思念の滝壺

山に登る。

甲武信ヶ岳登山録~急坂!直線!潔し!~

はじめに

GWも半ばの5/4(木)、甲武信ヶ岳に日帰りで登ってきた。

 

なんだかとても潔い山で、登ってて最高に楽しかったので記録する。

 

 

登山計画

今回も例にもれず都内から出発、公共交通機関を利用しての日帰りに挑戦。

先週の雲取山日帰りが問題なく達成できたので、近い位置・近い難易度の甲武信ヶ岳もいけるだろうと判断した。

 

ルートは西沢渓谷から徳ちゃん新道を経由して戸渡尾根を辿り、木賊山を経由して甲武信ヶ岳までのピストン。

 

行きのバスは8:30に塩山駅を出る山梨交通のバス、西沢渓谷に9:30着。

帰りのバスは15:40発の山梨交通便、もしくは16:25発の山梨市営バスに間に合わせることになる。

 

よって、必要なタイムは6時間55分。

標準コースタイムは9時間25分。

標準コースタイムの0.73倍のタイムが求められる。経験上これはいけるな!ということで決定。標準コースタイムは急坂にかかる時間を多めに見積もりがちなことを踏まえると、急坂多め・距離短めの甲武信ヶ岳雲取山よりもタイムが巻きやすいだろうという判断もあった。(じっさい合ってた)

 

ただし、今回の山行は一つリスクを抱えていた。先週の雲取山で起こした強烈な靴ずれが両足ともに治っていなかったのだ。それでもGW中に山に登りたくて仕方がなかったので、上から大判の絆創膏を貼りつつテーピングで固定し、最大限の保護を施して出発した。不安要因が1つならコントロール可能な範囲、むしろ不完全なコンディションでやり切る練習になるだろう!

 

山行録

天気は快晴!なんて幸先がいいんだ!(晴れてる日を狙い撃ちしてるので当然である)

 

塩山駅からのバスは登山者でいっぱい、3本もバスが出ていた。飲み物を買ったりして遅めに並んだため席には座れず。座ることよりも、買い物などの用を確実に済ませられることの方が大事なのでこれでいい。

 

バスからはさっそく奥秩父のゴツゴツとした山容が見え始め、期待感が高まる。

9:40 西沢渓谷出発

西沢渓谷、明るくて清々しい 普通に遊びに来てもよさそう


ウォームアップとして遊歩道を歩く中で、靴ずれの状態を確認していたが、テーピングで固めた甲斐もあって痛みはかなり軽減されていた。歩幅を広げすぎず、無理さえしなければ十分に一日歩きとおせそうと判断。よし行くぞ。

 

遊歩道途中の分岐から徳ちゃん新道に入ると、さっそく土と木の根で構成された急坂がお出迎え。さすが標高2400mを往復15km未満で登り切る道なだけあって最初から容赦ない。急坂と平坦な箇所を繰り返しながら一気に高度を上げていった。

 

前半はおおむねこんな感じの景色が続く

 

坂を登っている最中、いつもと同等の速度なのに、体力の消耗は少ないことに気付く。かかとに負荷をかけないようにするため、自然と歩幅を小さく回転数を上げる効率的な歩き方になっていたらしい。靴ずれは歩き方を学ぶ教材だった...?

 

新しい境地に達しつつも、途中でシャクナゲのトンネルに出会う。ちょうど見ごろで、鮮やかなピンクが登山道に華を添えている!

 

シャクナゲトンネル。

 

花の見ごろを狙って登山のタイミングを決めることはないのだが、こうして偶然出会えると得をした気持ちになる。

 

11:05 徳ちゃん新道・近丸新道合流地点

ここまでで相当タイムを巻いているし、唯一の懸念だった足も大丈夫そう。ここで不安が解消され、気楽に楽しめるようになってくる。

 

ただし、気温が高めなこともあって、快調に飛ばし過ぎると熱中症になりそうな気配が濃厚に漂っていた。筋肉や心肺が大丈夫でも意識的に休憩を入れるようにする。

 

戸渡尾根をしばらく進むと、次第に道は不安定な石で構成された急登となっていき、それを抜けると一気に景色が開けた岩場に出た。

 

雲をまとう荘厳な富士山。

出発地点の広瀬湖まで見渡せる。そしてちゃっかり富士山

https://dl.dropboxusercontent.com/s/va561c6s2xabtqx/IMG_8761-min.JPG

パノラマ写真を貼りたかった。ページが重かったらごめんなさい

 

景色を見ながら一休みしていると、下山中の人から口コミをもらう。なんでも、木賊山の近くに野生のシカの群れが出没しているそう。うーん、30分もしたら移動してるだろうなあと思いつつ、木賊山はどうせ通る道なので、シカに出会えることを期待して山行を再開した。

 

木賊山手前の樹林帯では残雪が見受けられた。たとえ南向きの斜面でも、林にさえぎられた日陰ではこの時期まで雪が残っているようだ。幸い、雪がよく踏み固められていたこと、私が雪国出身で雪の上を歩くのには慣れていたこともあって今回は無事に踏破できたが、いちおう軽アイゼンを持ってくるべきだったと反省。

 

登山道沿いに残雪。

雪を踏みしめながらガシガシ登っていき木賊山に登頂するも、残念ながらシカはおらず。見たかったねえ...

 

名残惜しいが止まってはいられない。尾根を進んでいくと、本日の目標、甲武信ヶ岳山頂が見通せた。

甲武信ヶ岳。な、なんて潔い山容...!

甲武信ヶ岳を間近で見た感想は「この山潔い...!」に集約される。まず山頂がきれいな三角形で堂々と尾根の中央に居座っているし、土砂崩れが起きたらしい箇所も迷いのない直線でスパッと開けている。だいたいこれまで登ってきた道だって、ルートは直線的で傾斜の急な尾根をぐいぐいと正面突破してくるものだったわけで、もう登山全体を通して非常に潔い山だった。好きになった。

 

12:41 甲武信ヶ岳山頂

そして、登頂に成功!

13:30ぐらいを下山に移るタイムリミットとして見ていたが、全くの杞憂だった。まあ、でも意思決定の基準を作っておくのは大事。

 

山頂からは、幾重にも重なった奥秩父南アルプスの山々を一気に視界に収めることができた。おいしい位置にいるんだなあ、甲武信ヶ岳

 

https://dl.dropboxusercontent.com/s/43d2ny3bvquz9g2/IMG_8782-min.JPG

富士山から南アルプスまで。

大いに時間に余裕があることが分かったので、ゆっくり休んで13時に山行を再開した。

 

帰りは木賊山に登らず、北側の巻き道経由で戸渡尾根に戻るルートを選択したが、こちらは残雪がかなり多かった。そりゃ北向き斜面だから当然か。

 

登りのときに効率的な歩き方をできていたおかげか、下山中はずっと足が軽かった。かかとの痛みは少しあったので慎重に歩いていたものの、それさえなければスキップでもしようかと思うほどであった。おかげで下りも快調に飛ばし、余裕をもって西沢渓谷に帰還!

 

一般道に戻ってきたときの晴れやかさときたら

15:25 西沢渓谷帰還

道の駅みとみに寄ってお土産を買いつつ15:40の便で帰るつもりだったのだが、乗るつもりだったバスはまさかの道の駅をスルー。いや、朝はここにも寄ってくれてたじゃん!?...どうやら朝はトイレに寄っていけるようにとの好意で本来止まらない道の駅に止まってくれている、ということらしい。

 

結局、道の駅でゆったりしつつ16:25の山梨市営バスに乗って帰還。こっちはちゃんと乗れてよかった。最後の便だから正直ヒヤヒヤした。

 

それ以外にもJR中央本線が遅延でしばらく止まったり、京王線が遅延で遅れて来たりなかなかに公共交通機関に恵まれない日で、帰宅時刻はかなり遅くなった。

 

帰って靴ずれの様子を確認すると、テーピングは既にふやけて剥がれてしまっていた。が、傷口を覆うという役割だけは最後まで果たし続けたようだった。最後まで歩を止めずにいられたのだから十分がんばった。より機能させたいなら、テーピングはもっとガチガチに巻いていくべきかも。

 

振り返り

コースタイム

山行にかかった時間は5時間45分。

標準コースタイムは9時間25分。

標準コースタイムの実に0.61倍のタイムが出ていた。ワーオ。

 

やっぱり、標準コースタイムは急登にかかる時間をかなり多く見積もっているらしい。じっさい、徳ちゃん新道の上り、標準CTが2時間の区間を1時間で登れていて、そこがタイム短縮にかなり貢献していた。

気付き

多少急勾配だろうと、距離が短いほうが楽

反省点

  • 5月の2000m級は、日本アルプスでなくとも残雪を予期するべき。特に樹林帯の日陰、および北向き斜面。
  • 甲武信ヶ岳登頂に際して、道中の甲武信小屋をスルーしていった。その結果、道中で今辿っている道が正しいのかちょっと不安になった。北西方向の峰が甲武信ヶ岳しかないので間違えようがないのだが、自分の不安を抑えるためにも小屋に寄って分岐を確認し、ルートの正しさに確信をもったほうが良かった。
  • リュックのコンパスを入れていた箇所のファスナーが開けっ放しになっていた。同じところに非常用の眼鏡も入れているので危うく無くしかけた。

飲食物

  • 飲み物は2L+500mL+600mLを持って行き、最終的に1Lほど余った。
    • 飲み物の消費量は上り区間の距離に比例するらしい。坂の激しさでは雲取山よりも明らかに上なのに、飲み物の消費量は少なかった。
  • 今回はちゃんと朝食を食べていった(サンドイッチ)。
  • 行動食はドライフルーツ&ミックスナッツにグミにカントリーマアムじわるバターに男梅グミ。

総括

日帰りでも高山の景色が味わえる、本当に楽しく潔い山だった!自分自身も、ハンデを抱えつつも余力を残しながらタイムを出せた大満足の山行だった!

 

そろそろ本気でテント泊装備を揃えたい。この夏は日本アルプスに積極的に挑戦したいし。