はじめに
2023年も春を迎え、ついに登山が気軽に楽しめる季節になってきた!
ということで、4/28(金)に、今年の初登山として雲取山へ登ってきた。鴨沢バス停から日帰りで。
雲取山って名前かっこいいよね。でも、日帰りで登ろうとすると雲じゃなく足が取れそうになるね。本エントリでは、山行録を記録すると同時に、同じく雲取山日帰りを志す人へのアドバイスができればよいと思っている。
登山計画
本格的な登山も二年目に突入し、それなりに自信がついてきたので、日帰りでピストンすることにした。
登山口までの移動は公共交通機関フル活用である。奥多摩駅までJR、そこから西東京バスで鴨沢バス停まで。
登山開始時刻は9:30ごろになる。都心からの出発だとどうしても8:55発の便に乗らざるをえないため。
帰りのバスの出発時刻は16時代に集中していることも合わせて、
9:30に出発して、16時に帰還する
ことがこの山行を成功させるために必要になる。
標準コースタイムは8時間55分であることを踏まえると、コースタイムの0.73倍程度のパフォーマンスが求められる。自分の過去の山行をみてもこのぐらいならいけそうだったため、勇気を出して実行を決めた。
なお、このルート、奥多摩湖沿いの鴨沢から東京/埼玉/山梨の県境である雲取山頂まで往復で20kmを超える圧倒的長丁場である。水平距離が長いルートの時間短縮は結構難しいが、いけるか!?(いけました)
山行録
当日、青梅線が機器点検のために10分ほど遅延していた。バスの時刻が青梅線と連動するような設定だったのでたぶん待ってくれているだろうという希望的観測のもとに奥多摩駅へ。案の定ちゃんと待ってて、急かしつつも乗せてくれた。ありがとう。
道中「小河内神社」というバス停の名前に見覚えがあった。これは、一昨年初めて登山靴を買って登山したとき、三頭山に登るために利用したバス停だった。本格登山ができるようになってそこをまた通るとは感慨深いなあ。
9:41 出発
天気は快晴!初登山でこれは幸先のいいスタートだあ。気温も高いので半袖で全く問題ない。
きつめの傾斜の舗装路を終えると、いよいよ鬱蒼としたスギ林に入る。久しぶりの森の香りで既に幸福になりつつある。こう書くとヤバい人になってしまう。
9:57 権現平
いったん舗装路を横切って登山道に入り直す。
久々の山行だが、ちゃんと早く寝てコンディションを整えてきたこともあって一定のペースでぐいぐい進める。
権現平から七ツ石小屋までは、登り尾根沿いのゆるやかな上りがずっと続いた。なるほどこれだけ傾斜がゆるければ移動距離も10kmを超えようというものだ。
道中、修行僧のごとく木の枝を2本杖として使っている人やペース速めの登山者を追い抜いていく。他の人と比較することで、自分がかなりペース出てるらしいことを客観的に把握する。
途中で富士見ターンという面白い名前の切り返しがあったものの、そこから富士山は見えず。そもそも南向きに開けている斜面なので、ここから見るのは無理では?
11:30 七ツ石小屋
七ツ石小屋では飲み物や食べ物が充実、宿泊もできるようでかなりありがたい拠点のよう。
写真の奥にあるベンチからは景色が見渡せるが、そこでようやく富士山が見えた。見えるには見えるが、霞がかっててはっきりしない。もっと登ってからに期待したいところ。
ここから先は複数のルートに分岐して複雑なので、道迷いに注意である。私は七ツ石山に登頂してから、石尾根に沿って雲取山頂まで進むルートを取ることにした。
11:48 七ツ石山
ピーク手前ではさすがにハードな道になるだろうと思っていたが、意外とするっと登れてしまった。
でも、ここまでの道よりも傾斜はきつかったはずなのだ。それでしんどさをあまり感じなかったということは、自分の登山力がかなり上がっている...?去年一年間の登山経験+冬の間の体力トレーニングが効いている...!
七ツ石山からは一気に石尾根縦走路が見通せて気持ちよかったが、いかんせん山頂付近の木は葉が落ちているし、縦走路は植生が禿げがちだしで少し寂しい景色だった。
植生の禿げについては、途中ヘリポートがあったのでそのために必要という側面もあるし、そもそも人為的な要因と自然的な要因がどの程度の割合で作用しているかもわからない。(尾根はそもそも守られておらず植物にとって厳しい環境だろう)
とはいえ、丹沢で植生保護柵や木道を張り巡らして徹底的に植生を守ろうとしていたことを思い出し、「あれって本当に大事なことなんだな」と気づくのであった。実際、あちらは尾根であっても植物が元気に生い茂っていて、山肌が露出している部分がほとんど見当たらなかった。
雲取山域ではそういったものは全くなかったので、植生を守るための施策をどこまで講じるかは、山や登山道の管理者によってかなり方針が違うのだろう。
気を取り直して山行に戻ると、七ツ石山から鞍部の最低点まで結構下ったため、帰りの上り返しが今から予感されやや絶望を覚える。いや、今日の絶好調の自分ならいける、恐れるな...
この辺でエネルギーが切れだしたのをはっきり感じたので(前回鍋割山に上ったときと同じ感覚、今回も例のごとく朝食を食べていない)、本能に忠実になってカントリーマアムをむさぼる。カントリーマアムチョコまみれ、おいしくて好き。そして元気が戻ってくる。経験から学べていて良いぞ。
そして、雲取山へのラストスパートの上りは最も激しい傾斜だった。さすがに百名山かつ2000m超えの風格、試練がちゃんと待っている。
12:55 雲取山頂
登頂!ここまで3時間ちょっと、すばらしく予定を巻いている。余裕ありありなのでゆったり休憩をとりつつ、帰りも急ぎ過ぎないことに決める。
真の山頂を間違えて写真を撮り直したりしつつ、20分ほど休んで13:17に山行を再開する。今回はピストンなので、同じルートを辿って帰還することになる。
七ツ石山手前で、上り返しの必要がない迂回ルートがあることを思い出すも、無視して七ツ石山に登りなおす。まだまだ元気だし、登ってこその登山だよなあ!?
14:08 七ツ石山
往路ではちょっと絶望していた上り返しだったが、雲取山へのアタックに比べればはるかに楽だった。
ここからはいよいよ下り一辺倒となる。靴紐をきつく縛りなおして下山モードに切り替え再出発。
ここで改めて思う、下りでスピードを出すのって本当に難しいと。上りと違って、単純に心肺機能や筋肉を鍛えればよいというわけではない。それらの効果はあまり大きくはなく、むしろ歩き方の技術の領域だと感じる。着地の衝撃をうまく受け流しながら、筋肉に負担をかけず、滑って事故を起こさないようにしつつスピードを上げていく。これにはまだまだ精進が必要そう。
そんなことに思いを巡らしつつ、思いとは裏腹に石を踏んづけて足を滑らせたりしつつも、無事に鴨沢までたどり着く。
途中、15時ごろに権現平近くを登っている人がいて少し心配だった。この登山道は一番近い拠点で七ツ石小屋のはず、日没までに間に合うかな...
15:52 鴨沢帰還
出発が若干遅かったり、山頂でゆったり休んだりしつつ、結局16時手前にバス停に帰還することに成功!16:03のバスに乗って帰宅した。
私は帰りのバスや山小屋宿泊時に気持ち悪くなりがちなのだが、今回はならなかったことも特筆すべき点である。あまり根を詰めず余裕を持てていたからかも。
体調は万全で帰ったわけだが、筋肉の方はそうもいかず、さすがに電車で立っていた時は足が悲鳴を上げていたし翌日はばっちり筋肉痛になった。2000m級、往復20km越え、何も起きないはずもなく...
コースタイムと気づき
コースタイム評価
山行にかかった時間は6時間11分。
標準コースタイムは8時間55分。
標準コースタイムの0.69倍で行動できていた計算になる。
余裕をもって休憩を入れつつ、下りは急がずこれなので上々。
気付き
- ピストンは偉大にして王道。さっき通ったからこの道だよね、でルートを決定できる安心感は代えがたい。
- 道を間違えそうな怪しい箇所で自然に立ち止まれるようになってきた。地図を見直し、それぞれの道の様子を観察し、目印がついていないか見渡して慎重にルートを見定められた。
- おかげで今回道間違いが発生しなかった。経験を積むのって大事。かといってそれにあぐらをかいて警戒心ゼロで歩くのは危ないので、常に観察と警戒を意識下で走らせておきたい。
- ひどい靴擦れを起こした(両足のかかとの皮が剥けた)。久々の登山なのでこれが起こることは予想してしかるべきだった。摩擦が問題なので、はじめから大判の絆創膏をかかとに貼っていけば防げたはず。
- 尾根の日差しはキャップで防ぎきれるものじゃない。去年の北岳で紛失したサングラス、買い直したくなってきた。
- ストックも欲しくなってきた。使わない方がトレーニングになるが、保険としては常に携帯しておきたい。
飲食物関連
- 水分は2L+500mL+600mL、ちょうど消費しきった。長い行程なので消費量が多かった。道中の七ツ石小屋で飲み物が売っていたので、万が一足りなくなっても大丈夫だったと思うが。
- 行動食はカントリーマアムとクリーム玄米ブランと男梅グミを持っていった。男梅グミすごくいい。甘いものが多い行動食の中でアクセントになるし、塩分補給ができる。
鴨沢ー雲取山の日帰りを志す人へのアドバイス
- 公共交通機関で来る人は、休日にチャレンジした方が良い。
- 8時代のバスが、平日は8:55発なのに対し、休日の方が8:35発なので早く出発できる。
- 下りのタイム短縮にはそれほど期待しない方が良い。
- 単純に水平移動距離が長いので、下りにもそれ相応の時間がかかる。それを見越して、上りできっちりタイムを稼げることが大事。
- 七ツ石山は迂回するのが無難。
- 迂回ルートがちゃんとある。タイム自体は登ろうと迂回しようと大して変わらないのだが、登ればその分だけ体力を消費する。往路だけ登頂しておく、とかでもいいと思う。
総括
今年初の登山、天気にも恵まれ、長い道程を万全の体調でやり通すことができてとても楽しい山行だった!
GWがすぐにやってくる。かかとの靴擦れが治り次第、次は甲武信ヶ岳にチャレンジしたい!