はじめに
丹沢主脈ーー。それは、塔ノ岳に端を発して最高峰の蛭ヶ岳を通り、そのまま尾根を北になぞって焼山へ至る長大な稜線である。
前回丹沢山に登った時は、途中で主脈を外れて丹沢三峰の縦走に入ったので、蛭ヶ岳への未練が残っていた。
今回こそは、一切の未練が残らぬよう丹沢主脈を駆け抜ける!
自分の体力試しも兼ねて、日程は日帰り、休憩も最低限の全力タイムアタックに挑む。ハードな登り初めになりそうだ。
レギュレーション
- ルートは下図とする。
- 大倉入口バス停をスタートして大倉尾根を北上、塔ノ岳から丹沢主脈を北に縦走する。焼山登山口バス停をゴールとする。
- 黍殻山は分岐を見つけられなかったのでスルーした。
- 装備はトレラン用ではなく普通の登山スタイルとする。ストックは使わない。
山行記録
1/13(土)に決行。
7:01 大倉入口バス停出発
登山口直結の大倉バス停でなく、登山口からちょっと遠い大倉入口バス停が出発点なのはただのミスである。
バス停の名前もう少しどうにかしておくれ。
当日の天気はおおむね晴れ、ただし気温はかなり低いのでレインウェアをアウターとして重ねて出発した。夕方からは寒気が流入して天気が崩れる予報なので、天候が持っているうちに駆け抜けたいところ。
塔ノ岳までの登りは木階段や木道の斜面をひたすらに登り続ける単調さから、巷ではバカ尾根と呼ばれているらしい。その名に違わず、とにかく体力だけを要する道だ。ここ2年間で登る力は鍛えてきているのだが、それでもきついのだからつくづく恐ろしい尾根である。
9:15 塔ノ岳
かなりペースを出せていたので多数の登山者を追い越した。試しにカウントしてみたのだが、山小屋周辺で休憩している人を除いて48組追い越していた。ごぼう抜きの爽快感はたまらない。
ここに至るまでに1200mほど標高を獲得しているが、その間無休憩(水を飲むときも歩きながら)なのでさすがにしんどい。
今回から導入したTHERMOS山専ボトルで熱いお茶を楽しみつつ、ブラックサンダーで糖分補給してから再出発した。タイムアタックなので時間が惜しい、飲食や物の出し入れもできるだけ時間をかけないようテキパキと済ませた。
丹沢山頂までは一度下ってやや上るが、塔ノ岳までに比べればなんということはない。蛭ヶ岳に備えて足を温存しながらサクッとこなす。
10:03 丹沢山
塔ノ岳の時点で登山集団のほぼ先頭に立っていたのだろう、追い越し数は激減して塔ノ岳ー丹沢山間では2組に留まる。
それでも、登り全体の合計で50組追い越しという大台には乗ったことになる。だからなんだという話だが。
幸い塔ノ岳ほどは疲れていない、休憩は最低限にとどめ、いよいよ主脈の核心部である蛭ヶ岳へ向けての稜線に取り掛かる!
ここの稜線がかなりの曲者で、間に不動ノ峰というピークが一度挟まる関係上、下ってからの上りが2度も必要だった。足の疲労を最小限に抑えながら登ってきて本当に良かった。なにせここでもあまり足を止めずに歩き通すことができたのだから。
11:11 蛭ヶ岳
やったぜ。
蛭ヶ岳は、最高峰という肩書きがありながらも登山者の姿が丹沢山に比べて少ない。やっぱり山塊の最奥部にあって気軽には登りづらく、山域を代表する名前を丹沢山に持っていかれているせいだろう。
正午を回る前にここまで来れているので、帰りのバス時刻には余裕をもって間に合う。とはいえタイムアタックなので、ほどなく下り区間に移っていく。
13:48 焼山登山口バス停到着
14時も回らないうちにゴールできるとは思っていなかった。
うれしい誤算だが、帰りのバスは3時間後。
この時期の屋外でじっとしながらバスを待つのはかなり厳しいものがあった。自販機で温かい飲み物を買ったり近くのコンビニに入って暖を取ったりしながら寒さをしのいで帰還したのだった。
なお、バスに乗った直後に雪混じりの雨が降り出す。危なかった。
タイム
7:01出発、13:48到着なので、タイムは6時間47分。
標準コースタイム12時間55分の0.53倍のタイムとなった。
上り・下りの区間タイムも見てみると、
- 上りは4時間10分で、標準コースタイム8時間の0.52倍
- 下りは2時間37分で、標準コースタイム4時間55分の0.53倍
となった。ペースがほぼ一定で乱れていない。
完走した感想
けっこういいタイムが出せて嬉しい!というのが一番の感想。
普段の山行では標準コースタイムの0.6倍~0.7倍になることが多い。景色に見入ったり、写真を撮るために立ち止まったり、ゆったり休憩したりする影響でタイムが間延びしている。これらを最小限に留めて全力で飛ばしたらどれぐらいになるのかというのはかねてから気になっていた。
かといって、初見の山で景色を楽しまず飛ばすのはもったいない。なので、二度訪れたことがあり景色には馴染みがある丹沢山域でやったのだった。
初めて丹沢山を登った1年半前よりも持久力が格段に伸びていることも嬉しいポイントだった。当時は丹沢山頂で足がほぼ売り切れていたのだが、今回はそれよりも速いタイムで登っていたにもかかわらず、蛭ヶ岳を越えて下山しきるまで足が売り切れることがなかった。とはいえ疲れたは疲れたし、翌日は筋肉痛になったが。
反省・総括
- いくら冬といえども、主脈縦走の長距離を900mLの熱いお茶+1100mLの水でやり過ごそうとするのは無理があった。もう1本500mLペットボトルがあると安心。
- 冬は下山後のバス待機時間を考慮に入れる必要がある。暖を取れる場所は下調べしておく方が良いし、乾いた暖かい着替えも不可欠。
馴染みのある山なら、タイムを求めて全力で飛ばすのも一つの楽しみ方だと実感できた、新鮮な山行だった!