思念の滝壺

山に登る。

北海道1週間レンタカーの旅!登山もあるよ ③旭岳登山編

はじめに

北海道レンタカーの旅、3日目。

 

2日目はこちら。

trthff.hatenablog.com

 

3日目はいよいよ北海道の背骨、大雪山系の主峰である旭岳に登る。事前の希望であるトムラウシまでの縦走は果たして叶うのか?

 

3日目:9/18(月) ガスと強風、試練の旭岳

 

岳温泉から旭岳へ登るにあたっては、ロープウェイで行程を大幅に短縮することができる。すなわち、北海道最高峰のわりに遅く出発しても日帰り余裕なため、この日はゆっくりと起床した。

 

朝ごはんを買いがてらに東川の道の駅周辺を散歩すると東川神社を発見。早速お参り。

散歩で現地の神社に出会えるのはうれしい

立派な社殿

ぼちぼち旭岳ロープウェイ駅へ向けて車を走らせた。

ロープウェイ駅。立派

ビジターセンターは2つあり、古い方が取り壊されていた。式年遷宮か?

もともとは旭岳からトムラウシ山まで大雪山を一気に縦断するコースを予定していたので、テントで2泊が可能な完全装備を用意していた。ただ、麓の天気はまったくの曇り。ロープウェイ駅で天気を確認したところでは、稜線上ではそれに加えて強風が吹いているらしい。

 

いちおうは完全装備で出発するが、現地の天気次第では深入りせずに撤退した方がいいなあという温度感でロープウェイに乗るのであった。

 

ロープウェイ終点。ガッスガスだあ

ロープウェイで上がった先はあいにくのガス。加えて風が吹き付けて気温も低く、雨こそ降っていないがコンディションとしてはかなり悪い部類だった。この時点で縦走の目はほとんど潰えてはいたのだが、とりあえず稜線を旭岳山頂まで頑張ってからまた考えよう!ということで、レインウェア上下をフルに着込んで出発した。

水をたたえる道が多かった

ガスで視界が開けない中でも、周囲のゆるやかな起伏は自然と伝わってくる。晴れでここを訪れたらさぞ雄大な景色だったんだろうなあと切ない気分になりながら登っていくと、次第に岩のごろごろした尾根道に変わっていった。

尾根を上がれば上がるほどに強くなっていく風、そして萎えていく気持ち。かろうじて登るモチベーションを維持できていたのは、完全装備で体は温かかったこと、そして他にも旭岳を目指す登山者を大勢見かけたおかげだろう。

さして長い上りではないはずだが、体感では3時間ぐらい経ったような気がした。

一瞬晴れた霧、見通せた尾根。

視界が開けてたら綺麗だったろうなあ

そして11:42、登頂。

 

山頂でも当然のごとく強風が吹き荒れ、レインウェアの表面には確実に水分が付いていた。

 

既に当初の縦走は諦めていたが、ここからピストンでロープウェイまで戻るには不完全燃焼感が強すぎる。東に進めば、間宮岳分岐で北に進み、中岳分岐から裾合平に下りることで周回しながらロープウェイ駅まで下りてくることができる。

 

このとき、同じタイミングで登頂して黒岳への縦走を目指している方がいたのも後押しになった。その人、見ると半袖でここまで登ってきていてものすごく寒そうにしていたし、取り出した長袖も心もとない。どうも危なっかしいので中岳分岐までは一緒に行くことにした。

 

ということで改めて出発。

 

北岳から東に下りる道はかなり傾斜が強く、またグリップの利きづらい固い砂質で苦労させられた。ロープが張ってあるのだが、ジグザグの踏み跡を無視するかのように一直線に張ってあるだけで、どう使えばよいかよく分からない。結局踏み跡の方を優先して慎重に下りて行った。

 

途中、南方向を指すまぎらわしいペンキ印に惑わされるものの、コンパスで方位を確認して進路を東に修正、改めて正しいペンキを見つけて本流の道へ戻った。ガスがとにかく濃いのでルートファインディングは本当に慎重にやる必要があった。

 

大雪山系は(東大雪除き)全体的に起伏がゆるやかで尾根も広いため、いとも簡単に道を見失う怖さがある。噂には聞いていたが、体験で実感した。濃い霧で不安が増しやすい中、同行者がいてくれたことが冷静さを維持する助けになった。

 

強風に負けたのか倒れている看板

途中見かけた、どう見てもぬかるみなのに踏んでみると固い泥

わずかに霧が晴れるだけでもポテンシャルを感じる山

 

中岳分岐までせいぜい1時間ほどの行程だったはずだが、体感時間はかなり長かった。先が見通せないことに加え、単純に移動距離がかなり長かったことが要因にありそうだ。

私は『山と高原地図』を愛用しているのだが、大雪山の登山地図はよく見ると5万分の1なのだ。他の山系の2万5千分の1地図と同じような密度感の尾根や等高線が描かれているから勘違いしがちだが、その感覚のまま「ここからここまではこんくらいの疲労感で行けそうだな」で出発してしまうと痛い目を見る。なにせ全てにおいて距離が倍なのだから。

 

道に迷うこともなく無事に中岳分岐までたどり着き、ここで黒岳を目指す同行者の方と別れる。せいぜい1時間程度の同行だったが、改めて一人に戻ると少し寂しさもある。

 

なんて感傷に浸っていた当時だが、ここからが長かった。霧さえ晴れたら、雄大な眺めが広がっていて飽きなんかしないだろうにになあという悲しみを背負い、ロープウェイ駅に戻ってほっとすることだけを目標にしてずんずん歩いていった。

 

ハイマツを縫って

岳温泉では石を積んで浴槽を作っている夫婦?を観測

裾野に降りるほど水浸しの道になる

そして14:50ごろ、帰還。

あいにく鏡が映すのはガス

 

旭岳なんてどこにも見えないぞ!

帰還して安堵、出発時と変わらずの霧と風

頼もしいロープウェイ

この旅を始めたときには「毎日山に登るぞ~」と意気込んでいたが、今日の登山はちょっと身体的にも精神的にもきつかった。寒いし濡れるし風は強いし景色は楽しめないし距離は長いし・・・そして明日も似たような天気予報である。

 

単に自分の疲労という問題だけではなく、運転の安全性にも影響が出かねない。ということで、明日9/19(火)は休憩兼観光の日にすることに決定!

 

そうと決まれば、今日も山のふもとまで無理に長時間運転する必要もなくなる。とりあえず旭川で宿泊することにした。

 

その前に、温泉だ温泉!

岳温泉、湧駒荘

風情ある佇まい

日帰り専用、神々の湯

旭岳ロープウェイのふもとには旭岳温泉の旅館が複数あり、その中で日帰り専用の浴場を持つ湧駒荘で入浴してきた。

 

日帰り入浴と宿泊客って客層がまるで違うと思うから、日帰り専用を分けてくれるのはこちらとしても気を遣う必要がなくてありがたいところである。

 

洗い場も浴槽も広々としていて、非常に快適な湯だった。なんと泉質が2種類あり、露天風呂もついている。露天風呂からの景色こそ開けていなかったものの、それ以外の全てがハイレベルであった。

 

温泉で癒された後は、ぼちぼち旭川へ移動。夜はジンギスカンの有名店らしい大黒屋へ寄った。

大黒屋。

店の前では30組が順番待ちをしており、待機専用の建物が別に用意されているというすさまじい人気ぶりだった。

普段の生活だったらこんな列待ちはまずしないけれど、観光モードにスイッチしている今ならいくらでも待てる、どんとこい。

 

結果、それなりに回転が良いようで、1時間ほどの待ちで通してもらえた。ぜいたくなことに一人で四人用のテーブルを占領、少し申し訳ないので多めに注文した。

 

疲れが癒えるぜ

羊肉の脂には独特の香りがあり、酸化が進んでしまうときつい臭いになるのだが、この店で食べた羊肉はとても新鮮だった。臭みは全くなく、むしろ独特な香りが羊肉独自の良さとして味わえた。脂身がふんだんについているリブロースすらおいしく食べられた。

リブロース(左上) タン(左下) 肩ロース(右)

個人的にNo1は肩ロースだった。ほどよく脂がのっていてとても柔らかい。

 

 

近くのコインランドリーで消費した服を全て洗濯し、身体も道具もリフレッシュした状態で就寝するのだった。コンディション大荒れの旭岳で疲弊しつつも、明日を休憩日と決めたこともあって余裕を取り戻せた一日だった!

 

④へ続く!

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