思念の滝壺

山に登る。

鍋割山(丹沢)登山録~売り切れる足と光る経験~

はじめに

11/19に、丹沢は鍋割山を日帰りで登山してきたので記録する。

 

もともと丹沢山には夏に一度登っていて、そのときによく整備された道、市街地や海に近く見晴らしの良い景色、アクセスの良さに魅せられてもう一度来てみたいと思っていた。秋になった今回、あわよくば紅葉も楽しみたいと思いつつ、晴れの日を狙い撃ちで登ったのだった。

 

今回のルートは寄バス停(やどりぎ、なぜそう読むんだ)→櫟山→鍋割山。下りルートは西へ大回りし、檜岳(ひのきだっか、なぜそう読むんだ!!)山稜を辿って秦野峠、シダンゴ山を経由し寄バス停に戻るものとした。

 

標準コースタイムは10時間5分。衝動で決めたルートだが、コースタイムが丹沢三峰縦走の時より長い...!日も短いこの季節、無事に完走できるのか!?(できました)

 

 

山行録

5:30ごろ 出発

8:27 寄から登山開始

序盤の舗装道は茶畑に挟まれており、普段茶畑を見ないだけに、爽やかな朝日と合わせて新鮮な光景であった。

並ぶチャノキが波打った影を作り出していて面白い。

写真からも分かるように天気は快晴。雲一つないといってもいい。気温も高めで半袖でさくさく登っていける。ただ、一日を通して景色の全体がややかすみがかっていたのは少しマイナスポイントだった。

本格的な登山道に入りだすと、道は木の根と自然の岩を利用した感じのよくある光景に。これが全国的に一般的なthe・登山道のあり方であることを考えると、徹底的に木階段と木道が整備されていた大倉-塔ノ岳ルートはかなり異質な存在なのかもと思い始めた。特に人気なんだろうな、あのルート。

残念ながら麓近くの紅葉は本格的に始まっておらず、染まり始めている木とまだ青々としている木がまちまちだった。なら山頂近くは紅葉が本格的なのでは?と希望を託す。

赤かったり青かったりまちまち、なんだけどこれはこれで美しい。

9:20 櫟山(くぬぎやま)

10:30 鍋割山山頂

鍋割山頂。紅葉シーズン&土曜日につき人が多い。

標高が1200m代後半程度ということもあって、ここまではわりあい簡単に登り切ることができた。前回の登山から2か月のブランクはあるものの、それなりに山を登ってきた経験のおかげで足運びが洗練されているのを感じる。無駄にエネルギーを失わず、効率よく登れていていい感じ。

ただし、ここまでの上り、妙に力が入らない、足が前に出ない&上に上がらない感覚を覚えている。当初は2か月のブランクのせいか?と思ったり、そんな逆境の中でも問題なく登れている自分の成長に嬉しくなったりしていたために気にしない。だが、この問題は後にもっと深刻に現れる・・・

 

山頂近くなら楽しめるのではと期待した紅葉についてだが、こっちではなんと紅葉が終わっていた!葉がほぼ全て落ちてしまっていたのだ・・・麓と山頂で極端すぎるよ、もっとグラデーションで頼むよ・・・

紅葉が楽しめないどころか、落ち葉が積もっていて足元が確認しづらく、力を地面に伝えにくいなかなかの悪条件だった。

鍋割山の景色は幸い非常に開けていて綺麗だったのでそちらを楽しむことにする。

秦野市市街地から相模湾まで見渡せる鍋割山頂の景色。すこしかすみがかっている。手前に生えるススキが秋を感じさせる。

西にも見晴らしがよく、富士山がきれいに見えた。山頂には雪がかかり始めている。

さらに、鍋焼きうどんが売っていたのでそれを買って食べる。鍋割山頂で鍋焼きうどんを売る素晴らしいセンス、それにうどんはエネルギー・塩分・水分を一挙に補給できるので栄養面でも優れている。

鍋焼きうどん。

せっかくなので評価すると、具沢山で満足感が高く、つゆはしっかり美味しかった。きのこ類・お揚げ・ねぎ・卵は素晴らしかった。かぼちゃの天ぷらは衣の部分に何か天ぷらに感じたことのない味がしてよく分からなかった。うどんは最低限ギリギリのコシで、冷凍うどんに及ぶか及ばざるかといったところ。トータルでは美味しく、山頂でこれを出してくれることのありがたさを味わった。

山頂でまったり30分休憩し、いよいよ大回りの下山行程に入る。標準コースタイムはここから6時間40分、その通りにいくならバス停到着が17時40分ということになる。上りが相当短縮されているので、日の入りまでに予定を完遂する希望が出てきた。

 

11:00 鍋割山頂出発

ここから雨山までは険しい&やせた峰が多くて初心者に向かない、らしいのだが、今の自分にはその程度なら問題ないだろうと思ってルート設定した。

その結果、警告されているほどの難易度は感じなかった。確かにクサリの区間はあるのだが、なくても上り下りできる程度のものであり、また峰の細さについてもこれぐらいなら他にもあるよね?といった感じであった。もっと初心者の時に来たなら感想も違ったかもしれないが、さすがに重太郎新道etcの険しさとスリルを知った後では比較にならない。

ただし、一箇所だけ若干の危険を覚えた区間があるので注意しておきたい。そこは急な上り区間なのだが、土が極めて柔らかくて崩れやすく、登るのが困難でありながらもクサリやロープの類が全く設けられていなかったのだ。西(雨山)側から東(鍋割山)側へ辿るならこの箇所は下りなので問題ないのだろうが、逆向きである今回は正直ヒヤッとした。このルートは西から東へ移動する想定で整備されているのだろうか。

 

そして、これらの区間を移動する中で自分の足に一層力が入らなくなっているのを感じる。いくらブランクがあるにしても、こんなに出力が下がるだろうか?疑問が芽生え始める。この辺で持ってきたブラックサンダーを行動食として食べる。この時に食べたブラックサンダーはなんだか本当に沁みた。そして命の息吹を感じた。この普段覚えない大げさな感情が、たぶん今回の不調の答えなんだと思う。

 

12:23 檜岳(ひのきだっか)

檜岳山稜では、雨山→檜岳→伊勢沢ノ頭と、三回ピークを登頂したのだが、二回目のピーク檜岳あたりから足が前に出始める。いままでの登山のような感覚が戻り始める。安堵感に襲われると同時に原因を考え始めるが、以下の二つに絞られた。

  • ここまで負荷をかけて、ようやっと筋肉が目覚め始めた。
  • ここまではエネルギー不足(いわゆる「シャリバテ」)状態で、うどんが消化されだし、もっと即効性のあるブラックサンダーも食べたタイミングの今にようやくエネルギーが供給され出した。

前者は、普段からそれなりに筋トレをしているので不自然ということを踏まえ、理由は後者に絞られてくる。

そこで、今日は朝ごはんを食べていなかったことを思い出した。今までそれで困ったことはなかったので、「本当にシャリバテってなるんだな~」と実体験に結び付いた理解ができたと同時に、これからはちゃんと行動開始前にエネルギー補給しようと思ったのだった。

それにしても、糖質が不足した状態で食べるブラックサンダーの美味しいこと美味しいこと。

 

12:50 伊勢沢ノ頭

エネルギー不足の中必死に登っていたということが分かったとはいえ、急な上りのきつさは引き継いでおり、息を切らしながら必死に登っていく。

檜岳山稜の縦走を終え、ここからは概ね下りの道のりが始まる。

 

13:22 秦野峠 

ここで一回舗装道に出て、向かいにある登山道に再び入ってダルマ沢ノ頭に向かう。また急な階段が始まる!もう足は売り切れてる!やめて!

 

14:10 ダルマ沢ノ頭

メンタルはとっくに参っており、ただ当初決めたルートを完遂すべく意地で突き進む。

ダルマ沢ノ頭。

14:33 シダンゴ山

この山の名前を見かけるたびにシダンゴwwと草を生やしたくなって仕方なかったのだが、なんにせよ山という名前がついているからには手前に上りが待ち受けている訳である。今回の山行、正真正銘最後の上りという事実だけに支えられながらなんとか登り切った。

シダンゴ山山頂はそれなりに開けており、鍋割山頂ほどとはいかずとも景色を楽しめる山であった。

シダンゴww山

ここから1時間後に寄からの帰りバスが出る、ということで、急ぎ過ぎなくていいちょうどよいタイミングだ。ほどよく飛ばしてほどよい時間に到着して今回の山行は終わった。

15:17 寄バス停到着

帰りの道中、16:30ごろには暗くなっていたのでそこそこ危ない時間だった。一応ヘッドライトはあるが、最低限の明るさなので使う事態は避けたいところだ。

寄到着時の中津川。

コースタイム評価

休憩も含め、山行時間は6時間50分。標準コースタイムは10時間5分。全体通して1.48倍のスピードなので、まあぼちぼちといったところか。

上り区間

鍋割山頂まで2時間3分。標準コースタイムは3時間25分。1.67倍。

アップダウン

鍋割山頂~伊勢沢ノ頭まで1時間50分。標準コースタイムは3時間5分。1.68倍。ここは足が売り切れて遅くなっていたはずなのだが、クサリ区間が標準コースタイムにおいてずいぶん長く見積もられている。

下り区間

伊勢沢ノ頭~寄バス停までで2時間27分。標準コースタイムは3時間30分。1.43倍。やはりここは限界を迎えて遅くなっているぽい。

反省点

  • シャリバテ騒動から、朝はしっかりエネルギー補給をすること。
  • 左前腕に一直線の切り傷ができていた。植生保護柵の有刺鉄線に知らず知らずの間に引っかかっていた疑惑がある。

総括

初めての問題に遭遇したりブランクがあったりしつつも、しっかりルートを完遂しつつ前回見れなかった景色を楽しめた実り多い山行だった!

他の近場の百名山雲取山とか行きたいなあ。あとテント泊を身に着けたいという野望も。