はじめに
2/3(土)に丹沢へ行ってきた。主目的は大山への登山だったが、それだけだと物足りないことは明らかだった。そこで思い切ってルートを前後に膨らませたところ、1日の行動量としては歩行距離でも獲得標高でも自己ベストのエクストリーム登山になったので記録する。
ルート
ルート計画はこんな感じ。
主目標はまず大山である。今までも丹沢には合計3回登りに来ているが、大山にはまだ登ったことがなかった。
でも大山は標高1200m強、それだけ登ってもたぶん物足りない。
唸りながら大山周りの地形図を見ていると気づくことがあった。
まず大山の手前だ。秦野駅のほど近くから大山に向けて長い尾根が連なっている。市街地近くの市民に親しまれる低山から次第に標高を上げていくのは楽しそうだ。
次に大山に登った後。大山からはヤビツ峠に降りることができ、ヤビツ峠とはすなわち塔ノ岳表尾根の入口である。塔ノ岳にはいつも大倉尾根から登っていたので、表尾根経由で登れるのは新鮮だろう。
以上を踏まえて、秦野駅から歩き始めてアップダウンを繰り返しながら大山に登り、ヤビツ峠に下りてからダメ押しに塔ノ岳へ登るというルートに決定した。
まあ、日没前までには完走できるでしょ(楽観)。
山行録
6:52 秦野駅出発
いつもは駅でバスに乗り換えて登山口へ直行するわけだが、今回は趣向を変えて駅から歩き始める。秦野駅前はすっかり市街地なので、ここから山深い景色への変化を楽しめそうでワクワクしてくる。
天気は雲のほとんどない快晴で朝焼けが映える、ただし全体的にややかすみがかった感じ。
今日のルート最初のピークは、駅からほど近い距離にある権現山だ。上の写真の中央左に見えているのがそれのはず。
山体が道路の間近にせり出した個所に入口を発見、さっそく山へ分け入っていく。
最初のピークにはさっくりとたどり着いた。地図を見る限りここが権現山だと思っていたのだが、現地の看板には「浅間山(せんげんやま」と書いてある。権現山の手前に、地図には書かれていないながら別のピークがあったというわけか。
そこから少し上ると真の権現山に着いた。こちらには展望台もあってよく整備されている感じ。
次のピーク、弘法山までもさして時間はかからない。この辺の山は分かりやすく信仰に紐づいた名前をしている。修験道にしては楽すぎる気もするが、麓の住民による山岳信仰の対象になってきたのだろうか。
ここまではよく整備された低山、という感じだったが、次のピーク念仏山へ向かう道は少しずつワイルドになっていき、本格的な登山の様相を呈し始めた。この辺から市街地との距離が開き始めるようだ。
高取山の時点で標高はまだ556mでしかないのだが、意外と疲れを感じた。
ちょっと寝不足気味+予想以上にこの低山エリアにもアップダウンがあったことが影響していそうだ。でもその程度でへたれない体力はついているし自信もある、当初の行程を突き進むぞ~
ここまでの尾根歩きでも意外と時間は食うもので、気づいたら9時を回るころ。ここでようやく大山への登山道に差し掛かる。
大山頂上には阿夫利神社があるのだが、それに対応する形で、ふもとには阿夫利神社下社が構えている。今回のルートでは若干の遠回り(頂上に直接上った方が早い)なのだが、せっかくなので下社へも寄っていくことにした。
9:33 阿夫利神社下社
案の定、ここで人が爆増。低山歩きでは、地元の日課で山歩きしているっぽい人しか見かけなかったものだから、それとのギャップが大きい。
神社という大きな観光スポットもあるし、下社まではケーブルカーで楽々上ってくることができるからこその賑わいだろう。
頂上登山口にはセルフお祓いシステム(?)もあって面白かった。100円払って置いてあるお祓い棒を振っていってねというやつ。
せっかくなので思い切りよく振ってから出発。
観光地化が激しいので階段が整備されてそうと勝手に予想していたが、意外にも山頂までの道のりは登山道然としていて登りがいがあった。登っている人はカジュアル勢の割合が高く、必然何度も追い越しを重ねながら登頂した。
10:30 大山
人が多い!塔ノ岳よりも丹沢山よりも鍋割山よりも多いよ。2月なのにこれって。いや、2月だからこそなのか?
なお、阿夫利神社社殿は耐久性重視といった風貌をしていた。立派さでいえば下社の方に軍配が上がるが、置かれた環境を考えたらそれは仕方ない。
今日の第一目標は大山登頂で達成されたが、ルート的にはこれでようやく折り返しといったところだ。ここからイタツミ尾根を経由してヤビツ峠へ下りる。まだまだ足は温存できているので、塔ノ岳表尾根もなんとかなりそうな見通しが立ってきた。
想定よりも水分消費が多いのでヤビツ峠でコーラを買う。登山をしていると基本的にエネルギーが枯渇するのでコーラが五臓六腑に染み渡る。
ヤビツ峠から菩提峠までは、岳ノ台を経由して移動した。100mほどプラスして登ることになるが、踏めるピークはありったけ踏んでいきたいよなあ!?
11:45 岳ノ台
岳ノ台には展望台があり、確実に溜まっている疲労の中いいリフレッシュになった。
菩提峠ではパラグライダーの影を見かけて楽しい気分に。
後で調べたら、ちょうどここにパラグライダーの滑走台があったようだ。
私もいつかやってみたいな何かしらのスカイスポーツ。
気分転換も済んだところで、いよいよラスボス、塔ノ岳へ向けた表尾根がここから始まる...
表尾根は、大倉尾根よりも登山の醍醐味を味わえるルートだなあというのが第一の感想だった。
大倉尾根ほどには階段や木道が整備されてはおらず、自然を歩いている感じが強い。そして、アップダウンが多い。大倉尾根は下り区間というものがほぼ存在せず、塔ノ岳へ向かって一直線に上っていく。それと比較すると表尾根は、三ノ塔で一度大きなピークに達したのち、それよりも低いピークを何度も上り下りしながらようやく途中で高度を回復する。
こういった要素は普段の自分にとっては非常に好ましく映るものだが、今回ばかりは違った。三ノ塔に登り切ったあたりでさすがに体力を使い果たしたのか、足に力が入らなくなってきた。その後にアップダウンがあるたび「勘弁してくれ~」といった気分でひいひい言いながら歩き、塔ノ岳へ向けた最後の上り区間ではいよいよ10歩歩くたびに立ち止まるような惨状であった。
大腿四頭筋が攣りかけるというのは初めての経験だった。いつもは最後までへばらずに粘ってくれる筋肉なのに。
それでも今日の第二目標塔ノ岳、きっちり登頂成功!
14:34 塔ノ岳
すべてを出し尽くした感がある。これ以上はもう登れん。体温もあまり上がらないので止まっていると冷える。すぐ下りへ移ろう。
そんな満身創痍の状態だったからこそ、下りルートにとった大倉尾根はまさに救いの尾根であった。
上り一辺倒ということは、裏を返せば下りに使えば一切の登り返しがなく、体力を消費しないということ。階段や木道が整備されつくしているということは、疲労が極まった状況でも足を踏み外すようなリスクが少ないということ。
その単調さが揶揄されてもいる大倉尾根だが、長大な行程を消化した後の下山道として使うと他の道では替えられない真価を発揮するということを思い知った山行だった。
なお、途中で足を捻挫しかけてひやりとした。被害が軽微で済んだのは靴紐をガチガチに締めて足首を固定していたおかげだろう。
前提として下りは紐をきつめに締めた方がよいというセオリーがあるし、それに加えて疲労で筋肉による制御が効きにくいだろうなと思ったので塔ノ岳山頂で締めなおしていた。
16:16 大倉バス停到着
自分で選んだルートながら、最終盤には「なんだこのルートは」「過酷すぎるだろ」などと口走っていた。でも、疲労の極致に達するほど力を出し切れる機会はそうそうないので、そういう意味では貴重で楽しい道のりだったことは間違いない。
振り返り
30km歩いたし、3000m登った
行動時間も、歩行距離も、獲得標高も自分史上最高となった狂気の山行だった。
結果、消費カロリーも歩数も意味の分からない数値になっている。
なお心拍数はあてにならない。ランニングの時は正確に測ってくれるのに、登山になった瞬間ガバガバ計測になってしまう。
ルートを決めたときは獲得標高2000mぐらいだろうと思い込んでいたのだが、予想が大きく外れたことになる。序盤の低山や表尾根三ノ塔からのアップダウンが想像を超えていた。
冬の水分消費量じゃない
900mlの熱いお茶+500mlペットボトル×2本で足りると思っていたが、まったくもって足りなかった。
ヤビツ峠でコーラを一本追加補給したにもかかわらず塔ノ岳登頂時点で全水分を使い果たし、残りの水分量ゼロの状態で下山していた。
3000mも登ればそれはそうかという感じだし、気温が2月のわりに高めだったこともあるのかもしれない。
総括
秦野駅をスタートして2つの大ピークを踏むという変則ルートだったが、市街地から変わっていく風景と全体力を使い果たす経験を楽しめた新鮮な山行だった!