思念の滝壺

山に登る。

霧島山(韓国岳&高千穂峰)登山~天孫降臨伝説の地~

はじめに

鹿児島遠征2日目、4/7(日)の記録。

 

この日は霧島山を登った日になる。「霧島山」とは複数の山の総称であり、私が実際に登ったピークは二座、

だ。

そのついでに日帰り温泉霧島神宮も満喫した充実した一日となる。

 

 

山行録

白鳥温泉で素泊まりした前夜から、朝は4:30に起床。霧島山の登山拠点であるえびの高原へ早速出発した。

早朝で天気も曇り~小雨という感じなので、駐車場を見渡しても他に車はない。どうやら本日の韓国岳登山の一番乗りになれそうだ。

装備を整え、本格的な雨に備えて上だけレインウェアを着こんで出発。

ガスに包まれて神秘的な韓国岳。一部が欠けた特徴的な火口

5:55 えびの高原出発

久々に雨が降っていない快適な道のり!屋久島でも開聞岳でも降られっぱなしだったのでなんとも新鮮な気持ちになる。

 

植生はアカマツが多いのが特徴的で、これは火山灰の土壌に特有のものであるようだ。たしかにここは今でも火山活動が活発な霧島山系、しかも横を見ると火山ガスの噴出で立ち入り禁止になっているエリアがあるくらいだから納得だ。

アカマツがたくさん

ロープの先はガスにより立ち入り禁止

開放感ある道に足取りも弾んで標高は順調に上がっていき、えびの高原のきれいな展望が。このへんまではガスが下りていなかったようだ、久々の景色が味わえて満悦。

かなり高いところにいるはずなのだが、高原へつながる道路を車が通る音がはっきり聞こえてきて不思議でもあった。

左のえびの岳、右奥の白鳥山、そして今登っている韓国岳に囲まれたえびの高原

元気にもくもくしている硫黄岳

五合目を越えたあたりからはいよいよガスに捕らえられて視界は通らなくなり、常に鼻を突いていた火山ガスの腐卵臭も鳴りを潜めだした。これは山に集中しろということだろう、黙々とアタックを開始。

赤茶けた土メインの道に変化していき、次第にその中に大きな岩がごろつく世界となってくる。

休憩所。なんか去年9月に登った十勝岳を思い出す眺め

赤茶けた道。申し訳程度の丸木は土壌流出防止のためか

火口辺縁へ到達!景色が開けていればなあ


そして登頂!

7:05 韓国岳山頂



山頂付近では雨こそあまり降ってはいないものの、濃密に立ち込めるガスと山頂特有の強風によってレインウェアはかなり濡れていた。

 

ここまでの行程から察するに、山頂よりもむしろ標高を下げたところの方が景色を楽しめそう、ということで早速下山を開始した。

 

なお、下山ルートは韓国岳を南に下りるついでに大浪池を周回するものにした。大浪池、見れるといいなあ。

 

下山ルートは丁寧な木階段

大浪池との鞍部にある韓国岳避難小屋

大浪池の火口部に取り付いたタイミングでは視界は全く開けず。このまま湖面を見れずに終わってしまうのかと思いながら火口辺縁を反対側までなぞっていくと、ついに雲の切れ目が!

国内最大の山頂火口湖である大浪池の巨大な湖面を目の当たりにすることができてよかった。

 

火口歩き前半は霧中

湖面が見えた!

巨大な全貌

大浪池の名前は民話に由来しているらしい。池に身を投げたお浪(この池に住む龍王の化身だった)に由来して「お浪の池」、それが転じて「大浪池」。

地名の由来と音の変化を辿るのはやはり楽しい。

 

大浪池を回り終わった後は細かいアップダウンを繰り返してえびの高原へ下山した。

 

9:10 えびの高原へ下山

まだまだ時間は朝の9時。温泉に浸かる時間を計算に入れてももう一回くらい山に登れそうな余裕がある。体力も十分だ。

...なら、山頂に天の逆鉾が突き立ち、天孫降臨の地ではないかと考えられている高千穂峰に登ろう!ということになった。高千穂峰の登山口は高千穂河原、えびの高原から30分もかからず車で行ける。

 

いったんえびの高原で休憩、エネルギーを充填してから高千穂河原へ移動した。

現地のおいしいものでパワーチャージ

高千穂河原 こちらもマツが豊富

10:30 高千穂河原出発

高千穂峰は特に信仰とのかかわりが深く、登山口のほど近くには二代目霧島神宮の跡である「霧島神宮 古宮址」が、登っていった先、御鉢と高千穂峰の鞍部には一代目霧島神宮の跡とされる「霧島神宮 元宮」が見つけられる。

 

登り始めてさっそく二代目霧島神宮跡が。社殿こそないが境内は広く、非常に厳かな雰囲気だった。


登山道の前半は石段がよく整備された快適な道のり。途中でトレイルランナーとすれ違ったので先のコンディションを聞いてみると、御鉢の火口辺縁の風がとても強いらしい。十勝岳韓国岳での経験からしても広い火口はとくに縁の風が強くなりやすいので納得だ。気を付けていこう。

 

御鉢までの本格的な登りに踏み込むと、韓国岳よりもさらにゴツゴツした岩に満ちた登山道に。岩まみれとはいえ、溶岩由来の岩は表面がざらざらしていてグリップが抜群に効く。サクサク登っていけて楽しい。

視界もガスで閉ざされているが、ペンキマークが親切で道を見失うことはなかった。

 

そして御鉢の火口辺縁へ到達。序盤はそよ風が吹き抜ける程度で見くびっていたが、火口になぞって歩いていくにつれて風速は速くなり、最後は歩いていてバランスを崩されるほどには強風となっていた。十勝岳で鍛えられていたおかげであまり恐怖は感じず、むしろ楽しめてはいたが、悪天候時に危険な地点なのはよくわかった。

 

御鉢から鞍部へやや下りると、そこに一代目霧島神宮の跡が。

こちらには小さめの祠が建っていた。環境の厳しさを考えると、こんなところに神宮を造立した古代の人々はすごい根性だ。

 

 

ここから高千穂峰にかけては風もあまり強くなく、わりと快適に登頂!

 

11:40 高千穂峰山頂

山頂の小屋は頑丈そうなコンクリート造り

 

いよいよニニギノミコト高天原から地上へ降り立った際に突き立てたとされる「天の逆鉾」と対面だ。

 

天の逆鉾

鎖に囲まれていて近寄ることこそできなかったが、少し離れて眺めた天の逆鉾は神秘的だった。なんだかこの一点で俗世界と神話の世界がリンクしているような感じだ。

あと、あれを抜いたらなんかすごいことが起こりそう。原初の神々が復活するとか火山活動が再開するとかありそう。ついでに逆鉾にもすごいパワーが秘められてそう。先からレーザーとか出したりして。

 

ガスで景色が開けない状況で登る山として高千穂峰を選んだのは正解だった。周りを見下ろすことはできなくても、道中の神宮跡や山頂の天の逆鉾という、人間が造ってきたものを見ながらの山行はとても楽しかった。

 

途中で二ホンシカを見かけたりしながら無事下山。

チラッ

12:30 高千穂河原へ下山

あらためて高千穂河原を散策。高千穂河原ビジターセンターは特に展示が充実していてすばらしい施設だった。

火山地獄みたいな山域

噴火に備えたシェルターも

一通り散策が終わって13時ごろ。19時のフライトまで時間は潤沢に有り余っている!

 

まずは温泉だ。せっかく一代目・二代目霧島神宮を見てきたのだから現役三代目の霧島神宮にも行きたいが、それはリフレッシュしてからでいいだろう。

 

ということで霧島温泉郷ヘゴー。

 

日帰り温泉霧島国際ホテル

今回選んだのは霧島国際ホテル。名前の雰囲気からもわかるようにかなり上品な雰囲気で、日帰り登山者が入るには気後れするほどですらあった。

見た目の立派さに負けず劣らず、温泉も過去一のレベルだった。源泉が2種類あるし(白濁と透明、どちらも硫黄泉)ついでのように伝統スタイルの蒸し風呂も。

ずっと濡れながらの山行で体は芯まで冷えていたので、1時間近く浸かり続けてじっくりと熱をもらって復活した。すばらしい温泉にのぼせずに長く浸かれたのでかえって得をしたかもしれない。

霧島国際ホテル

きれいなくつろぎスペース

いい湯でした

ついでにお土産店で買った芋焼酎「だいやめ」
ほんとにライチの香りがした

リフレッシュを成し遂げ、時間もまだ15時と余裕を残しているので次は霧島神宮へ!

 

霧島神宮

現役にして三代目の霧島神宮、社殿はかなり豪華な印象で、ちょうど見ごろを迎えている桜と合わせて華やかであった。以前行ったことのある伊勢神宮の質素を極めたような様子とは対照的で、こちらもこちらで見ごたえがあった。

なお参道横の側溝に当たり前のように温かい温泉が流れていて笑った。火山の恵み満ち溢れる土地だな。

第一の鳥居

第二の鳥居

階段を上って第三の鳥居

華やか!

圧倒的平安時代

御神木も 屋久杉に負けず劣らず

山神社にもお参り

側溝に流される温泉

無事帰還

お参りを終えて16時ごろ、空港へ帰還するのにちょうどよい時間になった。

レンタカーからすぐ引き払えるように荷物をまとめつつ、空港まで気楽なドライブ。今回も無事故で返却できてよかった。

空港では盛況気味の飲食店で夕食をとるには足りないが暇ではあるという微妙な空き時間が発生。早めに保安検査場を通って悠々と飛行機に乗った。

 

今回こそは帰りの便が遅延せず時間通り運航してくれたおかげで、やっと終電を気にしなくてよい帰り道になって幸せだった。預け入れた手荷物が流れてくるのを待つ時間、終電が近いと本当に焦るんだよなあ・・・

 

総括

鹿児島遠征、天気こそ優れなかったがそれ以外のすべてを楽しめた充実の二日間だった!

今年のGW、どこに登るか本格的に考えないとな。