思念の滝壺

山に登る。

登山用ソロテント泊装備の検討記録

 

はじめに

本エントリはテント泊登山を始めたい筆者による装備の検討記録である。

 

日帰りと山小屋泊の登山を経験する中で、テント泊をしたいという欲がひしひしと高まっていった。理由はいくつかあって、

  • 山小屋は予約に苦労し、融通が利きづらいので、もっと自由度の高い宿泊方法が欲しい。
    • COVID-19の影響で予約制になってしまっており、1週間前とかに見るとたいてい枠が埋まっている。2020年以前ならこんなこともなかったのかな...
    • 就職したので土日の山行が中心になる。なおさら予約が取りづらくなる。
  • ステップアップになる。宿泊という重要な部分を山小屋に依存せず自前でこなせるようになって一人前を目指したい。

といった感じ。

 

幸い予算はそれなりに潤沢にあるので、ちゃんとしたメーカーのちゃんと登山向け・軽量のものを揃えていきたいところである。

 

 

必要な装備リスト

必須

ないとテント泊が不可能な装備。

  • ソロ向け山岳用テント
  • 寝袋

できれば欲しい

快適に泊まるために欲しい装備。

  • テントの追加装備
    • グランドシート
  • 温かいものを摂取するための装備
    • バーナー
    • クッカー
    • 食器類(マグカップ・フォーク・スプーン)
  • 寝心地をよくするための装備
    • 寝袋の下に敷くシート

ゆくゆくは必要そう

  • 50L以上のリュック

 

それでは、これらについて、詳細な条件や各メーカーの商品を検討していく。

 

個別の装備検討

ソロ向け山岳用テント

まず、テント泊というからには最も重要な装備であるテントから検討する。

 

条件は

  • 「定番」とされているものであること。
    • 初めて買う装備では、どうせどの要素が自分にとって重要かなんてことはほとんど分からないので、そこを無理に検討しようとするよりは多くの人に受け入れられている定番商品を使ったほうが成功しやすい。
  • 2人向けのもの。
    • 私は体が大きい部類なので、1人向けだと窮屈になる可能性が大きい。また、テント内に荷物を置けるスペースが欲しい。
    • 2人向けでも、1人向けと比較してそれほど重量やサイズが増えない。誤差。
    • ブログなどを見て回っていても、多くの人がソロでも2人向けを使うことを勧めている。
  • 5万円程度のもの。
    • 予算がそれなりにあるとはいえ、最初から6万円~クラスの高級品には手を出せない。5万円程度が一般的な山岳用テントの相場らしいので、そこに抑える。

 

それを踏まえて、

  • モンベル
    • ステラリッジ2
  • アライテント
    • エアライズ2
    • トレックライズ1

に絞られてくる。

 

他にもダンロップ(ブランド名はプロモンテ)のVS-22もあったが、「特に社会人山岳会や学校山岳部など、共同装備としてテントを考えているユーザー」向けに重量を多少犠牲にして耐久性を最重要視しているらしく、今回はスルーする。あと、色が地味...

設計思想を熱く製品ページに綴っていて、読んでいて参考になるし面白い。

ALPINE TENT | VS-Series/VS-22

 

 

これらの比較にはヤマハックの記事が特に参考になる。

ファーストテントに最適!モンベル【ステラリッジ】おすすめのポイントまとめ | YAMA HACK[ヤマハック]

これぞ正統派!アライテント「エアライズ」なら“1年中”“どんな場所でも”快適 | YAMA HACK[ヤマハック]

愛用者が細部まで力説「トレックライズ」の素晴らしさは◯◯◯◯にあり! | YAMA HACK[ヤマハック]

ちょっとステラリッジの紹介記事がふわっとしている。いっぽうでエアライズの紹介記事がかなり詳細で、ステラリッジやトレックライズとの比較も載っている。

 

これらを見てそれぞれのテントを一言でまとめると、

  • ステラリッジ:最軽量・最安・設営方式が唯一違う入門型
  • エアライズ:耐久性最強のバランス型
  • トレックライズ:居住性最強のカジュアル型

こうまとめるに至った争点を詳細に洗い出すと以下になる。

  • エアライズ・トレックライズは「スリーブ式」、ステラリッジは「吊り下げ式」
    • 一般に吊り下げ式の方が設営が容易で荒天時にも張りやすいが、エアライズやトレックライズのスリーブは末端が袋状になっている親切仕様らしい。
  • トレックライズは長辺に出入口、エアライズ・ステラリッジは短辺に出入口
    • 長辺出入り口の方が出入りしやすいし前室も広いが、一方で狭い岩棚などでの設営には向かないし強風に弱い。
  • エアライズのフロア部分の布地は40デニールで、ステラリッジの30デニールよりも厚い。
    • ステラリッジはグランドシートを追加で使うこと前提で作られている節がある。それを追加すると重くなるし高くなる。

 

ついでに、トレックライズだけ1人向けか2人向けかの問題が難しくなる。

 

エアライズ・ステラリッジは、ともに

  • 1人向けの短辺90cm
  • 2人向けの短辺130cm

なのに対し、トレックライズは

  • 1人向けの短辺110cm
  • 2人向けの短辺150cm

と微妙に大きめに作られている。なので、エアライズ・ステラリッジを選ぶなら2に即決なのだがトレックライズはどちらがいいのか問題が生じる。

 

ここで1を選ぶと、重量はエアライズ2よりも軽くなるが同時にスペースも狭くなり、結局居住性と軽量性のどちらを重視して選択したのかよく分からない中途半端な決定になりそう。

かといって2を選ぶと、150cmはたぶん持て余すし重量増も無視できない。

 

これらを踏まえると、トレックライズは自分にとっては中途半端な気がしてきた。

 

最後にステラリッジとエアライズについてだが、エアライズの方に強く魅力を感じている。

  • まず、エアライズの方がフライシートやペグなど実質必須のものが同梱で売られていて、迷える子羊の自分に優しい。
  • 耐久性が高そう。記事が厚く、グラウンドシートが無くてもいけるのが強い。
  • スリーブ式でも、末端が袋状のおかげで一人で立てやすくなっている。

 

よって「エアライズ2」に決定する。

色はオレンジかグリーンで選べるらしい。山岳での目立ちやすさはオレンジなんだろうけど、休むところだからリラックスしやすい色のグリーンの方が良いとも思う。迷っている。

 

グランドシート

いくらテント本体のフロアシートが頑丈でも、結露防止や汚れ防止の観点からはグランドシートがあった方が良いとのこと。まあ、確かに布一枚隔てたらそこは地面、ってよりはもう一枚間に挟まっている方が安心だし、テント本体はきれいなまま保てるわけか...

 

基本は純正の別売りオプション品を使うことになるか。エアライズならアライテントのアンダーシート2。

それ以外だと、タイベックシートがお手頃で性能も高いよう。TATONKA?

 

寝袋

テントは比較的わかりやすかったのだけど、寝袋はさっぱりだし命に関わりそうなのでしっかり調べる必要がある。

軽量でコンパクトな寝袋がいい!夏山登山におすすめのシュラフ【メーカー別】 | YAMA HACK[ヤマハック]

 

まずシーズンによって夏用・3シーズン用・冬用が存在する。

次に中綿によって化繊とダウンの2種類が存在する。

 

ダウンの方が化繊より軽量コンパクトだが、水濡れに弱くて高額という弱点はあるらしい。

化繊も、コンプレッションバッグを使って強引に圧縮すればかなりコンパクトになるようだ。化繊+コンプレッションバッグはダウンよりも安上がりになる。

 

 

予算はあるので、妥協せずダウンを選びたい。夏の北アルプスで問題ない程度の性能が欲しいので、夏用か、汎用性をもう少し求めるなら3シーズン用になるか。

 

メーカーはモンベルかイスカになりそうだ。

 

それを踏まえると

  • モンベルのダウンハガー800#3
  • イスカのエア280X

が候補か。この辺ももう一度店舗に行って直接確認してみたいところだが、モンベルは自社店舗でしか直接触らせてくれないため他との比較ができないのが悲しいところ。

 

バーナー・クッカー・食器類

北岳に登った際、白根御池小屋に素泊まりして温かい食事をとらなかったのだが、それが想像以上に精神に効いた。温かいものを飲み食いするってかなり大事らしいので、自分でお湯を沸かしてなんか摂れる装備は必要になると思う。

 

バーナーはSOTOとPRIMUSが定番らしい。

出力はそんなにいらず、重要なのは軽量コンパクトであること、その次に安いこと。

それを踏まえるとバランス良い製品は

重量は若干ウインドマスターの方が軽いが、50gと80gの差はほかの装備の選び方次第で容易に覆る程度には誤差なのでどちらでもよさそう。それでもってアミカスの方がコンパクトで安いので、アミカスを買うのがベストな選択になりそうだ。

 

クッカーについては、なにかをゆでたり炒めたりするよりはお湯を沸かすだけのことの方が圧倒的に多そうなので、ポットが良さそう。

 

アミカスポットコンボという商品で、アミカス純正のポットもセットで売られていた。ちょうどボンベとバーナーが中に収まるよう設計されていて、容量も1Lと十分。これにしよう。

 

寝袋の下に敷くシート

テント泊をしている人は大抵持って行っている印象があるが、自分はなくても眠れそうな気がしないでもない。買うなら安くて手軽、軽量な銀シートだと思うが、とりあえず無しで泊に挑戦してみて、必要だと思ったら検討する。

 

50L以上のリュック

以下の記事を見る限りは今のTELLUS 35でもテント泊をやれそうな感じがする。

ザック買わないとテント泊は無理…?かさ張るアイツを【秘密兵器】で黙らせろ! | YAMA HACK[ヤマハック]

装備をコンパクトに抑えれば入りきるのは間違いない。だが、窮屈に感じるのもありえるし、泊数を増やした登山に対応できないかもしれない。とりあえず今は見送るが、今後必要になったら検討する。

 

 

おわりに

いろんなメーカーの製品を調べて回るのって楽しいし、ブログで同じことをしている先人に助けられることもあって順調に進みはするのだが、それはそうとして情報の奔流に巻き込まれて疲れる。

 

今回調べた争点を踏まえて、頭を冷やしてからもう一回ぐらい登山用品店を見て回って最終決定としたい。