思念の滝壺

山に登る。

北アルプス黒部源流域 4泊5日大縦走 1日目:室堂からスゴ乗越へ、五色ヶ原を添えて

0日目(登山計画)

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はじめに

本エントリは黒部源流域縦走の1日目、8/10(土)の記録である。

室堂を起点としてさっそく稜線歩きに突入、五色ヶ原を通ってスゴ乗越を目指す!

 

 

1日目:室堂からスゴ乗越へ

毎日あるぺん号で久々の室堂

東京から室堂への夜行バスには東急バスと毎日あるぺん号の二系統が存在するが、東急バスは予約が埋まっていて取れず。必然的に毎日あるぺん号を利用した。

前日夜に竹橋の毎日新聞社ロビーへ赴くと、カラフルな人々が建物内を埋め尽くしている。室堂に限らず各地の登山口へのバス便が運行しているため一気に登山者が集うようだ。

受付を済ませてバスへ乗り込むと席は4列シート。隣の人が大柄だったこともあってリラックスして寝ることはできなかったが、何はともあれ室堂への効率良い移動は成し遂げたのだった。

 

室堂到着時点で時刻は7時半。若干遅れ気味ではあるが、今日の目的地であるスゴ乗越小屋までは十分に間に合うだろう。久々に訪れた室堂バスターミナルの建物内でじっくりと準備を済ませて出発した。

 

室堂へは去年の剱岳立山登山以来の1年ぶりに訪れたわけだが、相変わらずびっくりするほどの快晴が私を迎えてくれた。

周囲の滑らかな地形も相まって景色に不思議と立体感がなく、ジオラマか何かのように見えるのが面白いところだ。

久しぶりの立山。今回は登らないが

奥大日岳。好きな山

まずは立山登山の登り口である一の越まで上がり、そこからは進路を南へ転換、龍王岳を通り過ぎて薬師岳への稜線に踏み込んでいくことになる。

 

歩き出すにあたって一番に心配していたのは、4泊5日のためにこれまで経験したことのないほど重くなっていた荷物。一の越までの上りが、長い山行を無事にやり抜けるかの試金石になるとみていた。

実際にリュックを担いで斜面を登ってみると、確かに重いことは重いのだが足の回転はコンスタントに維持できている。それでいて息が切れるわけでもない。新調したグレゴリーのリュックが思いの外荷重を分散し、足に負担がかからないようにしてくれているようだ!

小休憩を取るたびに背面長を微調整し、リュックを自分に最適化しながら一の越へ上り詰めた。

一の越までの道
よく整備されている

一の越までサクッと到着
幸先が良い

室堂を見下ろす
このジオラマ

龍王岳のその先は

一の越からさらに100mほどの登りをクリアすると、ついに遥か薬師岳へ続く稜線のスタートラインに立ったことになる。

そこには関所を守る番人のごとく龍王岳が控えているが、今回は龍王岳山頂には用がないので横を通過して未知の領域へ突入、さっそく縦走が始まるのだった。

龍王岳(左奥)。
今回は通過する

雄山を振り返って

東には黒部湖

富山大学立山研究所

 

稜線はなかなかにアップダウンが激しく、いくつかのピークを越えていく。すると突如、眼前に山をすっぱり切り落としたかのような平坦部が立ち現れる。あれがかの高層湿原、五色ヶ原だ!

やせた尾根を必死にたどっている中で豊かな広がりを見せられると、早くそちらに着いてリラックスしたくもなろうというもの。しかし、見た目の近さに反して道のりは意外と遠く、鬼岳東面・獅子岳という2つのピークを越え、さらにザラ峠で標高を大きく落としてから一気に登り返すことでようやく辿り着くのであった。

五色ヶ原

鬼岳東面

獅子岳

チングルマに癒されつつ歩く

一度ザラ峠に下りないとたどり着けない

北西面は浸食で切れ落ちている

ようやくの木道

五色ヶ原散策

ちょうど10時を回るころに五色ヶ原へ到達。

端から五色ヶ原山荘に至るまで木道が張り巡らされており、リラックスして周りを見渡しながらゆったり歩く。

このような山奥の秘境に多様な花が咲く平坦な高層湿原があるということが奇跡のようなもので、そんな中を木道を歩いて気楽に散策できるのは本当にすばらしい環境であった。

ハクサンフウロ

チングルマ(花形態)

ミヤマリンドウ

イワツメクサ

高層湿原だけあって、池塘も点在

龍王岳・獅子岳との対比

五色ヶ原山荘へ

なお、五色ヶ原はもともと立山火山の噴火により形成された山頂部の一角で、弥陀ヶ原とルーツを同じくしているらしい。後世の浸食によって立山カルデラが形成され、南北に分かたれたわけで、五色ヶ原北西面の浸食により切れ落ちた地形はその歴史を端的に私たちに語ってくれているようだ。


さて、直射日光の激しさもあって思いの外水分消費が激しい。五色ヶ原山荘ではアクエリアスが売っていたのでありがたく補給させてもらい、スゴ乗越へ向かう後半の稜線歩きへと踏み出した。

 

近くて遠い、スゴ乗越

五色ヶ原から先もアップダウンの多さは変わらない、どころかむしろ激しさを増していくかのようだ。

スゴ乗越までは標準コースタイムにして6時間程度の道のりなのだが、その中で鳶山↘越中沢乗越↗越中沢岳↘↗スゴノ頭↘スゴ乗越↗スゴ乗越小屋と不安定に上下する標高に翻弄され、想像以上に疲労が溜まっていく。

途中からガスが立ち込めだし、小雨も降ってコンディションが悪化する中を歩きぬき、なんとかスゴ乗越小屋へ到達した。

鳶山への上り

越中沢岳

「近くて遠いはスゴの小屋」まさしく

大変だが、稜線は美しい

スゴ乗越小屋

スゴ乗越小屋到着時点で時刻は13時半ごろ。山行の終了時刻としてはかなり早い部類なのだが、テント場にはすでに10張以上のテントが張られており、スペースの圧迫が始まっていた。8月の北アルプス恐るべし。

幸い私は余裕のあるスペースに滑り込んでテントを張れた。ただ、15時以降も続々と宿泊者が到着し、ありとあらゆる隙間に後続のテントが埋まっていった結果、テント場の密度が尋常でなくなっていた。キャパシティ30張と表記されているが、このときに限っては40張を超えていたのではなかろうか。

全体的にコースタイムに余裕を持った登山計画を立てたことは正解だったな、としみじみ実感しながら夜を明かすのであった。

 

つづく

2日目、薬師岳越えへ続く!

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