はじめに
3/23(土)から3/25(月)にかけて、屋久島を2泊3日で縦走登山してきた。
縄文杉をはじめ世界自然遺産を誇る堂々の森林と、九州最高峰である宮之浦岳の縦走を満喫できた充実の3日間だった。屋久島らしく雨は多かったが、温暖な気候もあって万全の体調で歩きぬくことができた。
その記録をいくつかのエントリに分けて残そうと思う。
最初は0日目として、事前に準備した装備や登山計画について振り返る。同様に宮之浦岳縦走を考えている人への参考になればうれしい。
計画材料
3月における屋久島の気候
屋久島は、南西諸島と九州の中間という位置づけからもわかるように、3月にはすでに春を迎えて温暖になり始める。3月末ともなれば平均最高気温は20度に届き始め、最低気温も10度を下回らない暖かさだ。今年は暖冬なのでなおさら気温は高くなるだろう。
一方、天候は安定しないことが予想された。『山と高原地図』いわく、「3月中旬から4月上旬は『木の芽流し』と呼ばれる菜種梅雨の時期でぐずついた天候が続く」とある。とはいえ、この温暖さであれば、雨に降られ続けてずぶ濡れになっても低体温症のリスクは小さい。
なんなら観光客の数が激増するであろう4月以降よりは静かな山行が楽しめると期待できたので、3月末に屋久島を訪れることを決めた。
屋久島へのアクセス
屋久島へ到達するための交通手段は3つある。飛行機・高速船・フェリーだ。
高速船・フェリーともに屋久島までの便が出ている港へ移動する必要があり、そのうえで飛行機よりも長い時間をかけて船に揺られることになる。
鹿児島住みだったりしたらまた別だが、私は東京住みなので飛行機ほぼ一択である。早めに予約すれば料金もあまり高くならない。
そこで、JAL羽田↔鹿児島便とJAC鹿児島↔屋久島便を乗り継ぎで予約した。
鹿児島ー屋久島間はJACしか運航しておらず、またJACはJALのグループ会社なので、JALのサイトから一括で乗り継ぎ便を予約してしまうのが一番手軽で分かりやすい。
予約したのが3か月以上前で、なおかつスペシャルセイバーを利用したので、往復でも3万円程度に収まった。
登山口へのアクセス
屋久島内での登山口への移動はほぼ屋久島交通の路線バスを利用することになる。
屋久島交通の時刻表は↓のリンクにすべてまとまっているので、これさえ見れば計画が立ってしまう。
https://yakukan.jp/wp-content/uploads/2024/03/taneyakubus-timetable_20240301.pdf
まつばんだ交通も運行しているが、基本的に宮之浦から荒川登山口・白谷雲水峡へダイレクトにアクセスする路線で便数が少ない。
https://yakukan.jp/wp-content/uploads/2024/03/matubandabus_timetable20240301.pdf
宮之浦岳を縦走するにあたって、主に利用できる登山口は白谷雲水峡・荒川登山口・淀川登山口になる。
白谷雲水峡へは屋久島第一の町である宮之浦からバス便が運行している。
荒川登山口・淀川登山口へは屋久島第二の町である安房からバスで行ける。
ちなみに、バスでは現金支払いにしか対応していないうえ、新500円玉・5000円札・1万円札の両替ができないため注意が必要。1万円札などはあらかじめ崩して大量の1000円札を持ち込むのが望ましい。
縦走登山に必要な情報
山小屋事情
屋久島主稜線を縦走するにあたって宿泊は必須になる。
屋久島には有人営業山小屋は存在せず、要所に無人の山小屋が設けられているのみである。寝袋を持ち込んで雨風を避けて寝ることができ、トイレや水場も備え付けられているので活用できる。定員を超えた場合には小屋外のテントサイトでテント泊する必要があるので、小屋泊するにしてもテントは携帯していく方が望ましい。
ガスボンベの扱い
宿泊山行にあたって、バーナーを使うためのガスボンベもほぼ必須といってよい。
飛行機移動の場合は、ガスボンベは危険物扱いとなって島に持ち込むことができないため、現地で買う必要がある。
幸い、そのような登山者の事情を屋久島の方も織り込み済みのようで、屋久島空港の売店でイワタニプリムスの250g ノーマルガス缶が売っている。しかも、山行の後に使いきれなかった缶を持ち込むと預かって処理してくれる。至れり尽くせりだ。
なお、バーナーとガスボンベのメーカー互換性はあまり気にしなくていいようだ。私はSOTOのアミカスをイワタニプリムス缶に挿して使ったが問題なく着火できた。
ここまでの事前情報を踏まえて、ついに計画が完成。
完成した登山計画
1日目: 3/23(土)
9:30ごろ屋久島空港→(10:23のバス)→安房→(13:38のバス)→紀元杉→(徒歩)→淀川小屋で宿泊
空港や安房でガスボンベと行動食・飲み物を調達。
2日目: 3/24(日) 縦走のメイン日
淀川小屋→宮之浦岳→新高塚小屋で宿泊
時間に余裕があれば黒味岳や永田岳の往復も組み込む。
3日目: 3/25(月) 屋久杉や雲水峡の観光日
新高塚小屋→白谷雲水峡に下山
その後はバスで宮之浦まで帰っても良いし、楠川歩道を通って自力で下山しても良い
増水で白谷雲水峡が使えない場合は荒川登山口へ下山して安房へ戻ることも視野に
事前準備したこと
- 防水対策は徹底していった。
- リュック内のあらゆる荷物をビニール袋に包んだ。
- 行動用の衣服と睡眠・移動用の衣服を1セットずつ用意し、山行中はどんなに濡れても行動用を着るように、睡眠・移動用は乾いた状態を保つようにした。
- レインウェアの撥水性を復活させておいた。
- ダウンの寝袋は濡れで機能低下しやすいので、濡れ防止のためシュラフカバーを買った。
- 食糧計画
実際に辿ったルート
当日はおおむね計画通りに行動することができたが、時間に余裕があったため寄り道した部分もあり、たどったルートは下図のようになった。
次回のエントリからはいよいよ1日ごとに山行を振り返っていく。
1日目へ続く!