思念の滝壺

山に登る。

鳳凰三山登山録~大鳥座すは曙光の雲海~

はじめに

7/29(土)から7/30(日)にかけて、テント泊で鳳凰三山に登ってきた。

 

終始天気が良く、開放的な景色を味わえた素晴らしい山行だったので記録する。

 

 

登山計画

鳳凰三山を満喫するにあたり、夜叉神峠をスタートする王道ルートに設定した。

 

一日目は南御室小屋まで進んでテント泊し、二日目に3つのピークを踏む。

 

一方、下山ルートは明確に決めていなかった。広河原へ下りるルートの方がコースタイムは短いが、青木鉱泉へ下りれば温泉に入ってから帰れる

 

そこで、分岐点の地蔵ヶ岳到達時点でタイムとバス時間を照らして決めることにした。(結果的には青木鉱泉へ下りた)

 

全体的にコースタイムは余裕があるので、景色を楽しみながら快適なテント泊、というコンセプトで出発!

 

山行録

1日目

天気は梅雨明けの雲一つない快晴!

 

甲府駅でバスに乗って夜叉神峠まで移動する。快晴の土曜日なので案の定人が多く、バスは混み混み。ただ座らせてもらえたのでよかった。

 

10:35 出発

晴れやかな出発

溢れんばかりの車、車、車

 

明るい樹林の中を、颯爽とはいかないが安定したペースで歩んでいく。テント泊を見越して筋トレの負荷を増やしたのが効いたらしい。足は以前大菩薩嶺を必死に登ったときよりもはるかに軽快に動く!

 

11:17 夜叉神峠小屋

夜叉神峠小屋では西方向の景色が開け、さっそく白峰三山がお出迎えしてくれた。幸先が良い!

 

この植生の緑と岩稜の茶がほどよく入り混じった感じが絶妙で好き。

 

白峰三山のたおやかな山容が眼前に。右から北岳間ノ岳農鳥岳

 

登っている最中はトレランをしている人と何度もすれ違った。このルートは傾斜がゆるめでよく整備されてるから、確かにトレランには向いてるかもしれない。

 

途中でシカにも出会う。

ファーストコンタクト。もっと間近で見せてくれ!

撮れてるけど、なんかあともうひと押し!

今度こそすばらしい写り!撮らせてくれてありがとう

ちょうど食べ物を探しながら登山道の横を登っていたので、カメラを構えながら並走した。こちらには気づいていただろうが、あまり人への警戒心がないのか悠然と歩き続け、自由に写真を撮らせてくれた。かわいい。

 

そんなこんなで辻山へ到着。

一気に景色が開ける瞬間のカタルシス

これから登る鳳凰山を望む

辻山から一日目の宿泊地である南御室小屋まではそれほど距離はなく、かなり時間の余裕をもって到着した。

 

14:05 南御室小屋

やはりシーズン真っ盛りで快晴ということもあり、テント場はかなり混雑していた。

そんな中でも、土手を一段登った日陰に場所を確保することに成功、テントをさっそく設営した。

南御室小屋。

色とりどり

 

今回はペグダウンも含めてフルに設営したが、一度経験していることもあって手際はそこそこ良くなっていた。設営開始が14:15ごろ、完了が14:40ごろなので、ざっくり25分ほどかかった感じだ。

 

設営完了。エアライズ、頼もしい

なお、南御室小屋のテント場は午前4時(!)に完全撤収というルールになっていた。なんでもテント場がヘリポートにもなっており、朝に荷揚げをする必要があるかららしい。

ヘッドライトはもちろん持ってきていたので朝早くの出発にも対応可能。どんとこい。

 

夕食は待ち望んだカップヌードル(と尾西のごはん)。

たまらない

空腹も満たせたし、あとは宿泊するのみ。

 

今回初めて持ってきたフォームパッドだったが、かなり寝心地に関しては満足感があった。地面の凹凸がダイレクトに伝わってこないというだけで断然寝やすさが変わってくるということを思い知った。また、フォームパッドはちょっと硬めの感触なのだが、それがむしろ自分の好みだった。これからもお世話になるだろう。

 

放射冷却でぐっと冷え込む中就寝。おやすみなさい。

 

2日目

おはよう!

周りが起き出す音で自分も目を覚ます。2:45ごろには活動を開始。コーヒーを淹れつつも3:40頃には撤収を完了、ヘッドライトをつけて薬師岳への道を登り始めた。

なお、冷え込みによりフライシートは盛大に結露していたが、テント内部には全くその影響が及んでいなかった。ダブルウォールテントの真髄を見た

午前3時のテント場、雰囲気が良い
3:50 出発

日の出を心待ちにしながら登る。少しの不安と期待感

ヘッドライトの明かりを頼りにして登っていく探険感、普段の日中登山ともまた違った心持ちでワクワクしつつも、徐々に薬師岳へ向けて距離を詰めていく。

 

4時を過ぎてしばらく、次第に空は赤黄青のグラデーションをまとい、日の出がほど近いことを知らせてくる。

 

前を歩く人のライトも映える

浮世絵と見まごうような富士山

そして一気に視界が開けると、そこには一面の雲海!

言葉も出ない
4:40 薬師岳

日の出前に薬師岳ピークに到達!

 

ここからの尾根が本当に美しかった。

植生の緑の中を、白い砂地が走る道、控えめだが確かな存在感を持って顔を出す岩々。それらの完璧なバランスは日本庭園を思い起こさずにはいられなかった。

 

 

ここをおいて他にないというタイミングで、日の出!

 

雲海と日の出

朝日に照らされる白峰三山

うーん、めでたい!

この時間帯、山々の表情が目まぐるしく変わる

進んできた尾根を振り返って。富士山もいっしょ

5:20 観音岳

 

観音岳に到着したくらいから朝焼けは落ち着きはじめ、少しずつ夏の強烈な日差しへと変化していく。

 

八ヶ岳も見えるぞ

行く先に見える尖塔。あれが地蔵岳オベリスク

天を衝くオベリスク
6:50 地蔵岳

名前の通り、地蔵が見守る

地蔵が並ぶこの地点がいちおう地蔵岳のピークという扱いになっており、オベリスクは一般登山者が登り切れるものではなかった。ただし、途中までは無理なく登れるため、多くの人がチャレンジしていた。

なお、オベリスクの正真正銘てっぺんまでロッククライミングで登っている人がいてたまげた。恐れ知らずだなあ。

なかなかスリリングな登攀

 

ここからは尾根の絶景に別れを告げ、下山のとき。少し寂しいけど、これも含めて山を登るということか。

 

地蔵岳到達時点で7時前、これなら青木鉱泉で温泉に入っても12:15のバスに間に合うという目算が付いたため、下山は青木鉱泉へ向かうことに決定した

 

その後は、鳳凰小屋でコーラを買っておいしく飲んだり

何度も現れる滝を楽しんだり

五色滝といいつつ、虹で七色

白糸の滝

ここの水って鉄分含むのかな~と思ったり

酸化鉄の色

して青木鉱泉へ帰還した。

9:57 青木鉱泉(山行終了)

青木鉱泉。風情ある建物

温泉にまったり浸かり、休憩所でぐだぐだして楽しく帰った。

 

テント泊装備の重量でも、しっかりした作りの50Lザックで行ったからか、かなり負担は軽減された感触があった。でもそれはそれとしてちゃんと足が筋肉痛になった。

 

振り返り

コースタイム評価

1日目、2日目を合算して評価する。

  • 今回の参考にかかった時間は、1日目3時間30分、2日目6時間7分を合計して9時間37分
  • 標準コースタイムは1日目5時間20分、2日目8時間45分を合計して14時間5分

なので、標準コースタイムの0.68倍で行動できた。テント泊装備を背負い、あちこちで写真を撮りながらもかなり軽快に動けたようだ。

 

飲食物

  • 飲み物
    • フォームパッドを横付けしたので、これまでは両サイドに付けていた500mLペットボトルが1本減った。
    • よって今回は2L+500mLの構成。宿泊山行は日帰りと違って一日の行動時間が短め+テント場で水分補給が可能なため、これで問題ないという判断に基づく。
  • 食べ物

 

反省点

  • 地蔵岳の上りですれ違いを急ごうとし、前の人に追突しかけた。
    • 視野を高く持つ。
  • 青木鉱泉へ向けた下山中、足を滑らすことが多かった。
    • 天気が良く、乾いた砂が道の多くを占めていた。
    • テント泊装備は割と足に負荷をかけていたようで、後半には疲れが出てブレーキが利きづらくなっていた。
  • 南精進ヶ滝の手前でルートに迷った。
    • ロープがかかっている区間の終端にピンクのテープが巻きつけられていて、「そこをくぐって下りてね」というメッセージだったのを見逃した。
    • 道がないと思ったので上り方向に目を向けたところ、道っぽいものを見つけて進んだが、そちらは行き止まりだった。

 

新しい知見

  • タオルが必要なのは風呂/温泉に入る可能性があるとき
  • 登山中にはスマホ指紋認証が機能しないことが多いので、オフにする方がトータルで効率が良い
  • 持ってきた装備が思いがけず役立つ状況は簡単に起こりうる
    • 今回のテント場のルール(朝4時撤収必須)は現地で初めて知ったが、ヘッドライトを携行していたおかげで問題なかった
  • テント泊
    • レインフライが結露している場合、テンションを緩めるのは最後の最後、畳んでしまう瞬間に限る
      • 緩めて放置するとテント本体が濡れる
    • グラウンドシートは周りが濡れている中でテントを畳むのにも役立つのでほぼ必須

 

総括

テント泊も絡めた本格的な南アルプス縦走、最高のコンディションで満喫できた!

 

再来週に計画している剱岳へ向けての演習としても有意義な山行だった。あとは晴れてくれることを祈る!