はじめに
登山計画と事前準備はこちら。
今回からはいよいよ当日の記録を書いていく。1日目は屋久島に上陸し、淀川小屋で宿泊して翌日の縦走に備えるところまで!
飛んで屋久島
屋久島までの移動は飛行機、それも羽田からの朝一番の便(鹿児島行き6:25-8:15 & 屋久島行き8:50-9:30)だ。そこで始発電車で羽田に駆け付けた。
1時間前には羽田に着いて余裕たっぷりだと思っていたのだが、それでも搭乗に遅れかけてびっくりした。
登山用のリュックが自動荷物預入機を通らなかったことがまずかった...リュックをコンベアに載せてコンベアが動き出すところまでは順調だったのだが、動き出した直後にコンベアが止まってうんともすんともいわなくなる。動かない原因を表示してくれないので解決法もよくわからない。しばらく苦闘したのちに、けっきょく特殊荷物預入カウンターに並ぶことになり、ここまでの一連の流れでかなりの時間を費やしてしまった。
保安検査場を通過したときにはすでに6:13(搭乗締め切り2分前である)。検査場から搭乗口まで猛ダッシュで向かったが、正直なところ半ば諦めの境地に至りながら走っていた。いっそ開き直りを決めてしまい「家で3連休を過ごすのも悪くないかな~」といった具合だ。
それだけに、搭乗口にぎりぎり間に合い搭乗客の列に並ぶのに成功したときには、屋久島に行ける嬉しさと早々に諦めてしまっていたばつの悪さがないまぜになってなんとも複雑な気分であった。
ひと悶着はあったが、なんだかんだで旅は始まる!
鹿児島空港で乗り継いで屋久島空港へ到着。幸い天気は穏やかな曇りで、無事なフライトとなった。
空港を出た瞬間の第一の感想は「あったけえ」に尽きる。いまだ肌寒い日々が続く東京とはまるで違い、すでに春の陽気に満ちていて半袖でも大丈夫なぐらい。気温を測ってみると驚きの24度。標高が高いところではもう少し寒いだろうが、それでも快適な旅になりそうだ...!
もう一つ印象的だったのは屋久島という島の地形の特殊性だ。屋久島空港から一方を見ると大海原の水平線が広がり、その逆にはゴツゴツとした山塊が間近にそびえて市街地を見下ろしている。孤島でありながら一つの大きな山であり、人間はかろうじてその端に取り付いているにすぎないようだ。今からその山に分け入ることが楽しみになってきた。
屋久島空港の売店では事前に聞いていた通りガスボンベが売っており、無事調達に成功。温かい食べ物飲み物には困らなそうだ。ついでに一口ようかん(たんかん・ぽんかん・安納芋)や黒糖ピーナッツといった現地のおいしそうな行動食を買いそろえた。
屋久島第二の町、安房
安房川沿いに島内第二の規模の市街地が形成され、そばの台地上に神社が建っていたりと起伏に富んだ印象を受ける町だった。
その「そばの台地上に建っている神社」であるところの栗穂神社へお参り。
このころから天気の均衡が崩れて雨が降り出す。雨は弱まる様子を見せず、しとしとからザーザーの領域へ突入。
山に入る前からレインウェアを濡らすのは不本意だったので、いったんモスバーガー安房店に避難、昼食をとりながらバスまでの時間をやり過ごす形に。都合の良いことに店内にはお土産売店が併設されていて、そこで傘を買うことができた。
もともと傘を持ち込むことは全く考えていなかったのだが、現地で買ってみて初めてその便利さを理解した。特に山小屋宿泊時、トイレなどで外出する際にレインウェアを着る必要がないことの快適さときたら!とはいえ普通の傘はかさばるので、雨が予想される宿泊山行では折り畳み傘を持ち込むのがバランスよさそうだ。
図らずも店内で地図を広げて計画の細部を詰めなおす機会を得たのち、13:38の紀元杉行バス便に乗り、いよいよ屋久島の中心部、山岳地帯へと踏み込むのであった。
山中へ
明るい葉の広葉樹と若い杉の混交樹林帯を走りながら徐々に標高を上げていく。
車窓から見える山々は起伏に富み、どの稜線がどのピークにつながるのか、登った先は果たして下りなのかも分からない変幻自在の山塊、さながら神々の実験場のようだった。地形図を見たときもそのピークの多さと不規則さを面白く思っていたが、やはり実際に目にした光景もそれ以上に面白かった。
途中に観光施設であろうヤクスギランドを通過して終点である紀元杉に到着。
ここからは徒歩で舗装道を進んで淀川登山口に入っていく。今日の目的地はその先の淀川小屋だ。
登山口からは木の根と土メインの登山道が続き、ところどころで木階段や木道が設置してあるなかを1.5km歩いてほどなく淀川小屋に到着した。さすがに今日はウォーミングアップ程度ということでアップダウンも少なく、傘を差しながら歩いていた。
宿泊 in 淀川小屋
15:50には淀川小屋に到着。外見は苔むした感じだが、中に入るときれいに使われていて清潔感のある拠点だった。
内部は廊下が中心に伸び、左右に2階構造の就寝スペースがある形になっていた。幸い、宿泊者は私を合わせて4組ほどしかいなかったおかげで小屋をあぶれることもなく、それどころか2階の3人分ぐらいの幅を取ってゆったりと宿泊できた。3月に来たのはこれがやりたかったからというのもあるので、目論見は大当たりだ。
標高が高いこともあって夜には気温が10度まで下がっていたが、寝袋+シュラフカバー+乾いた服によってぬくぬくと眠りについたのだった。
明日はいよいよ本格的に縦走が始まる。雨は降るだろうが、負けずに九州最高峰宮之浦岳を駆け抜けるぞ!
2日目へ続く。