、ぼちぼち八方ゴンドラリフトへ移動。同じく運行開始を待つ登山者が十数人ほど列をなしていた。

 

八方アルペンライン往復券(大人4400円、ちょっと高め)を買ってゴンドラへ乗車。

 

ゴンドラ終点の兎平はややガス気味だが、八方尾根はここからも長い。リフトをさらに乗り継いで先へ。

アルペンクワッド

グラートクワッド

グラートクワッドに運ばれている最中にガスを抜け、青空が出現!

 

辿り着いたリフト終点、八方池山荘は風もそれほど強くないベストコンディションだった。

なだらかな尾根は満遍なく雪で覆われ、気持ちの良い景色が広がる。

八方尾根

さて、問題は雪の状態だ。雪がどれほど締まっているかで装備が変わってくるので、とりあえずツボ足で出発した。

 

8:40 八方池山荘出発

山荘を出発してすぐに上りが始まる。

 

尾根上は雪がよく締まっているらしく、歩いていても足が沈むようなことはほとんどなく、むしろグリップが欲しい雪質だった。

というわけでアイゼンを装備。念のため持ち込んでいたスノーシューだが今回は出番なし。

よく締まった雪

 

登山集団の先頭に出てテンポを上げていくと、さっそく五竜岳鹿島槍ヶ岳が間近でお出迎えしてくれた。

五竜岳(中央) 鹿島槍ヶ岳(左)

五竜岳はどっしりとした堅固な山容が威厳を放ち、鹿島槍ヶ岳は左右対称の双耳峰がチャーミング。名コンビの二座は雪を纏ってさらに魅力を増している。

 

そして、右には白馬三山!右から白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳が仲良く連なっている。青空を背景に白さが際立つ。

白馬三山

 

ここ八方尾根は立派なケルンが複数あることも特徴で、雪面の中で目立つ石塔たちは道を誤っていない安心感を与えてくれる。

八方山ケルン

息(やすむ)ケルン

八方ケルン

雪がやや深くなっている吹き溜まりには風紋が形成されている。足が沈むしんどさと引き換えに得る美しさだ。

ズボる箇所は時折出現するが、スノーシューが必要なほどではない。

 

振り返った尾根は雲海に沈む。

 

八方池ケルン。右下方にあるはずの八方池は雪に埋まっていた



目指す稜線も次第に間近になってくる。この激しく上下する痩せ尾根が不帰ノ嶮(かえらずのけん)。不穏な名前が付けられることも納得の険しさだ。

 

遠目にはケルンにしか見えない木の根

 

10:05 丸山ケルン

最後の主要なケルンである丸山ケルンを超えると、いよいよ稜線へ向かうラストスパート。上りは本格化して尾根は次第に細くなっていく。

 

五竜岳はより近くで迫力を放ち、鹿島槍ヶ岳はその後ろに隠れる形に。

五竜岳、東には遠見尾根が長く伸びる

正面には目指す唐松岳のピラミダルな山容が見え始める。

このあたりで下山組と何度かすれ違う。八方池山荘で前泊した早朝出発組だろうか。

唐松岳

 

尾根が細くなるのと同時に風も強まってくる。体感では10m台前半といったところだが、冬の北アルプスではマシな部類。行動に支障はない。

ストックを装備しつつ、時折耐風姿勢をとりながら慎重に歩みを進めた。

 

強まる風と痩せ尾根


最後に急傾斜のトラバースをクリアし、ようやく稜線へ乗り上げた。

 

そこで見えた唐松岳のなんと美しいこと!

唐松岳

八方尾根からはピラミダルに見えた山容が、稜線に沿って眺めると一転。東に切れ落ちた見事な非対称山稜が現れた。波打つように形成された雪庇がさらに躍動感をもたらしている。

ずっと見ていたくなるような鮮烈さだが、風が強く長居はできない。休憩もそこそこに山頂へ向かった。

 

山頂へ連なる稜線はさほど険しくはなく、ここまでと変わらない調子で登っていける。ただし、雪庇には近づかないように注意。

そして登頂!

 

11:00 唐松岳登頂


山頂は広々としており、障害物が何もない吹き曝し。展望が良い代わりに強風が絶え間なく吹き付け、ガスに包まれては晴れるのを交互に繰り返していた。

 

そんな中で西を見やると、立山連峰のラスボス、剱岳が!

剱岳

岩と氷の殿堂は一目見ただけでそれと分かる存在感を放ち、この角度からだと左に立つ立山三山よりも抜きんでて高く見える。

 

立山連峰

立山を越えた先も展望が続いていて、はっきりと山座を判別はできないが薬師岳ぐらいまでは見えているのではないかと思われた。

 

南には唐松岳頂上山荘と、ここまで登ってきた八方尾根。

 

北には不帰キレットを越えた先に白馬三山。

 

山頂パノラマ

荘厳な白銀の世界が視界いっぱいに広がる山頂。晴れの日に登頂することができて本当に良かった。

景色を思い出に刻んで下山に移った。

 

下山は白馬村やその向こうに広がる妙高・戸隠連山を見ながらの晴れやかな行程となった。

下山の景色もまた美しい

 

妙高・戸隠

 

13:20 八方池山荘下山完了

ラッセルがほとんど必要なかったおかげでタイムは上々。余裕を持って山行を完了できた。

八方の湯で温泉を楽しんだ後、悠々とバスで東京に帰還するのだった。ちなみに露天風呂から白馬三山が見えて最高だった。

 

振り返り

インソールは上々

最近は雪山登山靴を履いていると左くるぶしが痛くなることが多かった。靴は替えていないので、かかとが外向きになったのかも。

生活姿勢やランニングフォームの見直しは必要そうだが、当面の対策としてインソールを純正のものから取り替えてみた。

シダスのアウトドア3Dというかかとのサポート強めなモデル。

sidas.co.jp

結果は上々、痛みを生じずにやり抜くことができた。これで雪山にも不安なく臨めそう。

 

ゴーグル欲しい

今までは雪山登山もサングラスでどうにかしていたが、強風下では雪と呼吸による曇りで視界がぐっちゃぐちゃになる。さすがにゴーグルを買おう...