はじめに
ここ数週間は悪天候続きだったり体調を崩したりで山に行けない日々が続いていた。特に三連休の天気がパッとしなかったのは痛かった。
とはいえ、ようやく天気も体調もそれなりに良いタイミングが久しぶりに訪れた。秋を楽しむべく、10/25(土)に妙高山・火打山へ日帰りで登ってきたのでその様子を記録する。
妙高山・火打山とは
妙高山は新潟県、北アルプスの東方に位置する標高2454mの火山。
北信五岳の一角をなし、その中でも最高峰。西半分を取り囲む馬蹄形の外輪山と中央の溶岩ドームからなり、裾野が非常に広いこともあって周囲にはスキーリゾートや温泉地が多数発達している。
対する火打山は、妙高山の北西に位置する妙高連峰の最高峰、標高2462m。
妙高山・焼山という火山に挟まれているものの火打山自身は火山ではなく、緩やかな稜線や裾野に広がる池塘の湿原を特徴とする。
標高こそ妙高山より高いものの、麓の平地から見えないという性質から比較的知名度は低い。
登山計画
妙高山へ登るルートは大雑把に分けて2通り、東の温泉街側から登るものと、南の笹ヶ峰から黒沢池を経由して登るものだ。
今回は縦走なので、上りと下りでできるだけ違う道を通りたいものだ。そこで、東の温泉街から登って西へ下り、火打山へ寄ってから笹ヶ峰へ下山することに決定。
東からの登山道にも複数あるが、赤倉温泉からのルートは落石につき通行不能となっていたので燕温泉ルートを採用。
登山口までのアクセスについては、基本的に妙高高原駅から運行している路線バスが活用できる。
だが、いずれの便も始発の時刻が微妙に遅い...!始発を待っていたら山行開始が8時以降になってしまいそうだ。
それならいっそということで、早朝に妙高高原駅を出発してオール徒歩で登山口まで移動することに決めたのだった。
当日のアドリブ
当初の計画では妙高山と火打山の中間地点、高谷池ヒュッテでテント泊する予定だった。コースタイムが非常に長く、火打山へ登った時点で時間切れになり下山するまでの時間がなさそうだったためだ。
実際、テント泊装備を持って山に入り、テントを設営してから火打山へピストンするところまでは予定通りだった。
だが、ピストンを終えた時点でタイムが想像以上に巻けていたこと、翌日の天気予報が芳しくないことから予定を変更、張ったばかりのテントを撤収して笹ヶ峰に下山したのだった。

結果的に歩行距離33km、獲得標高2800mのエクストリームな山行にはなったが、最後まで心の余裕を失わずに歩き通せた。おかげで写真もたくさん撮れたので振り返っていこう。
山行録
妙高温泉で前泊
前日10/24(金)に北陸新幹線で長野駅まで移動、そこからは北しなの線で妙高高原駅へ。
駅のほど近くにある旅館、香風館で宿泊して翌日に備えた。

深夜に到着したため風呂場は貸し切り状態、めっきり冷え込むようになった外気を吸いながらぬくぬくと露天風呂に浸かっていた。
久しぶりに旅館の謎スペースにも出会う。この空間には不思議な魅力がある。

4:20 出発
山行当日は朝4時に起床。
バスの始発に追い抜かれてはバスを使わないことを選んだ意味がない。朝食もそこそこに妙高高原公園線を歩き始めた。
この道路、街灯がないので真っ暗なうえ、道沿いに民家などもほとんどないので正直クマとの遭遇が怖かった。時間帯もよりによってクマの行動が活発になる早朝。
幸い今回は出会わずに済んだが、全国でクマ被害が激増している昨今、そろそろ私もクマスプレーなりの自衛手段を用意した方が良さそうだ。
1時間ほどじりじりと標高を上げながら妙高山へ近寄っていくと、赤倉温泉へ到着するあたりで空が明るくなり始める。

妙高高原スカイケーブルのりばも横目に見ながらひたすら歩く。この時点で時刻は5:20、スカイケーブルの運行時刻は8:00から。スルーして徒歩で登った方が圧倒的に早い!
まあ、そもそもスカイケーブルの先に続く赤倉登山道は現在通行止めだが。

明るさが増すとともに、妙高山の抜きんでた山頂が顔を出してくる。名前に偽りない高さ。


山頂近くは紅葉が終わったらしく、葉を落とした森の色合いになっているが、山麓ではむしろ紅葉が始まりかけといった雰囲気。
滝が景色を彩る中を進み、登山口である燕温泉へ到着した。


6:30 燕温泉登山口
燕温泉は赤倉温泉・関温泉を越えたさらに奥地にあるためか小ぢんまりとした印象。だが自然への近さはダントツ、神奈山が間近に見えて大迫力だ。



ここまで延々と歩いてきた車道とはようやく別れを告げ、登山道へと入る。
登山道とはいいつつも、称名滝までは舗装されて傾斜も弱いトラバース道が続く。



舗装道の終点には掘っ立て小屋が。なんたってこんなところにと思い近づくと、どうやらここが赤倉温泉の源湯であるようだった。


湯気の吹き出す源湯の横に冷たい湧き水が出ているのも不思議な景色だった。しかもその水はそのまま飲めた。ここの地下はどうなっているんだ。
縦に二段連なる光明滝・称名滝もこの登山道の魅力だ。温泉成分が滝にも含まれている影響で岩盤が変色している。

滝を過ぎたあたりから登山道は本格的に傾斜を増していく。とはいえ危険箇所はそれほどなく、葉が落ちた樹林帯に快晴の日が注ぐ、明るく快適な道のりが続く。

上りが途切れる天狗堂で一息つき、妙高山頂へ向けたスパートに入る。



九合目には長大な鎖場が最後の試練として待ち構える。
高度感はあるが、岩に深く足場が刻まれているため丁寧に登ればさほど危険ではない。




そして登頂!
9:10 妙高山登頂



山頂は低木の葉も落ち切った晩秋の様相。気温が低く風も吹いているため、ソフトシェル1枚では寒いぐらいのコンディション。明日雪が降っても不思議ではないぐらいの雰囲気だ。
この時点ではまだまだ周囲が晴れており、充実の展望が楽しめる。
西の外輪山を越えた向こうには火打山と焼山が並び立つ。いかにも溶岩ドームという感じでこんもりと盛り上がった焼山と、穏やかに裾野を広げる火打山のコントラストが面白い。

南西には北アルプスも。朝日岳や雪倉岳に始まり、白馬岳から鹿島槍ヶ岳へ連なる後立山連峰の姿がすっきりと見える。改めて北アルプスが近い山域というのを実感。

ここまでで既に行動時間は5時間に達し獲得標高も2000mを超えている。登りが若干しんどくなってはいるものの、行程を完遂するだけの元気は残っている。火打山へ向けて行動を再開した。
山頂から一度標高を下げたのち、外輪山を越えるために大倉乗越へ登り返す。


振り返った妙高山の山容が強烈で改めてびっくりする。こんなに突出しているのか。

火打山を目の前に見据えながら、ほどなくして黒沢池ヒュッテに到着。
青いドーム状の建物が特徴的な山小屋だが、今年の営業は終わっているようだ。水場もなくトイレも閉鎖しているようなのでささっと通過。




11:00 高谷池
茶臼山を越えてさらに歩くと池塘の広がる湿原に到着した。ここが今日の宿泊(する予定だった)地、高谷池だ。



テント場は池のすぐそばにあり、20張ほど設営できそうなスペースが広がる。
水場もあるものの、池の水が混じっており浄水煮沸が必要とのことだ。
テントを設営して小休憩。
空が雲に覆われ始めており、体感温度も低下している。そこそこ寒さを感じていたので風を受けない拠点は頼もしい。
さて、火打山へは短距離をピストンするだけなので大部分の荷物はデポできる。
上にレインウェアを着込み、ポケットに飲み物や地図を入れ、何も背負わない超軽装で火打山ピストンへ臨んだ。
歩き始めてしばらくは緩やかな木道が続き、天狗の庭と呼ばれる湿原を通っていく。


天狗の庭を過ぎた先で上りが本格化。ライチョウ平で一段落した後、さらにラストスパートの木階段が待ち構える。



そして、山頂まであと数十メートルという場所でライチョウに出会う。
冬毛に衣替えしており、白いモコモコの毛に包まれた姿は登山道ではっきりと目立つ。かわいい。


こちらに歩いてきてくれたので間近で眺めることができたうえ、最後には飛んで去っていった。ファンサービス盛りだくさんで助かる。
というかライチョウが飛ぶところを初めて見た。いかにも飛べなそうなぽてんとした体型だが、いざ飛び立つと意外と俊敏に羽ばたいておりそこには鳥類の威厳が一応あった。
嬉しいサプライズの末に火打山へも登頂完了。
12:50 火打山登頂

緩やかな火打山らしく山頂も広々としているが、あいにく雲に覆われて展望はなし。
すぐに復路へ移るわけだが、ここで日帰りプランが頭をもたげた。
現在13時、笹ヶ峰から妙高高原へのバス便は16時ちょうど。3時間でテント撤収と下山を済ませれば今日中に山行を完了させられる。天気が悪くテント泊が楽しめなさそうなことも合わせ、日帰りへの切り替えを決断したのだった。
高谷池へ戻ったのが13:40。超特急でテントを畳んだ結果、20分で撤収に成功、14:00には下山へ移ることができた。
笹ヶ峰への下山路は木道がよく整備されていてとても歩きやすい。樹林帯はまだ葉が落ちておらず、ピークを迎えている紅葉を楽しみながらの帰路となった。


15:30 笹ヶ峰下山完了
最終的にバス出発まで30分の時間を残して下山を完了。残った行動食を外でまったりと食べる時間も取れつつ、バス・北しなの線・新幹線を乗り継いで帰還するのだった。

総括
史上最長クラスの行程をこなしつつも、晩秋の妙高山・火打山の魅力を存分に味わいライチョウとの出会いもある余裕の山行だった!