思念の滝壺

山に登る。

北アルプス黒部源流域 4泊5日大縦走 2日目:堂々の薬師岳

1日目

trthff.hatenablog.com

 

はじめに

本エントリは黒部源流域縦走の2日目、8/11(日)の記録である。

スゴ乗越小屋を出発して北から薬師岳へ登頂、そのまま南の太郎平キャンプ場を目指す!

 

 

2日目:薬師岳越え

快晴の目覚め

縦走2日目となる今日は薬師岳を越えていくが、歩行距離がだいぶ短いため、時間には大いに余裕がある。

夜の間に小雨で濡れたテントを少しでも乾かしたいという意図もあり、6時ごろまでぐっすり寝たのちに準備を開始、7時にテントを撤収完了して出発するのであった。他のテントは既にすべて撤収されており私は最後の一人に。みんな早いよ。

 

結局テントはあまり乾かなかったが、天気は鮮やかな青をたたえた快晴。宿泊地でテントを早めに設営すれば昼の間に乾かせそうだ。

7時にして既に誰もいない

薬師岳への稜線に入る

 

登りは続くよどこまでも

前日が初使用の重いリュックを背負っての長時間歩行だったので疲れが溜まっていないか心配していたが、懸念をよそに足は問題なく動いてくれる。幸い今日は一度登り切ればあとは下るだけ、3日目以降へ備えて力を蓄えつつ慣らしていこう。

 

薬師岳へ向けた登りは基本的に低木・草原帯の緩斜面が続くが、地図から想定するより道のりが長く感じ、また複数のピークを挟んで稜線の向こう側が見えづらいので山頂の勘違いが発生しやすかった。

私が当初北薬師だと思い込んでいたピークは1つ手前の2832mピークだったし、薬師岳山頂だと思い込んでいたピークが北薬師だった。そこで「北薬師」との標識を見かけて初めて勘違いに気づいた。実際の薬師岳山頂へ向けては険しい岩稜をさらに越えていく必要があったのだ。

 

ダイナミックに土が露出する稜線

雲海に沈む弥陀ヶ原

北に目を転じる。五色ヶ原に立山、奥には剱岳

間山を経由

まだまだ道のりは長い

振り返って。見晴らしの良い尾根

北薬師と勘違いしたピーク
これもこれでかっこいいが

これで勘違いに気づく

 

カールと岩稜の薬師岳

北薬師からは、これまで稜線に隠れていた薬師岳山頂がついに立ち現れる。

その何よりも印象的なのは、東面をスプーンで大きく抉り取ったかのように落ち込むカールの躍動感ある形状であった。浸食により堆積した土砂が下方で盛り上がりを形成しているのも面白い。

金作谷カール

そして、山頂本体は植生が張り付くことを許さない険しい岩峰。左右へ向けて同じ角度の直線を下ろすピラミダルなシルエットは山のお手本のようで、王道の格好良さを誇っていた。

 

天気が悪いときは危険そうなやせた稜線を突破し、9:20、ついに登頂!

 

 

社も

山頂からは、これまで越えてきた北薬師からの険しい稜線、一転して広がりを取り戻す太郎平へ向けた尾根、黒部源流域の主要登山口たる有峰湖が見渡せ、山域のど真ん中に座る薬師岳の位置取りの良さを実感できた。

 

北薬師を振り返って

太郎平へ続く尾根

有峰湖

これが避難小屋跡だろうか


一度登頂してしまえば、そこから太郎平キャンプ場までの尾根はゆったり広々としており、とても気楽な下りとなった。なるほど、楽に薬師へ登頂するだけなら太郎平からピストンするのが一番なわけだ。北薬師からの稜線歩きはとても楽しかったので、個人的には縦走を推したいが。


尾根途中に位置する薬師岳山荘を通り過ぎ、1時間も経たないうちに太郎平キャンプ場へ着くことができた。

 

それにしても美しい稜線だ

薬師岳山荘

薬師岳カールは天然記念物

下りも終わると木道が現れる

ニッコウキスゲ、名前を覚えた

太郎平キャンプ場、到着

 

驚異の密度、太郎平キャンプ場

太郎平キャンプ場に到着したのは11時にもなっていない(もはや朝とすらいえる)時間帯だったのだが、既にカラフルなテントがあちこちに張ってありキャンプ場は大盛況だった。

 

11時半でこれ

 

早い時刻に着く計画を立てたのは実に賢明だったようだ。この時点ではキャパシティにはまだまだ余裕があったので私もテントを良い位置に張ることができたが、13時を回るあたりから石を避けてまともに張れるスペースは消失し、かろうじて残っている隙間にねじ込むようにテントが設営されていった。

 

キャンプ場管理事務所の人いわく、前日も同じように大混雑していて、なんと270張がここに詰め込まれていたらしい。事前に聞いていたキャパは100張なのだが、密度が200%を超えているぞ...

 

ここまで人が多いのは、お盆時期の3連休における中日であること、黒部源流域の交通の結節点であることが大きいだろう。3日目宿泊地の三俣蓮華岳キャンプ場ではもう少し余裕があることを期待したいところだ。

 

17時の様子。ほぼ最終状態

 

暑くて中にいられないぐらいに晴れていたおかげで、テントはすっかり乾燥。

 

最寄りの山荘である太郎平小屋までは徒歩10分以上の道のりなので寄るのが億劫だったが、キャンプ場には水場とトイレが完備、管理事務所でコーラとビールも売っていたため、場内で行動を完結させることができた。なんと至れり尽くせりな。

 

キャンプ場管理所売店

 

猛烈な勢いで埋まっていくキャンプ場を眺めつつ、乾いた快適なテント内でkindleを読みながら時間を過ごして宿泊するのであった。

 

つづく

3日目、黒部五郎岳縦走へ続く!

trthff.hatenablog.com