思念の滝壺

山に登る。

三浦半島一周to江ノ島ライド ー試練の旅程ー

計画

GW初日ということで昨日はロングライドに出かけることにした。 ルートは、前回の甲府よりは楽だろうと見込んで、海を見ながら走れる三浦半島を一周して終点を江ノ島にする旅程に決定した。

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 そんな気軽なノリで出発したライドが、まさかこれほどまでに試練に満ちた道のりになろうとは全く予想していなかったのだ・・・

旅程

6:24 出発

今回は前日の準備もそこそこに、朝はカロリーメイトを補給してから出発した。信号で何度も足止めされて結局20km/h以下に律速される都市圏はさっさと抜けてしまいたい。

途中、横浜手前でそれぞれ集団と一人のローディの後に続く形で走っている状態となっていたのだが、集団の人々の車に対する走行マナーが大変参考になった。加えて、前でペースを作ってくれる存在は想像以上にありがたいことが分かった。とはいえ、見知らぬ人に後ろからずっとついてこられるのも自分の立場になるとあまり嬉しくはないと思うので、他に速い人が現れて集団を追い越していくのに合わせて自分も追い越した。

毎日スクワットを続けたりライドを繰り返してきたことが良い影響となってるのだろう、平均速度がだんだん速くなってきている。プラス、大腿筋を効率的に使う感覚がつかめてきたおかげでふくらはぎへの負担がほとんど来ない。初めての長距離ライドで宇都宮まで走ったときは、ちょっと伸縮させただけですぐ攣るレベルまで負担をかけてしまっていたのに!

 

10:00 横須賀着

横浜まではさすがに近くてあっという間だが、そこから横須賀へは意外と結構時間がかかった。

横須賀といえば艦隊基地ということで写真をいくらか撮った。こんなに一般人に見せてくれるんだね。サービス精神に感謝。

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愛車 with 護衛艦

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潜水艦。そうりゅう型かな?目の前で見ると威容に気圧される

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現地で護衛艦を見るのは初めてなので結構うれしい

ここでもう一箱のカロメも補給して万全の状態で進行開始、次は三浦半島最南端目指して突っ走り始める!

 

11:45 走行距離90km突破

三浦半島の海岸線を、海を見ながら走るのは観光的な意味では非常に楽しかった。磯の匂いも久々に楽しめたし途中の砂浜で潮干狩りやバーベキューを楽しんでいる家族連れが大勢いて(自粛しろとか政府やらは言うけど無視して楽しんでほしい、せっかくのGWだし)その光景にも和んだしで雰囲気はとても良かった。

その一方でスポーツ的な意味では徐々にのっぴきならない事態になってきていた。まず三浦半島の海岸線はアップダウンが激しい。何度も10m以上登っては下りるを繰り返すやたらと凹凸の激しい道で、横須賀までの平地をかっ飛ばしたことが結構足に影響していたようで大腿が悲鳴を上げ始めた。・・・いや、半島っていったらもっと平たい道を想像するじゃん。海岸線っていったらなおさら。こんな上がっては下がってを繰り返したらそりゃ足がもたないよ!!

加えて海風もなかなかにヤバかった。特に南下時は海から関東平野への風がもろ正面に直撃するわけで時速がどんどん落ち始める。風が正面から吹き付けてきた場合、きつさは上りほどではないが時速は全くでない。具体的には20km/h程度まで下がり、それ以上上げるにはとてつもない負担を足にかける必要が出てくる。逆に、無理に上げようとしなければ足の疲れ自体はあまり溜まらない様だ。不思議な向かい風の特性。

 

南下の終盤には異様に急な坂もあり、ギアをインナーローぎりぎりにしてなお時速8km/hまで落としながらヘロヘロと上り切った。半島最南端でこれはおかしいって・・・ 頂上の自販機でCCレモンを補給。カロリーが染みわたる。

 

この辺で一回軽い雨が降り出したので、この時のために備えていた100均のカッパを着る。ポンチョ型で軽量コンパクトながら、リュックと胴体の両方を過不足なく守り切ってくれてピッタリの選択だった。末端は濡れるがこれは仕方のないものなので許容する。この時は雨はすぐ止んだのでカッパをいったんしまった。前日みた天気予報では午後遅くに雨が降る可能性があるという予報だったので、その分がこの小規模な雨で消費され切ったのだろう、と楽観的に予想していたの・・・だが・・・

 

13:00 115km突破、パン昼食

 当初ルートを決定したときは100kmくらいの心づもりだったのだが、100kmをあっという間に突破してまだ三浦半島南端あたり、このへんで歯車が狂い始めている。

カロメのエネルギーも切れ始めたので、途中で見つけたパン屋で昼食休憩にする。充麦という店だったのだが、ここのパンはおいしかった。

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鶏肉ときのこのパン。最初に写真を撮り忘れて食べかけというポカ(この前にクロワッサンも食べている)。ちょっと甘めで五目ご飯を想像する味付けだが、パンによく合っていた。

 

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はちみつとチェダーチーズのパン。焼きたてだったようで外パリ中モチの食感が鮮明で、期待以上にチーズがしっかり入っていて満足。
14:16 パンク

そう、ここでこれまで無事に持ち続けたタイヤが遂にパンクした。走っている途中に後輪が細かい振動を上げ始め、進みが極端に悪くなった。嫌な予感を覚えて触ると、案の定タイヤはぶっかぶかのふにゃふにゃ。パンクを現地修理した経験はこれまでなかったので自分にできるか不安であった。一瞬ここでリタイアして電車で輪行することも考えたのだが、江ノ島まで走ると決めた手前ここで終わるのは絶対に嫌だし、むしろ初めてパンク修理を自分で行う経験になると考えて路肩に停めた。川沿いの幅広めの遊歩道があったのはありがたかった。

始める前はパンク修理を自分でやることを無駄にハードル高く感じていたのだが、いざやってみると全くそんなことはなかった。むしろ応急処理パッチとチューブ外し用のタイヤレバーのパッケージに書いてある説明がめちゃくちゃ充実していてその場でやり方を完全把握できた。空気をちょっと入れてパンク個所を把握しつつ、パッチをきっちり貼ってタイヤ内に入れ直し、ぎちぎちに空気を詰めなおしてあっという間に復活したのだった。できた!じぶんで普通にできたことが自信になった。これで現地パンクに怯えることもない。現地宿泊、輪行、パンク修理、大量の経験を積んできていよいよ行動範囲が広がってきた実感を覚える。

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パンク箇所。チューブ内側にハの字状に二つの穴が空いていた。

肝心のパンクの原因であるが、このハの字の空き方はどうやらスネークバイトと呼ばれる穴の開き方に近いらしい。このようなパンクをする原因にはリム打ちがあるそうで、思い当たるところは一応ある。パンクに気づく10分ほど前に、路上に比較的大きな石があり、これをかわせずに正面から乗り越えてしまったことがあった。今までも似たことはそこそこあったので大丈夫だろうと思っていたのだが、このチューブは2年ずっと使っているしさすがに劣化もあったのだろう。かわせる石はかわす、段差は体重をかけない。意識だいじ。

 

パンクだけでも一つの試練ではあったのだが、ここから畳み掛けるようにさらなる試練が襲い来る。無事修理を完了して荷物を整理しだしたあたりで雨が降り始めたのだ。先ほどの小雨とはなんか雰囲気が違う。これは・・・本降りがくる!直感で分かったので即座にカッパを着る。予想通り結局この雨は土砂降りになって、濡れ濡れの中で必死に走ることになった。カッパのおかげで荷物と胴体は完全に守られたものの、濡れまくった足はさすがに冷え始める。濡れても許容できる長裾は持ってきていないのでもうこの冷えは諦めるしかなかった。防水の長ズボン的なもの、できれば軽いのがあるといいかもしれないなあ

 

15:20 江ノ島

冷えはあったが、気持ち的には土砂降りの中を必死でスポーツする感じが小中のころを思い出して楽しくなりつつ半分ヤケで海岸を突っ走っていた。逗子あたりから江ノ島までの海岸線は、南下時とは違ってほとんど向かい風に悩まされず、渋滞する車の横をスイスイ走っていけたのでかなり楽しかった。なんだかんだ売り切れた足も昼食だったりパンク修理の間にある程度回復していたらしく、30km/hで巡行できる場面もあった。

こうして振り切れながら当初目標である江ノ島までたどり着いた!意地を張り通せた達成感はあったが、正直この時点でコンディションは最悪、もう「帰りたい」が9割を占めていた。

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土砂降りの江ノ島。以前電車で来たときは快晴だったのになー
16:10 藤島駅から帰還

幸い藤島駅まで行けば上野東京ラインで上野まで直帰できるということで、そこまではゆるゆると走ってから輪行準備を開始する。着替えを一式持ってきて、かつカッパできっちり守っていたおかげで、人前で着替えられないパンツ以外はすっかりリフレッシュできた。最初に荷物フォーマットを決めた過去の心配性の俺にありがとう。

観光地のGW初日ということで席に座れることは期待していなかったのだが、自粛とか土砂降りが原因なのかかなり車内は空いていた。途中で席を確保でき、ありがたいことに座ることができた。上野まではせいぜい50分の道のりなのだが、その期間も立っているのが辛いほどには消耗していた。湘南を走っているときは意識していなかったのだが、雨は意識以上に体力をごっそり奪っていくらしい。席について一拍挟んだあたりから失神に近い感じで眠り、上野に着いて目覚めるまでの記憶がほとんどなかった。むしろ上野でしっかり目覚められたのが驚きである。

その後は自転車を頑張って組み立てて頑張って帰還、シャワーを浴びて夕飯をがっつり食べることでようやく低下した体温の分が復活し始めたのだった。

総括

前回の甲府ライドを、かつてない距離を走り初めての現地泊に挑む「挑戦」のライドだったとするなら、今回の三浦半島一周ライドは間違いなく「闘い」のライドだった。前半にある程度足を消費した中での半島の容赦ないアップダウン・初めてのパンク修理・その直後に突然襲い来る豪雨・終点を前にして観光地ならではの渋滞・・・・・・いくつもの予期しない試練と闘い、そして乗り越えて意地で当初の目標地点まで到達することができたので、その闘いには勝利したといえるだろう。

そして総走行距離はまさかまさかの150km。結局史上最長距離となっていたのだった。地図を見る限りそんなことはないと思っていたのだが、海岸線沿いを丁寧になぞっていくと道のりは見た目以上に伸びるということらしい。

あと、雨による体温低下で奪われる体力の量は舐めてはいけない。帰りの電車ですぐに眠りに落ちることなんてこれまでのライドではなかったから。

幾つもの困難に見舞われて苦労したといえばいえるのだが、その行程全体をとても楽しめたということは記しておきたい。特に今回はロードバイクを乗っているうえでの「選択の楽しさ」をひしひしと感じながら走ることができた。

例えば雨への対処。生命線である胴体の深部体温と、着替えが入っているリュックは絶対に守る。だがそれ以外は切り捨て、軽量さやコンパクトさを重視したポンチョ型のカッパで雨を凌ぐ。

例えばパンク修理。現地で修理するのか、中断して輪行するのか、自分のコンディションや時間に照らして決める。修理するのであれば、パッチを貼るのか、チューブを交換するのか。今回は経験のために現地で修理したが、最善の選択肢を選ぶことはそれ自体一つの楽しさ足りうると考えている。

とても楽しかったし新たな経験も積めたが同時にかなーり疲れた濃密なライドだった。

次はさらに遠出できるかな?

 

食べ物

朝にしっかりカロメ食べていけばかなり持つ。前回と今回得た知見。

 

飲み物

合計3350mL。雨と足の売り切れにつき後半の消費量が少なかったが、前半は猛烈な勢いで消費した。夏に向けて気温が上がっていることが影響してるだろう。