思念の滝壺

山に登る。

白馬岳登山~雲掻き分け天上の世界へ~ ①白馬鑓温泉で宿泊

はじめに

7/20(土)から7/21(日)にかけて、テント泊で白馬岳へ登ってきた。

今年初めての北アルプス登山は、夏でも残る雪渓・山中の温泉・天上の花畑・雄大な稜線と、高山の魅力を満喫できた会心の山行となったので記録を残す。

 

 

登山計画

アクセス

白馬岳の登山拠点となるのは、麓の白馬村だ。

東京から白馬駅まで鉄道だけで行くのは現実的ではない。甲府・松本経由でざっと8時間はかかる。

残る選択肢は大きく2つに絞られる。

 

結局高速バスを使うのが一番手っ取り早いのでそちらを選択。

人気路線らしく、金曜夜出発の夜行便は予約が埋まっていて取れなかったため、土曜朝に出発する昼行便を確保した。

 

登山計画

1日目、白馬八方バスターミナルへの到着が13時ごろ。

バスかタクシーで猿倉登山口へ移動、登山開始。

1日目は鑓温泉でテント泊する。

 

2日目に白馬岳へ登頂。

白馬大池を経由して栂池平へ下山。

帰りはロープウェイとゴンドラを利用して栂池高原へ→路線バスで白馬八方バスターミナルへ→高速バスで東京へ、という計画になった。

赤:1日目。猿倉から鑓温泉まで
青:2日目。白馬三山を縦走、栂池平へ下山

1日目の時間にやや余裕がないが、これは当初想定していたルートが白馬大雪渓経由だったことに由来する

計画を1度立てた後に白馬大雪渓通行止めの報が入り、急遽宿泊場所を白馬尻から白馬鑓温泉に変更したのだった。

www.vill.hakuba.lg.jp

とはいえ鑓温泉までのルートは標高も低く危険個所もない、日が長い今なら問題ないだろうということで計画を決行した。

 

1日目:鑓温泉へ

2時間遅れでのスタート

幸先の悪いことに高速バスが二度の渋滞に捕まって大幅に遅延。白馬八方バスターミナルに着いたのは14:30ごろとなった。

車内で結構焦っていた

白馬村の様子。山も見えそうな雰囲気

登山口の猿倉までの路線バス便は最終が出てしまっているので、しぶしぶタクシーで移動することに。

 

山行の出発時間としてはかなり遅い部類になったが、

  • 天気は良好で夕立の心配もなさそうなこと
  • 鑓温泉までのルートに危険区間がなく、自分のスピードなら多くとも3時間以内に抑えられること
  • テント泊であること(山小屋泊だと夕食の時刻がある)

を踏まえ問題ないと判断、猿倉荘から先への道を踏み出したのだった。

登山口の猿倉荘

斜度も景観も穏やか

登山口近くに咲いていたエゾアジサイ。花弁の位置が独特

北アルプスを実感する

案の定、鑓温泉までの前半道は豊かな植生に覆われた斜度の緩やかな道で、特に苦労もなくペースを上げていく。

気温が30℃近いため、テント泊装備と合わせてあっという間に汗が噴き出してきた。北アルプスといえど麓ではこんなものだなあ。鑓温泉ではその名の通り入浴できるので、それまでの辛抱だ。

 

垣間見えた小蓮華山(?)

 

前半は淡々と森の中を歩くだけだったが、後半にさしかかると、道は次第に北アルプス・白馬らしさを醸し出すようになる。

 

双子尾根・小日向山に挟まれた鞍部をまたいだことで、目の前に鑓温泉小屋が目に入る。それと同時に視界は大きく開け、ついに白馬岳の威容が姿を現した!山頂部こそ雲に包まれて見えなかったが、東に向けて切り立った山形・谷に走る鮮烈な雪渓は他にない素晴らしいものだ。

「ああ、私は久々に北アルプスに来たんだ...!」とようやく実感を受ける一幕であった。

白馬岳!

白馬乗鞍岳にかけての稜線

花を愛でる

白馬岳山麓にはもう一つ素晴らしいところがあった。雪渓の豊富な雪解け水のおかげなのか、道中に豊富な花畑と湿原を見つけられるのだ。

7月というタイミングの良さもあり、色とりどりの花による色彩が入り乱れていた。

タテヤマウツボグサ

オタカラコウ

シモツケソウ

ナメルギボウシ

クルマユリ

オニアザミ

爽やかな草原。ニッコウキスゲも咲いている

花の名前を当たり前のようにキャプションに書いているが、実のところ帰宅してから調べている。現地ですぐに名前が分かったらそれもまた楽しいだろうなあ。

こうやって写真から花の名前を特定する作業を通して知識を増やしていきたいところ。

 

雪渓を渡る

そうして進んでいくと、沢をまたぐトラバース区間に差し掛かる。ここでは沢に残る雪渓を渡る箇所が3つ登場した。

雪上にペンキのガイドと踏み跡がしっかりついているため、軽アイゼンなしでも余裕をもって渡ることができた。とはいえ、雪はかなり固く締まっていて滑落に注意する必要があるうえ、それなりに登らなければならない箇所もあった。軽アイゼンを持ってくるに越したことはないだろう。

あの雪渓を渡る(赤いペンキがうっすら見えるだろうか)

本来のルートは崩壊しているので、だいぶ下側に引き直されているようだ

思いの外固い!慎重に足を運ぶ

雪渓のど真ん中から沢を見下ろす

そうして無事雪渓を切り抜け、いよいよ登山道の標高が本格的に上がりだしたころに鑓温泉小屋へと到着するのであった。

中央の出っ張りが小日向山。左の鞍部を通ってきた

浸食地形と雪渓が間近に

鑓温泉で悠々テント泊

鑓温泉小屋は斜面上に張り付くように建っている小屋で、テント場は小屋の下方に階段状に整備されていた。

東に向けて大きく展望が開けているため、地平線に目を向ければ妙高山高妻山をはじめとする北信の山々が並び立っている。

それを「鑓温泉」の名に違わぬ露天風呂に浸かりながら眺めるのは、まさしくここでしかできない体験であった。

 

鑓温泉小屋

北信の山々!火打山妙高山高妻山戸隠山など

足湯もある

利用者の数は多すぎず、テント場のスペースには余裕あり。土はペグが刺さりにくい粒子粗めの砂といった感じだったので、重石を取ってきて固定する方が効果的だった。沢らしく風もそこそこ吹いていたため、ここで泊まるならテントの固定は丁寧にやった方が良いと思われる。

 

近くに沢が流れているため、せせらぎの音が絶好の睡眠導入剤となった。


2日目へ続く!

trthff.hatenablog.com