1日目
はじめに
本エントリは黒部源流域縦走の2日目、8/11(日)の記録である。
スゴ乗越小屋を出発して北から薬師岳へ登頂、そのまま南の太郎平キャンプ場を目指す!
2日目:薬師岳越え
快晴の目覚め
縦走2日目となる今日は薬師岳を越えていくが、歩行距離がだいぶ短いため、時間には大いに余裕がある。
夜の間に小雨で濡れたテントを少しでも乾かしたいという意図もあり、6時ごろまでぐっすり寝たのちに準備を開始、7時にテントを撤収完了して出発するのであった。他のテントは既にすべて撤収されており私は最後の一人に。みんな早いよ。
結局テントはあまり乾かなかったが、天気は鮮やかな青をたたえた快晴。宿泊地でテントを早めに設営すれば昼の間に乾かせそうだ。
登りは続くよどこまでも
前日が初使用の重いリュックを背負っての長時間歩行だったので疲れが溜まっていないか心配していたが、懸念をよそに足は問題なく動いてくれる。幸い今日は一度登り切ればあとは下るだけ、3日目以降へ備えて力を蓄えつつ慣らしていこう。
薬師岳へ向けた登りは基本的に低木・草原帯の緩斜面が続くが、地図から想定するより道のりが長く感じ、また複数のピークを挟んで稜線の向こう側が見えづらいので山頂の勘違いが発生しやすかった。
私が当初北薬師だと思い込んでいたピークは1つ手前の2832mピークだったし、薬師岳山頂だと思い込んでいたピークが北薬師だった。そこで「北薬師」との標識を見かけて初めて勘違いに気づいた。実際の薬師岳山頂へ向けては険しい岩稜をさらに越えていく必要があったのだ。
カールと岩稜の薬師岳
北薬師からは、これまで稜線に隠れていた薬師岳山頂がついに立ち現れる。
その何よりも印象的なのは、東面をスプーンで大きく抉り取ったかのように落ち込むカールの躍動感ある形状であった。浸食により堆積した土砂が下方で盛り上がりを形成しているのも面白い。
そして、山頂本体は植生が張り付くことを許さない険しい岩峰。左右へ向けて同じ角度の直線を下ろすピラミダルなシルエットは山のお手本のようで、王道の格好良さを誇っていた。
天気が悪いときは危険そうなやせた稜線を突破し、9:20、ついに登頂!
山頂からは、これまで越えてきた北薬師からの険しい稜線、一転して広がりを取り戻す太郎平へ向けた尾根、黒部源流域の主要登山口たる有峰湖が見渡せ、山域のど真ん中に座る薬師岳の位置取りの良さを実感できた。
一度登頂してしまえば、そこから太郎平キャンプ場までの尾根はゆったり広々としており、とても気楽な下りとなった。なるほど、楽に薬師へ登頂するだけなら太郎平からピストンするのが一番なわけだ。北薬師からの稜線歩きはとても楽しかったので、個人的には縦走を推したいが。
尾根途中に位置する薬師岳山荘を通り過ぎ、1時間も経たないうちに太郎平キャンプ場へ着くことができた。
驚異の密度、太郎平キャンプ場
太郎平キャンプ場に到着したのは11時にもなっていない(もはや朝とすらいえる)時間帯だったのだが、既にカラフルなテントがあちこちに張ってありキャンプ場は大盛況だった。
早い時刻に着く計画を立てたのは実に賢明だったようだ。この時点ではキャパシティにはまだまだ余裕があったので私もテントを良い位置に張ることができたが、13時を回るあたりから石を避けてまともに張れるスペースは消失し、かろうじて残っている隙間にねじ込むようにテントが設営されていった。
キャンプ場管理事務所の人いわく、前日も同じように大混雑していて、なんと270張がここに詰め込まれていたらしい。事前に聞いていたキャパは100張なのだが、密度が200%を超えているぞ...
ここまで人が多いのは、お盆時期の3連休における中日であること、黒部源流域の交通の結節点であることが大きいだろう。3日目宿泊地の三俣蓮華岳キャンプ場ではもう少し余裕があることを期待したいところだ。
暑くて中にいられないぐらいに晴れていたおかげで、テントはすっかり乾燥。
最寄りの山荘である太郎平小屋までは徒歩10分以上の道のりなので寄るのが億劫だったが、キャンプ場には水場とトイレが完備、管理事務所でコーラとビールも売っていたため、場内で行動を完結させることができた。なんと至れり尽くせりな。
猛烈な勢いで埋まっていくキャンプ場を眺めつつ、乾いた快適なテント内でkindleを読みながら時間を過ごして宿泊するのであった。
つづく
3日目、黒部五郎岳縦走へ続く!