思念の滝壺

山に登る。

瑞牆山登山~間に合え、雪に閉ざされる前に~

はじめに

11/19(金)に瑞牆山に登ってきた。

 

ルートは、みずがき山荘から反時計回りに瑞牆山へ登って不動沢を降りる周回コース。

 

すでに高山は雪に閉ざされ始め、冬が始まっているこの時期だが、無風の快晴を掴み取って楽しい山行ができたので記録する。

 

 

山行録

韮崎駅までは電車での移動だが、貨物列車の空転だとかで電車が遅延。

 

もともと8:50発のバスに乗る予定だったが、一便遅れの9:35発に乗ることになった。朝起きたときは「金峰山もありだな~」などと考えていたが、出発時間が遅くなったのでさすがに金峰山ピストンは諦め、当初の予定通り瑞牆山周回を決行することに。

 

バスではSuicaが使えない代わりにPayPayで決済できた。ICカードリーダーが不要だから導入しやすいのだろう。

 

車窓からは雪化粧をした甲斐駒ヶ岳鳳凰三山、富士山や八ヶ岳の美しい姿が目に飛び込んできつつ、みずがき山荘へ到着。

みずがき山荘

天気は見事に快晴、気温についても、すでに11時を回っていることもありさほど寒さを感じない。この季節で期待しうる最高のコンディションに巡り会えたようだ。さあ出発!

 

11:06 山行開始

 

道のはじめは晩秋の樹林帯、紅葉が終わり切って積もった落ち葉を踏みしめて緩やかな上りを歩んでいく。

秋も終わろうとする寂寥感。でも嫌ではない

富士見平小屋まではこんな感じの優しめな道が続くが、その中でもこれから向かう先を想像させてくれる特徴的な眺めがいくつかあった。

 

まず、溶け残った霜が散見された。登った先ではもっと凍ってたり雪が残ってたりするのだろう。

麓でも霜が残る

あと、巨岩がところどころにでんと鎮座していた。岩がいっぱいというのは瑞牆山の特徴として聞き及んではいたが、麓からこんな感じなのか。

画角に収まらないよ

苔の面積も広い

 

ベンチの置いてある休憩地点では一気に景色が開け、瑞牆山の全貌が目に飛び込んでくる。

その眺めはなんと形容したらいいのだろうか。いくつもの巨岩が寄り集まって一つの山をなしているかのような特異な山容をしていつつ、かといって「岩の殿堂」剱岳のような威圧感を放っているわけではない。むしろ、岩々の間には緑豊かに森が広がり、かっこいいと同時に優しい印象すら受ける。剱岳が岩の殿堂なら、こちらは岩の集落といったところだろうか。なんにせよすばらしい眺めだ。

エキセントリックな山容

晴れててよかった

11:34 富士見平小屋

富士見平小屋

テント群は金峰山ピストン中だろうか

富士山ビュースポット


富士見平小屋を過ぎた先では徐々に斜度が上がっていき、道に転がる大岩の頻度も増えていく。

 

岩も巨大なら亀裂も巨大

岩の間を縫ってよじ登っていく

さすがに通れない!ので迂回

何をどうしたらこれに登ろうと思うんだ

構図が気に入った一枚。木の均整がとれている

岩々の間を縫って一気に標高を上げ、いくつかちょっとした鎖場やハシゴも突破していくと、山頂手前でいよいよ凍結した地面がお出迎えしてくれた。

この時のために持ってきたチェーンスパイク、いよいよ初めて登山靴に装着。ツルツルで歯が立たないように見える氷もしっかりと捉えてくれるようで、安心して体重を預けることができた。

カッチカチに凍っている

ハシゴ+凍った岩のコンボ

そして登頂!

12:47 登頂

 

山頂では360度きれいに見渡すことができ、雲のほとんどない快晴なのもあいまって圧巻の眺めだった。

甲府盆地を挟んで南を見れば白銀に輝く富士山が鎮座し、南東に目を移せば間近に重厚な山体を持つ金峰山がそびえ、南西には南アルプスが並び、かと思えば西には八ヶ岳がいくつものピークを尖らせている。

まさに山梨の高山フルコース。30分ほど山頂でぐだぐだしながらずっと景色に見入っていた。

金峰山奥多摩の盟主らしい重厚な風格

金峰山(左)と富士山

アップダウンが特徴的な八ヶ岳瑞牆山裾野の細かくうねった起伏も面白い

南アルプス。雪に覆われた右は甲斐駒ヶ岳、左は白峰三山っぽい

東へ向かう尾根。傾斜は緩いのに登山道がないのは、岩を縫う隙間がないからだろうか

 

無風とはいえ山頂はそれなりに気温が低い。体が冷え切る前に出発。

 

13:21 山行再開

ピストンだと山行時間が短すぎて物足りないし、もともと周回ルートが好きなので、下山には不動滝経由で北に降りるルートを選んだ。

 

予想していたことではあるが、北面はかなり広範囲にわたって雪が定着していた。降ってから時間がたって表面が固まっており、登山靴そのままで歩くのは厳しそうな感じ。チェーンスパイクで歩く練習になった。

 

雪を踏みしめる

「ししくい坂 頑張って」

こちら側の岩は名前がついているよう

 

水量は多くなくて助かった

不動滝。岩がでかい瑞牆山らしい滝

不動滝を過ぎてからしばらくの間も沢沿いに下りていく道だったが、途中から手すり付きの木道が豊富に整備されていて頼もしかった。

豪華な木道だ

それも終わって沢を離れると、道は西に向きを変え、正面から日が差す明るい道に。傾斜も緩くなっていきほどなく林道に出る。

 

瑞牆山自然公園キャンプ場は車でいっぱい

みずがき山荘までの帰り道は林道を歩くだけで若干退屈だったが、体力は十分に残っていたのでペースを上げ、15:20のバスにぎりぎり間に合わせることができてラッキーだった。

歩いている途中、林道脇に車を止めてBBQしている人たちがいたり、オーバーハングした低い岩でクライミングの練習をしている人たちがいたりで、瑞牆山周辺のレジャーフィールドとしてのポテンシャルもひしひしと感じながらの帰り道だった。

 

15:20 みずがき山荘帰還

帰りの車窓から見た甲斐駒。登りたいなあ

富士山は一度登って満足したので、眺めているのが一番いいかもしれない

 

振り返り

  • 山岳気象大全 | 山と溪谷社 を読んで学んだ山の気象判断を初めて実践した。

    • この週末は、金曜日に温帯低気圧が通過して積雪した。土曜日には西高東低の冬型気圧配置による強風が予想されたので山行を控え、等圧線が緩む&高層天気図での寒気のピークが関東を過ぎ去る日曜日に決行した。
    • 土曜日に登った人のツイートを見ると雪が降っていたらしく、日曜は晴れで無風だったので正しい判断だったと思われる。
    • 風速予報や天気予報が十分便利になっているので必ずしも必要な技術ではないかもしれないが、その予報になっている根拠まで理解できるのがベストだと思っている
  • ニット帽・ネックウォーマー・下のスパッツまで徹底的に防寒対策を持ち込んだが結局出番がなかった。この季節の2000m超えでも晴れで無風ならあんまり寒くない。

 

総括

瑞牆山のエキセントリックな風貌を満喫できただけでなく、初冬の山に装備を整えて登る経験を詰めた貴重な山行だった!

 

 

武尊山登山~信仰に思いを馳せる修験道~

はじめに

10/28(土)に日帰りで武尊山に登ってきた。

 

ルートは上ノ原登山口から沖武尊へ登り、前武尊から不動岳を経由して川場温泉へ下山するもの。

もともとはピストンや武尊神社へ下る周回ルートも視野に入れていたが、当日順調に進んだので、結果的にフルで縦走することができた。

 

このルートにはいくつも見どころがあり、

  • 上ノ原登山口は武尊神社側と比べて使われていないらしく、閑静な沢を遡っていく登りが楽しめる。
  • 山頂~前武尊~不動岳~川場尾根の下山ルートは古くから修験道として親しまれていて、像や社がそこここに祀られている。
  • 修験道らしく、多数の鎖とロープとハシゴが待ち受けている。

と盛り沢山。実際すごく楽しめたので、記録を残す。

 

 

山行録

川上駅では谷川岳方面と武尊山方面のバスが出ているが、谷川岳行きの便がとてつもなく混んでいた。

谷川岳行きの列。

それを横目にガラガラのバスに乗って上ノ原入口へ。谷川岳だけ人気が偏り過ぎじゃないか、ロープウェイがあって格の割に簡単だから?

 

武尊山は公共交通機関でのアクセスがかなり悪く、どこから登ろうとしてもバスの終点から登山口まで距離がある。

仕方ないがマイカーを持たぬ身、バス停から登山口まで舗装道を歩いていくつもりで出発した。ところがなんと、出発した直後、軽トラックのお兄さんが現れて声をかけてくれた。お言葉に甘えて助手席に乗せてもらい、登山口までひとっ飛び。

おかげで山行の一番退屈な部分をスキップし、タイムも大幅に短縮することができた。親切に感謝。

9:10 登山開始

上ノ原登山口

林道がしばらく続いてから登山道に入る

軽トラのお兄さん曰く、上ノ原登山口はあまり使われないらしい。ほとんどは少し南の武尊神社から登るのだそうだ。

 

だからだろう、登山道はやや不明瞭で、道標はごくたまに巻いてあるピンクテープのみ。浅い沢と何度も交わりながら人気のない谷間を遡っていく静かな道、先々週の谷川岳の混雑を味わった後では非常に心地よい時間だった。本来登山はこうあってほしい。

 

踏み跡が消えかけるぐらいには使われていないようだ

麓では紅葉がピーク

やっと現れたピンクテープに安堵

平地に出て一息ついた後、尾根へ取り付く登りが始まる。この登りはありふれた斜度だが、足掛かりが少ない土ベースの道でグリップを利かせづらい。登山靴がおろしたてなのもあって若干苦戦した。

目指せ尾根

尾根へ出たら看板が。ここから右へ

尾根をしばらく進んでいくと展望が開けてくる。

剣ヶ峰山と西峰

ここで武尊神社からのルートと合流。武尊神社から登る人はやっぱりそれなりにいるようで、一気に人気が増えた。これはこれで安心感はある。

手小屋沢避難小屋はこぢんまりしていた。あくまで緊急避難用

、木漏れ日の尾根

そして、穂高山頂(沖武尊)へ向けた最後の上りが始まる。

ここは鎖やロープが連続する区間だったのだが、特徴として岩の表面がなめらかでホールドが少なく、鎖を両手でつかまなければならない場面が多くて困った。できれば鎖だけに体重を預けることはしたくないが仕方ない。せめてもの抵抗として、あらかじめ鎖の強度を確かめながら登っていった。

なお、このホールドの少なさは山全体で共通しているらしく、川場剣ヶ峰近くの鎖場でも不動岳でも苦戦を強いられた。

最初の鎖場

ロープは体重預けたくないから見なかったことにする

ロープは体重(以下略)

見た目がいかつくてもホールドさえ多ければ楽

岩の裂け目に垂れた鎖をほぼ垂直に登る最後の上り(撮り忘れた)をクリアし、登頂!

登れ~


11:54 登頂

普寛行者が開いたことで武尊山御嶽信仰に組み込まれたそうだ

剣ヶ峰山・西峰方面

尾根のアップダウン・まばらに生える木・細長い池塘ジオラマのようなワクワク感

登山口からスタートできたこともあって体力はまだまだ十分にある。ここから前穂高までの稜線歩きと不動岳までの鎖場を満喫しに山行を再開。

日本武尊

この細長い池、風景のいいアクセントだよな・・・ん?

実は道だった

奥に見える川場剣ヶ峰、ピークが鋭角なんだが

川場剣ヶ峰の手前にもちょっとしたピークがあり、一度はチャレンジした。だが、鎖無しで細い岩場を何度も登らされるので、途中で怖気づいて巻き道へ戻った。

この地点で撤退。この先はちょっと危なそう

幸い、巻き道を進んでいった反対側からの登りは比較的短かったので、そちらから登ることに成功した。登った先には社が。

ピークから見た川場剣ヶ峰。ひええ

肝心の川場剣ヶ峰の方は、道らしき箇所がロープで封鎖されていたので大人しく巻き道へ。反対側には笹薮が広がっており、そもそも道が無かったので巻いて正解だった。

道が無い。それでも上りたいなら藪を漕げって感じか

実質通行禁止なのに地図には破線ルートが引いてある。最新版の地図なんだけどな。

 

なお、別角度からみた剣ヶ峰は山頂が異様に平らで、ツェルトのごとき形をしていて面白かった。

水平

ただならぬ威圧感のある稜線を圧倒されながら歩き終わり、ようやく前武尊に到達。

 

13:18 前武

前武尊にも日本武尊像が

ここからは不動岳へ向かって岩峰群の鎖場を辿りながら下りていく。人生で初めての破線ルートチャレンジだ!

 

待ち受ける岩峰

 

このルート、たしかに破線ルートである理由はよく分かった。沖武尊への登りを超える険しさの岩場、しかもホールドがほとんどないところを鎖を頼りにガシガシ乗り越えていく必要がある。それなりに高度感もあり、終始気を抜けない区間だった。

 

正面の大岩。直接登るわけではないが、圧迫感で威圧してくる

鎖一本目からこれ

登り終えても気は抜けない、今度は下り

岸壁をトラバース。手がかりが鎖しかない

振り返って

最後の上り。一枚岩の急坂

無事クリア!
破線ルート初踏破に成功だ。

(これが破線ルートなら剱岳別山尾根はどう考えても破線だよな・・・)

ここを突破したのか

不動岳のピークは分からないまま過ぎてしまったらしい。たぶん↑の写真を撮った見晴らしの良い岩だったと思われる。

 

その後は川場尾根の下りに移った。

秋の川場尾根、本当におすすめだ。

緩やかで木の根や石につまづかない歩きやすい道、木々の紅葉が楽しめ、そしてところどころにある地蔵や碑で山岳信仰の雰囲気を肌に感じられる。険しい岩場で肝を冷やした後だからこその安堵感もあって穏やかな時間だった。

鮮やかな紅葉

素敵な下り

そして登山道の終点、旭小屋に到着。山行は概ね完了した。

旭小屋

橋の先は車道

15:00 車道に出る

ここから川場温泉までの歩きが本当に長かった。

おろしたて登山靴の硬いソールによる疲労が溜まっていてもうペースが出せず、1時間半かけてようやくバス停に辿り着いた。

さすがに上りのときのように車に乗せてくれる人が運よく現れることもなく。登山後の汚れた装備の人を乗せたくはないだろうし、国道のど真ん中だし。

 

途中で日帰り温泉をやっている小住温泉も見かけたが、最後の楽しみにするためにスルーして歩んでいった。

 

16:24 川場温泉口バス停

川場温泉センターいこいの湯へ。

温泉でリフレッシュ。その後はちょっとしたミスで沼田駅行のバスを逃してしまったため、道の駅田園プラザまで歩いて行って買い物をしてから帰還したのだった。結果、この日の歩行距離は34.2kmに。もうちょいでフルマラソンだ。

見惚れる月。iPhone SE2ではうまく写せないのが残念

沼田駅に辿り着いたころにはすっかり日は暮れ

 

振り返り

おろしたて、GK88

今日が初陣だった登山靴GK88だったが、初めて履いたとは思えないぐらいに足に馴染んでいてほとんど違和感がなかった。

先代と同じキャラバンだし、なんならアウトソールもヴィブラムの同じ型だからだろう。ハイカットに関しても足を邪魔する感じはなく、適度に足首をサポートしてくれて安定感が増すのを感じた。

思惑通りスムーズに移行できてよかった。

 

ただ、完璧とはいかないもので、問題点がないではなかった。

  • ソールのガッチガチさで足が疲れた。先代も最初はこんな感じだったので、しばらく履き慣らせば軽減するだろう。
  • 足先に若干の遊びがあり、タンの布が余って足に当たった。付属のハーフインソールを入れて足先を狭くしてみようと思う。

工夫して変化に適応しつつ使い込んでいこう。

 

総括

武尊山のたくさんの側面を味わうことができ、大満足の山行だった!

 

先々週の谷川岳といい今回の武尊山といい、上州の山は稜線も展望も優れていて、しかも東京から電車で行きやすくて大好きになった。

 

次はどこに登るか。金峰山瑞牆山は今年中、雪が降る前に行けるかな。

谷川岳登山~ロープウェイなんて知らない~

はじめに

10/14(土)に谷川岳に登ってきた。

 

せっかくなのでロープウェイを使わず、日本三大急登の一つとされる西黒尾根を登り、一ノ倉岳、武能岳を経由して蓬峠から下山した。

 

紅葉と急峻な稜線の組み合わせを存分に楽しめた山行だったので記録する。

 

山行録

 

始発で出発すると、東京からでも8時半ごろに土合駅に着ける。丹沢並みのアクセスの良さでびっくりした。公共交通機関だと、アクセスの良さは直線距離とまったく比例しないのがよく分かる。

 

谷川岳の登山基地である土合駅はホームがトンネル内にあるため、日の光を浴びるために長大な階段を上る必要がある。

ウォーミングアップ

二番乗りで階段をクリア

「日本一のモグラ駅」

合計で500段弱の階段を登り切った先にようやく駅舎が。

今日は急登の西黒尾根から稜線歩きまでを日帰りでこなすのだから、これぐらいはむしろ良いウォーミングアップだ。登山口へ向けて意気揚々と出発。

 

8:55 土合駅出発

ロープウェイ...?知らない子ですね

ロープウェイは体力の消費を抑えて山をゆるく楽しんだり、稜線上の行動距離を伸ばしたりするのに有用ではある(私も旭岳に登ったときにロープウェイを使っている)が、今回は上りそのものを楽しみたいのでスルーだ。

 

ロープウェイ駅を横目に舗装道を奥へ進むと山岳資料館が、そのさらに先でようやく西黒尾根登山口が姿を現す。

西黒尾根登山口、もう傾斜が急

登山口に一歩足を踏み入れた瞬間から既に急登が始まる。しかもこの急登、前半部では緩む区間がほとんどなく、「ここで休憩しよう」と思える区切りになる場所がなかった。

その割にあまり疲れを感じず、「上りのきつさは北岳とか甲武信ヶ岳とかと大して変わらないな~」なんてのんきに考えながら登れたのは、果たして本当にこの登山道がその程度なのか、それとも自分が成長しているだけなのか。

 

ロープウェイを回避する物好きは少ないだろうと予想していただけに、登山者がなかなか多いのも意外だった。この尾根を登るだけあって、ストックを使わないストロングスタイルの割合が高かった。同志よ。

 

私は日帰り軽装でぶっ飛ばしていたため、20~30組ぐらいはごぼう抜きできてなかなか爽快だった。

 

送電塔から覗く太陽

南に見えるはロープウェイ終着点のビューテラスてんじん

正直ここまでは、西黒尾根が日本三大急登と呼ばれていることについて疑問を感じていた。が、後半訪れる怒涛の岩場・鎖場ラッシュによって思いを改めることになる。

これから始まる鎖場の前兆

刺激的なアスレチック

傾斜の大きい鎖場が何度も続くというだけでなく、岩の表面がツルツルしていて油断すると滑る。集中力も体力も要する後半部は、赤岳の真教寺尾根を彷彿とさせる激しさであった。

鎖場になると必然的に追い越しができなくなり、前の人が進むのを待ちながら景色を眺める時間が増える。北方向の展望はなんともダイナミックで、山頂付近で紅葉が始まっていることもあって見惚れる眺めだった。

2000mとは思えない威容

北東には朝日岳。手前に笠ヶ岳(左)と白毛門(右)が重なる

.

 

高度感も出てくる

北海道の大らかな山々にすっかり慣らされていたので、尾根が急峻さを増して久々の高度感を味わうとなかなかにスリルがあった。

 

物好きが多い

ラクダの背、いいネーミング

剱岳別山尾根を思い出す眺め

右には断崖絶壁

天神尾根からも意外と距離はあるようだ

登りは続く

ザンゲ岩。怖くて懺悔してる暇なさそう

黄金

怒涛のラストスパートを抜けると、傾斜は緩み、突然辺りは笹原となる。

そして登頂!

11:14 谷川岳(トマの耳)登頂

後半の岩場を経て、西黒尾根が確かに日本有数の急登であることを実感した。

前半部の樹林帯を登る道、後半部の鎖場のどちらも、それだけでいえば匹敵する登山道は他に多くある。だが、登山口から稜線に至るまでずっとそのレベルが続く尾根となるとなかなかない。

3kmしかない水平距離で1200mもの標高差を上り切る、最初から最後まで全力の道、それが西黒尾根だった。

にょきっと生えるオキの耳

西へ向かう稜線には万太郎山仙ノ倉山。彫りが深く陰影がはっきりしている

この稜線が2000mないは嘘では

さてここからはお楽しみの稜線歩きに移るわけだが、ロープウェイ終点の天神尾根と合流したこともあって山頂付近はとてつもない渋滞だった。

 

真夏の富士山や立山にこそ及ばないが、秋の谷川岳は恐るべき人気のようだ。

人多すぎぃ!

オキの耳。順番待ちの間の一瞬に遠目から撮影

人が少なくなって静かな山を楽しめるようになるのは、ようやくオキの耳を越えたあたりからだった。

いざ一ノ倉岳へ

富士浅間神社奥の院へお参り

これ以上前に出たくない断崖絶壁

谷川岳を振り返って

12:33 一ノ倉岳


渋滞に思った以上に時間を取られたので、若干の焦りが生じる。茂倉岳に着いた時点で13時ちょうどぐらい、そこから茂倉新道を通って土樽駅まで直接下山するルートも頭をよぎった。

 

だが、今日は無風の秋晴れ、不安要素は若干道が滑りやすいということのみ。後半は林道なので、最悪そこで日が暮れても安全に帰りつける。標準コースタイムの2/3以下のタイムを安定して出せる自分を信じて、当初のルートである蓬峠を貫き通すことにした。

 

13:43 武能岳

武能岳も立派

武能岳が今回最後の大きな上り。見た目からも分かるように結構な急登で、西黒尾根の蓄積もあって何回か足を止めたが、それでも全体としてはかなりいいペースで登頂できた。

 

武能岳から蓬峠を見下ろす眺めは壮観、笹薮のみずみずしい緑が尾根の一面を覆い、その中にくっきりと一本登山道が走っていた。

遠くから見ると草原

14:05 蓬峠

新蓬ヒュッテ

蓬峠からの下山道である蓬新道はなかなか面白かった。蓬沢に沿う形で少しずつ標高を下げていくのだが、蓬沢に流れ込む小川がいくつもあり、それらを渡っていくのはヒートアップした自分にちょうどよい。

 

沢の水はきれいそうだったので、途中で少し飲んでみた。今も腹を下してないので大丈夫そうだ。

 

渡渉点。ロープも飛び石もあるので濡れずに渡れる

この積み石は人の手によるものか

河岸崩落につき、高巻きに迂回する区間があった

並ぶススキ、麓でも秋が始まっている

日の高いうちに林道に辿り着けた

関越自動車道、こんな険しい中を通っているのか

そして土樽駅へ無事帰還。

 

15:53 土樽駅到着


上越線の運行間隔はかなり長く、次の便が18時なのは誤算だった。かといって15時24分の便に間に合わせるのはまず無理なので諦めもつこうというもの。十分がんばった。駅舎でまったりしてぼちぼち帰宅したのだった。

 

実はこの週末、もともとは白峰三山を縦走するつもりで準備していた。だが、日曜日の天気がピンポイントで崩れ、南アルプスの稜線上は強風の予報。急遽日帰りできる谷川岳に予定を変更したが、紅葉も始まっていて稜線の立派さも南アルプスに劣らない、すばらしい山だった。

 

振り返り

まずはコースタイム。

土合駅の出発が8:55、土樽駅への到着が15:53なので行動時間は6時間58分になる。

標準コースタイムは11時間55分なので、今回の山行は標準コースタイムの0.58倍のタイムを記録したことになる。稜線歩きのアップダウンでも足を回し続けられたし、下りもいいペースを維持したから納得だ。

山頂付近の渋滞がなかったらもっと速かったかもしれない。

 

 

次にヒヤリとしたできごと。

やっぱり事故は下山後半に起こりやすいようで、今回も蓬峠を越えた先で

  • 足が崖側に滑って登山道を踏み外した。幸い木が密集していたので落ちることはなかった。
  • 水たまりの前でふと立ち止まってスマホを取り出そうとしたが、滑って水たまりに全身落ちかけた。踏ん張った結果、被害は足とリュックの底部に収まった。

といったことがあった。

 

どちらも滑ったことに端を発しているが、これは登山靴の消耗が原因の一つと思われる。帰りの土樽駅で靴の様子を確認していたが、もう限界に近い様子だ。

アウトソールの起伏が無くなってきている

アウトソールの剥離が進んでいる。アッパーも擦り切れたりほつれたり。

そろそろ買い替え時が来てしまったようだ。

二年前に初めて買った登山靴、ミドルカットで初心者に履きやすい作りながら、硬めのソールで岩場も難なく歩ける頼もしい相棒だった。感謝に堪えない。

ちなみにモデルはキャラバン、グランドキングのGK25スポーツ用品店で買ったのだが、ネットで情報を探してもほとんど見つからないので一部店舗限定みたいな特殊モデルなのかもしれない。

 

次に買うモデルに求める条件は

  • 次もキャラバンが良い!幅広めの私の足にぴったり合っている。デザインも好きだし価格も手を出しやすい。
  • 高耐久・ハイカットの本格的な登山靴にしたい!登山にある程度慣れてきた今の自分なら、アッパーをあまり傷つけずに使えると思う。アウトソールを貼り替えて長く使えたらいいな。

www.caravan-web.com

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候補に挙がったのはGK85とGK88だったが、オールレザーのGK85はうまくメンテナンスして履き続ける自信がなかったので、今のGK25と使用感が近いであろうGK88を購入することにした。

 

新しい相棒と山に出るのも楽しみだ。

 

おわりに

急登後の稜線歩きも難なく楽しむことができ、ステップアップを実感した山行だった!

 

そろそろ高山は雪に包まれだすので、日本アルプスはまた来年。次は奥多摩の山に登るのを検討中。

北海道1週間レンタカーの旅! ⑦雌阿寒岳登山&帰還編

はじめに

北海道レンタカーの旅、8日目最終日。

 

7日目はこちら。

trthff.hatenablog.com

 

 

8日目はついに北海道で過ごせる最終日、雌阿寒岳を早朝にさっと登りつつ、新千歳空港まで帰還する!

 

8日目:9/23(土) 最終日まで中身たっぷり

雌阿寒岳チャレンジ

例のごとく朝は3時ごろに起きてドライブを開始、道の駅あしょろを出発して、雌阿寒温泉登山口まで車を走らせる。

朝食を食べたり装備を整えたりして4:50には出発。雌阿寒岳ピストンは標準コースタイムがかなり短い(4時間!)ので、ここを登っても残り時間で余裕をもって新千歳まで帰還できるという目算だった。

 

なんとこの山にも、羊蹄山と同じように1合目~9合目の標識が取り付けてあった。獲得標高が羊蹄山の半分程度なものだから、1合目に着いたと思ったらあっという間に2合目、そうこうしていると3合目という感じでサクサク数字が上がっていった。旅で最後の山行にはちょうど良い感じだ。

 

幸い天気は晴れ。朝日で赤く染まる空をバックに楽しい上りだ!

ハイマツ越しに広がる雲海。

低めだけど形の良いピークが

雌阿寒岳

火山らしく後半は植生が途切れ、砂と石の登山道を登って火口辺縁に到達。ここからの景色が素晴らしかった。

噴煙噴き出す火口。地上から見上げた印象とは真逆の激しい山だ

そびえ立つ雄阿寒岳、そして取り巻く阿寒湖を覆う雲海。

そして6:20頃に登頂。

こぢんまり

と思ったら足元に

日差しは強いが、同時に風も強い。あまり山頂には長居せず、一通り阿寒湖一帯の変化に富む風景を眺めた後に下山した。

阿寒富士。富士の名の通り、形が良い

変化に富む地形。面白いフィールド

7:30には登山口へ帰還。

 

登ってきての印象としては、地元から大事にされてるし、登山者にも優しい良い山だな~という感じだった。それでいて、いざ山頂へ登ってみると噴煙と鮮やかな火口を見下ろすことができ、内に持つ激しさとのギャップを楽しむことができる。

 

阿寒富士に雄阿寒岳、阿寒湖と周囲の美しい地形にも恵まれ、最高のフィールドだ。やる気と時間があれば、一日で雌阿寒岳・阿寒富士・雄阿寒岳の制覇も可能だろう。

 

雌阿寒温泉は強烈な硫黄泉が体験できるそうなのだが、時間の都合でまだ開いていない。

路端に温泉が平然と流れている

代わりに近くのオンネトーへ寄ることにした。

オンネトーに車を停める。

雌阿寒岳に阿寒富士が湖面に移る!

短い時間ながらも阿寒の魅力を存分に堪能することができた。

 

ここからは新千歳へ向けたロングドライブの始まりだ!

 

目指せ空港、延々ドライブ

新千歳空港は遥か彼方、一気に走り切るのはさすがに無理なので、道中の道の駅を目的地に設定しながら休み休み走っていった。

寄ったのは

  • 道の駅ピア21しほろ
  • 道の駅おとふけ
  • 道の駅 樹海ロード日高
  • 道の駅 夕張メロード

だった。道の駅おとふけから樹海ロード日高にかけて、日高山脈を越える峠道がとくにきつかった。山道なのでスピードの制御に気を遣ううえ、前後からトラックに挟まれてプレッシャーがかかり続けていた。ここまでに培ったなけなしの運転技術でこの局面を捌き切ったことを褒めてほしいぐらいだ。

 

そして15時ごろ、大いに時間に余裕をもって千歳市に帰りついた。レンタカーの返却時刻は19時ごろである。コインランドリーに寄って服をリフレッシュ。荷物も整理して万全な状態でレンタカーを返却した。

市内の木で見かけたリス。かわいい

ふと走行距離を見ると、1300kmを超えていた。

!?

検証内容:ペーパードライバーが1300km走るとどうなるか。

検証結果:ドライブに躊躇がなくなるし、駐車も問題なくできるようになる。ただし、市街地はまだあんまり走りたくない。

成田空港から私は帰れるのだろうか

新千歳空港では、お土産としてロイズのチョコを買いまくる。チョコは大好きだし、以前食べたポテトチップチョコレートが想像を超えて美味しかった記憶がある。

 

荷物の重量は出発時よりも減っていたため、お土産の分を含めても手荷物重量には余裕をもって収まった。

 

あとは帰るだけなのだが帰りの便が遅延。元が20:40新千歳発、22:15成田着の便であったため、ここから30分後ろにずれて成田から東京方面への終電が怪しい状況になってしまった。私は成田を脱出できるのか...?

 

結論から言うと、なんとか間に合った。京成スカイライナーの終電を緊急で予約したのだが、成田第3ターミナルビルから第2ターミナルビルへの無料バスが出発するまでの時間を悶々としながら待ち、到着するや否や駅へ向かって爆走して間に合わせた。

 

安いからといって深夜早朝枠のLCCを使うのは考え物だなあ、よりによって初めての利用で遅延するわけだし。

 

無事に家まで帰りついたあと、車内生活にすっかり慣れたせいで、自分の部屋に対する違和感がしばらくあった。翌日の日曜日は予備日として空けておいたため、十分に休んでから日常生活へ戻っていった。

 

旅の総括?

ここで総括するのも難しいぐらいに盛り沢山の充実した旅だった。それぞれの日が独立した旅行ぐらいの濃度なので、もうここまで書いてきた各エントリに全てを任せ、総括は放り出そうと思う。登山に関する反省点とかは個人的にまとめておくかも。

 

強いて言うなら、レンタカー車中泊という初めての経験で不確定要素が多い中、無事にやり遂げたことを誇りたい!

 

楽しかった!

北海道1週間レンタカーの旅! ⑥トムラウシ山を越えて、後編

はじめに

北海道レンタカーの旅、7日目。

 

6日目はこちら。

trthff.hatenablog.com

 

今日は大雪山系のど真ん中、忠別岳避難小屋で目覚める。折り返して南へ向かう帰り道には、昨日と違う表情をした山々が待っていた!

7日目:9/22(金) すべては報われた、快晴の復路

昨夜、小屋にやってきた男性2人。朝になって全員が目覚めたところで話をしてみる。

 

どうやら2人はパーティではなく、日没ぐらいのタイミングに忠別岳山頂で合流したらしい。1人はちゃんとした登山装備(Aさんとしよう)だったが、もう1人はびっくりするぐらいの軽装(Bさんとしよう)。見かねたAさんが一緒に行動することにしたらしかった。防寒対策も無いに等しく、寝ている間はずっと寒かったようだ。

 

Aさんと私がお湯を沸かして朝食を食べている間にBさんはさっさと出発してしまった。なんと十勝岳連峰まで縦走するつもりだったらしい。無謀なのでやめた方が良いと話したが、「ワンチャンいけるやろ」みたいな楽観的な姿勢のままだったので本当に行ったかもしれない。今となっては真相は分からないが。

 

Aさんは白雲岳から来たそう。今日はトムラウシ山まで行き、忠別岳避難小屋まで往復してくる予定ということで、2人でトムラウシ山まで一緒に行動することに。山の話をしながら楽しく歩けるうえ、写真をたくさん撮ってくれて、一日の縁ではあるがとてもお世話になった。これから載せる写真のうち解像度が高いものは、撮ってもらったものになる。

 

話をしながらまったり準備し、6時ごろに稜線上に出て山行を再開した。

 

見上げた空は一面の青をたたえていた。そう、北海道旅最終盤、(ほぼ)最後の山行にして快晴が微笑んだのだ!

快晴に感じるありがたみが普段と段違い

今日の行程はずっと復路、昨日通ってきた道のはずだが、秋晴れの太陽が煌々と照り付ける中で見える景色はまったく違って見えた。

 

屹立するトムラウシ山、木道も快晴で映える

五色岳から化雲岳までの木道はもはやボーナスタイム。楽しい!

東大雪には雲海がかかる。

化雲岳も青空とのコントラストで生き生きしている

一面のチングルマトムラウシ、雲海、そして恵みの太陽。

沼は景色が反射してこそ

チングルマ畑を縫う木道にて

本当に雲一つない

化雲岳は巻き道を選び、木道を悠々と進んでヒサゴ沼分岐を通り過ぎていく。

Aさんはヒサゴ沼を見てキャンプしたそうにしていた

間違った踏み跡に誘導されたチングルマ畑だが、きれいなので無問題

日本庭園からロックガーデンまでの昨日長さを感じた道も、最高のコンディションの中では全く苦にならない。

天沼、確かに天の沼

ロックガーデンも敵じゃない

登ってから見下ろす北沼。はるか遠くに旭岳まで見える!

 

ただただ景色に見ほれながら、10:31に2回目の登頂を果たす!

栄光の山頂

昨日も撮った十勝岳連峰の構図だが、鮮やかさがまるで違う

連峰を望む

トムラウシ山頂で名残惜しくもAさんと別れた。復路もお気をつけて。

 

そこからは私も慎重に下山していった。クマにだけは出会わないように笛を定期的に鳴らしつつ、木道に助けられながら登山口まで無事に戻ってきた。

 

13:53、トムラウシ山短縮登山口に帰還。

 

最後にトムラウシ山、ひいては大雪山が微笑んでくれた感動の山行だった...!私は確かにここに登り、そして真価を味わったのだという実感が押し寄せてきた。

天気にも恵まれ、出会いにも恵まれ、こんな山行ができたのだから、ここまで試練の強風を乗り越えてきたことも報われようというものだ。

 

 

トムラウシ温泉にもう一回浸かったり、明日へ向けて道の駅あしょろ銀河ホール21で泊まったりしたが、詳しく書くのも蛇足だろう。

 

最終日、⑦へ続く!

trthff.hatenablog.com

 

北海道1週間レンタカーの旅! ⑤トムラウシ山を越えて、前編

はじめに

北海道レンタカーの旅、6日目。

 

4日目&5日目はこちら。

trthff.hatenablog.com

 

6日目はいよいよトムラウシ山へ、そしてその先へ。どこまでも北へ!

 

6日目:9/21(木) トムラウシ山を越えて、雌伏の往路

朝早く起きるの、しんどい。

夜にめっきり冷え込み、寝袋を貫通する寒さで一度起こされただけに、もう少し休みたい気持ちもあった。が、ただでさえ山頂までのアプローチが異様に長いトムラウシ山だ、できるだけ早く出発したい。

前日に準備していた装備を背負い、4:46に出発した。

「短縮」登山口で山頂まで9.2km。驚きの長さ

秋を超えて冬じゃないのかという気温なもんだから、ソフトシェルの上にフリースジャケットまで着込んで登り始めるほどだった。

登山道は樹林帯を抜けるオーソドックスな道だが、木道がすごく多い。

木道がいっぱい

昨日トムラウシ温泉でホワイトボードに書いてあって知ったことだが、9月初めごろにボランティアが木道の整備をしてくださったらしく、私が歩いた木道の多くはそのときに設置されたであろう真新しい輝きを放っていた。体力消費が劇的に減るしタイムも稼げる、本当にありがたい。

道中の平坦地、カムイ天上。名前がいかしてる

 

身体が温まってくると、気温の低さもむしろ快い要素だ。吸い込む空気が清浄だし、飲み水は勝手に冷却されてキレッキレになっている。

 

暑さにやられることもないので、高いペースを維持してコマドリ沢分岐を通り過ぎていく。この辺でようやく長いアプローチが終わり、いよいよ尾根に取り付くための急勾配へと道が変わる。

トムラウシ山・前トム平を見据える

ガレ場の横断中に朝日がチラッと覗く。悪くない天気

沢沿いを登っていった先では右にガレ場が広がり、トラバースしてから登りに戻る。

ここまでの行程の長さに比べたら残りの上り程度は苦ではない。前トム平へはあっという間だった。

 

いよいよトムラウシ山頂が見えた!

東大雪と、その手前に広がるテーブルマウンテン状の地形、沼ノ原

 

前トム平からはいったん高度を下げ、トムラウシ公園を経由する。

辿り着くのがあまりにも大変な公園

公園の名にふさわしい眺め

チングルマがお出迎え

トムラウシ公園からは、トムラウシ山頂へ向けた最後の上りへ。

岩場エリアを渡る。トムラウシ山の獰猛な側面を見ている感じ

南西を見る。切り立つオプタテシケ山と、それに連なる十勝岳連峰

そして8:34、登頂!

風こそないがやっぱりほの暗い

登ってみて思ったのは、トムラウシ山の山容は南アルプスっぽいな~ということだった。山頂付近になると植生がなくなって岩稜になり、大らかながらもゴツゴツとした黒めの岩が曲線をなす様相が北岳あたりの山々に似ていた。

アプローチの圧倒的長さはオンリーワンだが。

 

さて、トムラウシ山登頂は成功したけれど、今日の目標は「ここからどれだけ北へ進めるか」だ。宿泊地点の候補としては

  • 南沼キャンプ指定地
  • ヒサゴ沼避難小屋
  • 忠別岳避難小屋

の3つがあったが、今はまだ朝9時。まだまだ行動時間が残されている。

 

忠別岳避難小屋を目指す、いっそのことその先にある忠別岳山頂へのピストンまでやってしまおうと決めた。

 

山行を再開して山頂を下りると、そこには北沼。

北沼、でけえ

今年の夏は降水がかなり少なかったらしく、水位が低い

山頂を振り返って

雪渓が残る

北沼からヒサゴ沼分岐までの区間は「ロックガーデン」と呼ばれる岩石地帯を下り、さらに「日本庭園」を抜けていく道になる。地図上では大した距離ではないはずなのだが、思ったよりもずっと時間がかかった。
ロックガーデンは巨大な岩を渡り歩いていく必要があるうえ、辺り一面が同じような岩でペンキ印もまばらにしかついていないため、ルートを見失いやすい。実際私はなんどもどこを歩けばよいか分からなくなり、面倒になったのでルートを気にせず勝手に下りて行った。終点さえ合ってればいいのさ。

 

2009年のトムラウシ山遭難事故では、強風と雨の中この区間を抜けるのに手間取り、その先の北沼でパーティが瓦解してしまったと聞く。確かに、コンディションの悪い中通るべきでない道なのはよく伝わってきた。ここまで来てしまうと近くにエスケープルートがないから、避難することもできない。

 

天沼。ここの水も煮沸すれば飲めるらしい

途中にある天沼をヒサゴ沼かと勘違いするくらいには距離感覚がバグっていた。

10:40にヒサゴ沼分岐に到達、ヒサゴ沼が横に見えるにあたってようやく感覚が修正される。

ヒサゴ沼、でかい。楽しくキャンプできそう

チングルマロード

ここからはようやく道の起伏が緩やかになってきて木道も増え、まったり稜線歩きモードになってくる。チングルマの群生がところどころに広がり、これで天気が晴れてたら最高だったのにな~と思いをはせながら化雲岳に到達。

ごつい岩が頂上に座る化雲岳

西には断崖が伸びる

化雲岳からは稜線が右直角に曲がり、進路は真東へ。ここから五色岳まではさらに木道の割合が増え、沼の点在する花畑の散策となった。

寄り添ってくれる味方、チングルマたち

化雲岳と五色岳の間にある1952mピーク(道は通らない)。立派なのになぜ名前がないのか

五色岳には標識がなかった

五色岳までは木道の助けもあって無理なくいけたが、既に足をほぼ使い切っている状況。ここからラストスパートの忠別岳ピストンが本当にきつかった。

まず忠別岳の圧ある山容に心を折られる。

Oh, 高いね...ここを登るのね...

そして案の定、山頂までの道はいつまでも終わらないかのような長さだった。もはや大雪山の定番となりつつある錯覚。

加えて、道の左右からせり出すハイマツなどの低木。体に無限に当たって不快感を増してくる。

 

13:20、なんとか山頂へ到達したがさすがに限界。あらかじめ決めていた通り、忠別岳避難小屋へ戻って宿泊することにした。

忠別岳はすごいよ

西に向かって切り立っている。久しぶりに味わう高度感のせいでちょっと怖い

下りる過程も例によってめっちゃ長かった。でもご飯を食べたい一心で避難小屋まで歩きぬいた。

14:14に忠別岳避難小屋に到達!

標準コースタイム13時間55分のところを9時間28分で歩いたらしい。草。

 

痛恨なことに忠別岳避難小屋の写真を撮り忘れていたが、まさしくこの建物だった。

www.yamareco.com

中は無人。荷物を広げ放題なのはいいのだが、水場の情報が得られないのは困ったものだ。地図には「水」マークが書いてあるし、この地図は今年の最新版。水場の存在は疑っていなかったが、ちょっと焦りはあった。あいにくスマホも圏外だ。

 

幸い、ヒントはあった。避難小屋から沢沿いを下りる方向へ踏み跡があったのだ。「たぶんこの枯れ沢の先に水たまりがあるんだろう」とあたりをつけて辿っていくと、予想は的中。澄んだ水がもと小川だったであろう溝に溜まっていた。

 

私一人が水を補給するには十分な量ではあったが、「水場」というにはあまりにも頼りない、吹けば飛びそうな水たまりだった。北沼の水量の減りからも分かるように、今年は特に雨が少なかったせいでこんな状況だが、普段は小川ぐらいの量はあるのだろう。

 

懸案事項だった水問題が解決したので、もうホクホクだ。ポットに入れて持ち帰り、即座に煮沸。飲まずに残しておいた冷たい水に混ぜることで、ペットボトルの破損を防ぎ、冷ます時間を短縮した。

 

飲み水用の煮沸は3回ほど繰り返したが、それはそうとして腹が減った。

 

今日はレトルトカレーアルファ米に特上カップヌードル(シーフード)にチョリソーという超豪華ラインナップを持ちこんでいた。調理用の水が無限に使えるので、容赦なくレトルトカレーは湯せんしてからアルファ米のパックにインし、チョリソーはカレーライスとカップヌードルの両方に2本ずつぶち込んだ。

 

今までは山ご飯をここまで豪華にしたことはなかったので感動した。特にチョリソーというタンパク質を取れたのがこれまでにない快挙だった。荷物を多少増やす甲斐は間違いなくある。

 

食事を終えて早々、上はフリース下は靴下まで着込んで床に就いた。すっかり暗くなった後、18時を回ったころだろうか、2人組の男性がヘッドライトをつけながら小屋にやってきた。

 

もう私は目を閉じていたので、この日は一言挨拶をかわす程度となった。

 

 

 

 

風こそなかったが、今日も一日終始薄暗かった天気。明日こそは晴れてくれと思いながら眠りに落ちる。そして天は願いに応え、ついに太陽はその身を現す。

トムラウシ後編へ続く!

行きで既に目にしたはずの景色が、まるで違って見える帰り道!

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北海道1週間レンタカーの旅!登山もあるよ ④休憩&十勝岳登山編

はじめに

北海道レンタカーの旅、4日目&5日目。

 

3日目はこちら。

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4日目はここまでの疲れをとるために登山は中断、ゆったり観光に充てる。

5日目は大雪山を南に回り、十勝岳連峰主峰の活火山、十勝岳へチャレンジする!

 

 

4日目:9/19(火) 旭川ラーメン、牧場、そして青い池

 

この日は山に登らないので、しばらく車内でぐだぐだ二度寝。11時ぐらいから活動開始。長旅ではダラダラできる時間も必要だなあ。

旭川市内を流れる忠別川。いたるところにアイヌ語由来の地名があって良い

朝食兼昼食は、旭川ラーメンの老舗である『青葉』まで歩いていった。人気店だけあって、開店すぐの時間かつ雨模様の天気でもそこそこ人が並んでいた。

こういうクラシカルなラーメン、好きだけど東京だとなかなか見ない

昔ながらの王道醤油ラーメンという感じで見た目からそもそも好きだったが、スープの旨味がふくよかでかなり癖になる味わいだった。麺も適度な硬さで良い。

 

 

腹ごしらえが済んだら、明日登る十勝岳のふもとである美瑛方面へ向けて進んでいこう。

 

旭川の南、富良野との間にある美瑛町では農業が基幹産業ということで、牧場に寄りたいな~と思っていた。調べたら美瑛ファームの美瑛放牧酪農場という施設があった。

 

美瑛放牧酪農場

のんびり牛

柵付近に草が豊富に残っているからだろう、こっちに来てくれる

遊歩道が丘の頂上まで伸びている。一直線で象徴的。
(この旅で一番北海道を感じる写真かも)

丘から見下ろすパノラマ。

十勝岳連峰のいかつい山容も見える

なお、この後に牛たちを牛舎に戻す作業が行われていたが、戻されると分かったとたんに牛たちが一斉に放尿を始めるのが面白い光景だった。いや賢いけども。


一通り眺めた後は牛の恵みを享受する。

直売される牛乳はレベルが違うし飲むヨーグルトも傑作

店内ではラクレットトーストも提供されているらしいのだが、残念ながらこのときは品切れだった。

 

車内で飲んだ牛乳のおいしさにテンションを爆上げしながら、次は「青い池」を見に行くぞ!

 

美瑛の市街地方面から離れて南東の山奥へ入っていくと、ほどなくして「道の駅びえい 白金ビルケ」に辿り着き、その近くに「青い池」がある。なんとも身も蓋もない名前であるが、確かに見た目に関してはそうとしか形容しようがなかった。

うーん、青い

白樺林の窪地に後から水が流れ込んだ感じか

天気こそあまり良くはないが、その程度ではくすまない美しさをたたえた池だった。が、観光客の数こそもうすこし少なければもっとよかった...

 

さて、そろそろ観光も終えて明日への備えに入る。

ここまで毎日温泉に入っているので、なんだか風呂に入らないと気が済まなくなってきた。美瑛市街地にある銭湯に寄る。

美瑛唯一の銭湯、松の湯。

なかなかこういった町の小ぢんまり銭湯に入らないので、ボディソープやシャンプーが備え付けられていないのをすっかり失念していた。まあ今日は体を汚していないので、それでも十分清潔になった。

 

そもそも登山をしてたら入浴できない宿泊が常態化するので、入浴できるだけで幸せに違いない。

 

旭川富良野という有名地に挟まれた立地のせいだろうか、寂れ気味の美瑛中心市街地を横目に白金ビルケまで戻って夜を明かした。

美瑛駅。郷里の駅に似ていて親近感

待ってろ十勝岳

 

5日目:9/20(水) 台風上陸でもしてるのかい?十勝岳

 

十勝岳については、できるなら美瑛岳までの稜線歩きも楽しめればいいが、コンディションが悪ければピークまでの最短ピストンになるだろうな~という計画だ。

 

1日休んでパワーを充填、めちゃくちゃ張り切っているので3時ごろに起床。

 

十勝岳登山口である望岳台へ移動して登山を開始したときにはちょうど4時であった。

晴れの日中にここから眺めたい

望岳台からしばらくは広くて開けた砂&石の道、傾斜も緩やかでとっても優しいウォーミングアップだ。

 

少し登ってから後ろを見ると、見下ろした先に旭川・美瑛・富良野の夜景が直線状に並んで点在し、道北の地理を一瞬で把握できる乙な光景。

 

次第に日が出てくると、天気としては曇り模様だが、ガスは少なく登っていく先まで見通せる状態だった。旭岳よりも希望があるかもしれない!期待が胸に渦巻く。

 

 

十勝岳避難小屋ではちょっと怖い話があった。


私はこのとき、iPhoneの音声入力メモを試しに使っていた。念のため避難小屋を覗くと、早朝の薄暗さの中でも誰もいない様子がうかがえる。そこで「十勝岳避難小屋は無人」と口に出したのだが、メモに入力されたのは「十勝岳避難小屋は六人」。

 

音声認識の精度は高いけど、こんな間違いをすることもあるんだな~と思ってもう一度入力し直すも、またしても表示されるのは「六人」。何度試しても変わらない。小屋には誰もいないのに。

 

背筋が寒くなり、ちょっと急いで避難小屋を離れた。不安になって振り返るたび、そこには黒々とした小屋がひっそりと佇み、動くものは一つとしてなかった。

 

*1

 

 

ここまで登ってくる中で他の登山者はまったく見かけない。駐車場には複数車が停まっていたので、私が一番早く出発したということだろう。先の怪現象もあって心細いが、山を独占しているようで嬉しくもある。

 

植生が皆無で噴煙が吐き出され続ける、ワイルドな山々

 

途中で溶岩ベースの道に切り替わったりしつつ、着実に高度を上げてようやく稜線上に到達した。

 

ガスを縫ってかろうじて見える稜線。神々しい

左の旧火口らしき地形を見下ろす

前十勝らしききれいな三角と、その後ろに連なるいくつものピーク

 

横から吹き付ける風がガスを纏う


曇り模様の中でも、ここでは稜線の向こうまである程度見渡すことができ、十勝岳連峰のワイルドな山容を間近で堪能することができた。残念ながら十勝岳のピークは見通せなかったが。

 

そしてこの景色が今回の山行のピークである。稜線上では猛烈な風が西側(向かって右側)から吹き抜け続けていて、山体にぶつかった風が一気に高度を上げて大量のガスを生み出していた。

 

進むほどに見通しは効かなくなる。風に至っては体を煽られてまっすぐ歩けず、取り出したレインウェアが飛ばされかけて、着るのにも苦労するほどの強さだった。ついでのように鳴る轟音が不安を掻き立ててくる。

 

十勝岳までのピストンという短い行程ですら断念しかけるほどにすさまじいコンディションの悪さで、明らかに一昨日の旭岳を超えていた。それでも続行を決めたのは、風こそ強いがきっちり着込みさえすれば寒くはなく、短期決戦上等の軽い荷物で軽快に動けたからだった。

 

一度強くなった風はもはやまったく弱まる様子を見せず、当初の美瑛岳までの稜線歩きという予定は泡と消え去っていた。ピークだけは踏んで帰るという闘志に突き動かされ、6:17に登頂。

台風上陸でもしてるのかい?

山頂では岩陰に隠れることでようやく風から少し逃れることができ、そこでグミとカロリーメイトを食べて精神力とエネルギーを充填、休むのもそこそこに下山に入った。

 

湿った風が強く吹き付けるせいでレインウェアの表面は濡れ、少しずつ生地に沁み込みだしていたのだ。あまり休んでいると体が冷えるしより濡れも悪化する。さっさと人里に帰るのが吉だ。

 

下山に際しては、紛らわしい溝に誘導されて道を間違いかけたりしつつも、ルートを修正して上りよりもずっとマシなペースで稜線を脱出。これで風から逃れられる!と思ったら、どうやら麓でも早朝より天気が悪化していたらしい、霧と風は私に付きまとい続けた。

 

避難小屋あたりからは他の登山者とすれ違うようになり、先の様子を聞かれてはコンディション最悪ですと答えていった。途中でリタイアした人もいるらしかった。この状況では賢明な選択だと思う。

 

そして8:15、下山。またしても試練の登山であった。

 

 

あまりにも、あまりにも不完全燃焼だ。最初に登った羊蹄山こそ展望を楽しめたが、その後登った大雪山系の旭岳と十勝岳はどちらもガスの中。

まだ自分は大雪山の真価を見ることができていないのだ。晴れた展望の一つでも拝めなければ、満足して帰ることなど到底できない。

明日はトムラウシ山をピストンで登る予定だったが、今、体力は十分にあるし明日も明後日も登山指数はA、秋の好天だ...

...そうだ、トムラウシ山で止まらず、稜線を北へ北へ、今の自分に歩けるありったけの距離を進んだところで宿泊しよう!1泊2日の長大ピストンだ!

 

ということで予定を変更、明日・明後日は自分の力試しも兼ねたトムラウシ起点縦走チャレンジとなった。


 

明日の予定は決まったが、今日もまだまだ時間がある。

 

トムラウシ山登山の拠点となるトムラウシ温泉東大雪荘は、富良野から大雪山系を一気に南に回り込み、十勝川を北に遡上した先にあるため、他の大雪山系登山口からかなりの距離がある。

 

そちらへドライブしながら、道中の施設に寄る形をとった。

 

富良野ではワイン工場へ。

富良野市ぶとう果樹研究所。

施設の説明文に妙なユーモアが効いている


ロゼワインを買って後で飲んだが、かなり好みの味だった。なんなら白ワインよりも赤ワインよりもロゼが一番好きかもしれない。他の産地のロゼも試しに飲んでみたいところだ。

 

 

十勝川を遡上していく道では、全体的に土木施設のスケールが大きくて感動した。十勝岳連峰と東大雪に挟まれた山深い地形の中に、巨大な十勝ダムといくつもの橋や覆道やトンネルが張り巡らされているのだ。本当によく建てたと思う。それで進んだ先は行き止まり、観光地としてはトムラウシ温泉ぐらいに限られるから、採算が付くのかは微妙なところだけど、そういう問題じゃないのだろう。その先に暮らしてる人々は確かにいるし、なんならトムラウシ小中学校もあったからね。

トムラウシ小中学校、校舎が綺麗。総児童数20人くらいと予想

小中学校のあるあたりは、道の駅や宿泊用のコテージもあり、小ぢんまりしながらもよく整備されていた。

郵便局も兼ねる交流館

 

トムラウシ温泉へ進むにつれて道は次第に細くなり、そしていよいよ舗装すらなくなって砂利道になった。

 

砂利道の本格的な運転は初めてだったが、対向車がなかったので助かった。ガタガタ揺られながら東大雪荘へ到着。

堅牢そうな頼もしい建物

トムラウシの厳しい自然環境を悠々と耐え抜きそうな頼もしい宿舎で温泉に入る。

この旅で入った風呂の中で、ここの温泉の満足度が一番高かった。

浴室は広々、備え付けの馬油シャンプーは好きな香り、露天風呂は開放的で湯温もちょうどよい。こんな山奥にある秘湯がこれほどの高レベルだったとは、世界は分からないものだ...

 

夜を明かしたのは、ここからさらに奥へ進んだトムラウシ山短縮登山口だった。林道はさらに過酷を極め、30分ほど走ってようやく到達した。

 

この日の冷え込みはすさまじく、持ってきた車中泊用の寝袋では全く歯が立たずに寒さで目が覚めた。幸いフリースジャケットはじめ防寒着は豊富だったので、それらを着込んでからはなんとか休めたのだった。

 

⑤へ続く!

trthff.hatenablog.com

 

*1:せっかくのネタなので大げさに書いたけど、音声認識の誤学習が原因だと思う。何度も発音しても変換が変わらなかったということは、「むじん」という音の並びは正確に認識されていて、ただそれを「無人」に変換する辞書がなかったor「六人」の方が優先度が高かったのだろう。とはいえ、あまりにも状況に合致してる誤変換なものだから割と本当に怖かった。日の出前で薄暗いし。