思念の滝壺

山に登る。

北アルプス黒部源流域 4泊5日大縦走 5日目:下山も一日掛かり

4日目

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はじめに

本エントリは黒部源流域縦走の5日目最終日、8/14(水)の記録である。

薬師沢小屋で目覚めて太郎平へいったん上がり、折立へ向けて下山していく。

 

 

5日目:折立へ下山

雨は嫌だ!粘りの成果

前日夜に雨が降り続けていたことから嫌な予感はしていたが、目覚めてみると小雨が屋根を叩いていた。晴れの朝は残念ながら5日連続とはいかなかったようだ。

 

ただし、事前の天気予報は曇りのち晴れを示していた。これを信じるなら、時間が経てば少なくとも雨は止むかもしれない。幸い今日の行程は短めで、12時30分に折立を出るバス便に間に合いさえすれば良い。

6時まではだらだらしながら様子見を決め込むことにした。

 

朝ごはん

 

外の様子を眺めながら寝転がっていたが、結局雨は6時を回っても止みそうにない。落胆しながら準備を進め、レインウェアを上下フル装備して小屋を出発しようとしたその瞬間(本当に、文字通りその瞬間)。それまで未練がましく降り続いていた雨がぴたりと止んだ。

 

粘った甲斐があった。雨が降っていないなら、足の動きを阻害するレインウェア下を着なくても問題ない。すかさず脱いでから小屋を出発した。

 

出発!

沢を渡って太郎平へ

小屋を出てしばらくは谷合の沢を遡る平坦な木道が続く。地図には三個の渡渉点が表示されていたので増水を心配していたが、いざ着いてみるとすべての渡渉点に橋が架けられており、沢の状態に関わらず安全に渡ることができた。

木道

第一渡渉点

第二渡渉点

第三渡渉点

最後の渡渉を終えると、道は稜線へ乗るための上りに転じる。

下山行程にも300m単位のがっつりした急登をクリアする必要があるあたり、さすが黒源流域といったところ。

長い行程を経てなんだかんだで疲れは溜まっていたので2回ほど休みながら上がっていったが、休憩中にオコジョを見かけることができて癒された。警戒心が強く登山道の奥に一瞬で消えてしまったため、残念ながら写真は撮れず。

 

斜面上に木道が復活すると太郎平に着いた合図だ。

再び現れた木道

太郎平小屋へ到着

 

雲の平や鷲羽岳水晶岳を望む位置はここで最後、あとは一直線で折立に下ることになるので未練が残るかも?と思っていたが、曇っていたためにそれら山々は見えず、かえって後腐れなく下山に移ることができたので助かった。

 

太郎平からの下りは最初は木道、その次に木枠で囲われた石の道、最後に土の登山道と変化していき、後半に向けて勾配を増していった。

やはり膨大な数の登山者がこの道を利用して山に分け入っているのだろう、全体を通して道の植生がひどく禿げ気味、粘土質の箇所に至っては削れて1mほど落ち窪んでいる有様なのは少し悲しい点であった。

まったりと下山していく

植生の禿げ
木枠の外を歩いてる行儀の悪い人が多そうだ

いっそ年月の重みすら感じる削れ具合


そんな考えにもふけりつつ、10時20分、特に事故などなく折立へ下山完了。

 

下山完了

折立登山口

休憩所は閉まっていた

折立登山口にはキャンプ場や自販機、無料休憩所(閉まっていた)があるのみ。遊歩道をさらに下って有峰湖まで行ってみようかと考えもしたが、疲れもあるし、折立でバスに乗る人が多かった場合に席がなくなっている可能性も考えられたので、ここで山行を終えることとした。


着替えや靴の洗浄を済ませつつ、12時30分に来た路線バスに乗って富山駅へ移動。このバスを利用する登山者は多かったが、同時にバスのキャパも大きかったため余裕をもって座ることができた。

 

富山駅からは北陸新幹線で東京まで一直線に帰宅するのであった。お盆なのであいにく指定席は取れなかったが、自由席には意外と空きがあって座れた。旅の最後の2時間、立って乗ることを覚悟していたが救いの帰路になった。

 

 

山行の振り返り

登ってきた山たちの感想

山行録にも逐一記してきたが、改めて登った山々の印象を一言で振り返っておこう。

薬師岳

山のお手本。ピラミダルで正統派な山容。実のところ日本有数のカールを誇る特殊な山なのだが。室堂から縦走すると達成感がすごい。

黒部五郎岳

今回登った山の中で一番好き。カール内部に広がる世界の美しさは雲ノ平に引けを取らない。周りから眺める黒部五郎岳もエリアボスのようで存在感がある。

鷲羽岳

王者。周囲に立つ水晶岳・ワリモ岳・祖父岳と比較してもひときわ目立ち、直線的なシルエットが精悍さを感じさせる。それでいて鷲羽池というチャームポイントを持っているのだから抜け目がない。

水晶岳

岩石の王冠。剱岳のようでかっこいいが、針山のような威圧感を放つ剱と違ってどこか優しさも感じるのが不思議だ。見た目に反して登りやすく稜線歩きが楽しいのも好き。

雲ノ平

行く前には花畑な感じをイメージしていたが、実際には溶岩やハイマツも散りばめてあるもっとダイナミックな眺めだった。雲ノ平山荘でくつろぐのが特に楽しいので、行くなら宿泊予約をぜひ取りたい。

 

反省点

  • 全体的にコースタイムに余裕をもって計画を組んだのは大正解だった。長丁場でも疲れが溜まりにくく行程を楽しむ余力があったし、混みがちなテント場にも良い場所を取って快適に寝ることができた。
  • 宿泊を楽にするためにサンダルを持って行ったが、意外と一度も使わなかった。夜トイレに起きることがなかったというのが大きい。日中の行動だけであれば登山靴の方がむしろ都合が良いので。
  • 8月中旬最盛期の北アルプスは、たとえテント場であっても予約が必要だったり、予約があっという間に埋まって取れなかったりすることがある。この時期に利用したい山小屋・テント場の利用条件は夏が始まる前に確認しておいた方が良さそうだ。

 

総括

4泊5日という長丁場でありながら、真夏の好天の中で景色を楽しみ、宿泊を楽しみ、黒部源流域の真髄に触れることができた思い出に残る山行だった!